表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

372/5858

25話 スリーピース・カースソルジャーの御披露目。

 25話 スリーピース・カースソルジャーの御披露目。


 セア聖国の代表『プッチ』は、この混沌とした状況を冷静に俯瞰して、魔王国の女王リーン・サクリファイス・ゾーンに対し同情した。

 ここまで、プッチは、魔王国に対し、口では、それなりに強い事も言ってきたし、誰よりもラムドの力を欲しているのも事実だが、本心では、決して、リーンを貶めたかったわけではない。


(リーンの思想は本物だ。もし、人類が、もう少し『マシな存在』だったなら、『ぜひ指導者になってもらいたい』と思ってしまうほどの崇高な理想の持ち主)


 プッチは、簡単に言えばロリコンである。

 幼い見た目の女に食指が動く。

 単純に、趣味嗜好の方向性が多少『平均』から外れているだけで、別に、性犯罪者ではない(年齢に対して惹かれるのではなく、童顔や小柄な体躯に惹かれる)。

 だからって無条件にリーンを肯定する事はないが、しかし、その性癖ゆえに、リーンに対して、他の代表達よりも多少甘くなってしまう所があるのも事実だった。

 より正確に言うなら、甘くなるというより、リーンの思想に『同調してしまうところ』が『なくもない』といったところ。

 タイプの女が言っている事には頷きたいという、単純な心理。

 とはいえ、


(だが、不完全な人類ではリーンの理想を叶えることはできない。彼女の理想を現実にしようとすれば、完全無欠の神が必要となる。だが、この世界に十全な神はいない。いや、仮に完全な神がいたとしても、人は、神の完全性を信じられないだろうから、結果は同じだろう。所詮、人は人なのだ。崇高な理想には届かない。その現実が見えていないリーンは、結果、世界の支配者たりえない)


 プッチは極まった現実主義者であり、かつ国の代表でもあるため、『自身がロリコンで、相手がロリだから』といって『この場での間違った判断』はくださない。


 セアは、ラムドを欲している。

 だが、牙を向くなら話は別だ。

 プッチは魔王国に対して同情的である。

 しかし、人類の敵となるなら殲滅する。


(その性質上、『無謀な理想』を追い続けざるをえないリーンは、ここでも、とうぜん、ラムドの暴走を見過ごすことはできない。仮にラムドの切札が現存していたとしても、勇者・リーンと、たてつづけに、世界最高峰の実力者と闘い、リソースを削られまくったラムドなど恐くもなんともない。つまり、ここは静観し、リーンとのぶつかりを見守るのがベスト。リーンとの戦いで疲弊したラムドが相手なら、サーナとカバノンが出るまでもなく、非力な私一人でもなんなく殺し切れるだろう)






 ――各国の代表が予測した通り、現在、リーン・サクリファイス・ゾーンは、ラムドに対して怒り狂っていた。

 眉間にシワを寄せた真っ赤な顔で、ググっとラムドを睨みつけている。


 『貴様は、何を言っている』


 言葉にこそしていないが、その目は叫んでいた。

 『もう喋るな、黙れ』と態度で威圧する。


 ゆえに、どの国家の首脳陣も、まだ、呑気な顔をしていた。

 もしも、かりに、万が一、ラムドが強硬手段に出たとしても、

 必ず、リーンが止め――




「こい、スリーピース・カースソルジャー」




 一気に――緊張状態に陥った。

 ラムドが、死色に濡れた兵士を三体召喚したことで、

 誰もが、止まらない冷や汗を流す。


((((まさか、本当に強硬手段に出るとは――っっ))))


 どこかで、流石に『ないだろう』と思っていた各国の首脳陣。

 この場は、フーマーを調停者に置いた話し合いの席。

 どれだけヒートアップしたとしても舌戦にとどまるだろう。

 そう思っていた。


 ――だが、ラムドは躊躇なくカードを切った。

 それも、一目で痛感するジョーカー(番外の切札)を。

 となれば、とうぜん、これまでのような『呑気』は通せない。


(な、なんだ、あのおぞましい魔力は……)

(まさか、あれが勇者を殺した力?)

(勇者を相手に使いきった訳ではないのか……っ)


 ラムドによって召喚された三体の兵士は、とんでもないオーラを発していた。

 一体で勇者に匹敵するほどの力を持つ化け物が、合計三体。


 一気に膨れ上がる恐怖と絶望。


 ラムドは言う。


「お前らはミスをした。俺をナメた。その代償を払ってもらう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[良い点] ゴートの話を見返してたら、コイツリーンに手を出してたなと思い出して、このセンエースのくせに合法ロリに手を出しやがってこのロリコン非童貞ウニヘットと思いました。 なおセンも究極超モンスター…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ