68話 ぶっ壊れジーニアス。
本日の2話目です。
68話 ぶっ壊れジーニアス。
田中の異常な天才性をまのあたりにしたウムルは、
「バカな……そんなわけない……」
ただただ、プルプルと震えている。
それは、純粋な恐怖からくるものではなく、『あまりに歪な光に対する反射的な嫌悪感』と『その歪みに対する強い怒り』からくるもの。
必死になって紡ぎあげた芸術作品を盗作されたことに対する怒り。
魔力のコントロールなど、別に、特許も著作権も関係ない概念で、誰がマネしようと文句を言える筋合いなどないのだが、しかし、感情論は、いつだって、常識の向こう側にある。
長い時間をかけて、必死になって努力して、ようやく完成させた芸術――それを、秒で真似されたウムルの中で渦巻く怒りに、常識など通じるわけがなかった。
「ふざけるな、くそがきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
怒りに任せて、
ウムルは、田中に向かって特攻を決める。
盗作野郎は、グチャグチャにすりつぶして殺さないと気がすまない。
アーティストならば、誰でも理解できる感情論。
そんな、怒りに対し、田中は、
「その怒り、分からんでもないけど……『知った事か』ってのが、本音やな。『アイディア』を盗作するんはあかんと思うけど、『根源のフォーマット』は共有財産やから、流用しても文句言われる筋合いはない」
ボソっと、辛辣なことを口にしてから、
ウムルの直線的な攻撃を、あえて、その身で受け止める田中。
田中の全身を覆っている『カスタマイズされたドリームオーラ』が、ウムルの攻撃を、どっぷりと受け止めた。
『衝撃吸収のゲル』を思い浮かべてもらえれば、現状が多少は理解しやすいかもしれない。
屋上から卵を落としても割れないぐらい、吸収力が強いゲル。
それが、田中の全身を覆っている――そんな感じ。
ウムルの一撃は、とてつもなく重たいものだったが、
しかし、田中のドリームオーラは、その、とんでもない火力を霧散させてしまった。
ウムルでも、ここまでの神業はできない。
ウムルの魔力コントロールでは、ダメージを軽減させることはできるのだが、ダメージを『ほぼ無効化させる』というのは難しい。
積み上げてきたものを『パクられた』というだけではなく、
秒の速度で、『自分が積み上げてきたもの以上に素晴らしいもの』を体現されてしまった。
ウムルの感情がグチャグチャになっていく。
ウムルは、本当に、永い時間をかけてスキルを磨き上げてきた。
ずっと、ずっと、魔力のコントロールのことだけを考えて、必死になって、ずっと、ずっと、ずっと……
そうやって紡ぎあげてきた結晶だったが、
本物の『天才』の前では、その程度のことは、一目でコピーできる程度のものでしかなかった。
決してゴミではないが、御大層な自慢ができるほどのものではなかった。
『あ、それいいね。ちょっとパクるね。あ、でも、今のままだと、ちょっと出来が悪いな。もっといい状態にさせてもらうよ』
そう言われたような気がした。
あまりの絶望で、気が狂いそうになるのも無理からぬ話。
「絶対に許さないぃいいいい!」
・土曜日投稿予定のイラストに関する追記。
――今の私に、
究極超神化8を描ける技量はありませんが、
とりあえず、頑張ってみます(*´ω`)
これまでに磨いてきた、すべてのスキルをぶっこんで、
今の私にできる限界の一枚を描き切る!




