64話 主役の時間。
64話 主役の時間。
圧倒的な力を持つウムルに、ほとんど抵抗できず、ボッコボコにされていたカンツ。
いくらカンツが『無敵にも思える鋼の精神』をもっているといっても、すべてを完璧に削り取られてしまえば、さすがに、どうしようもない。
ウムルは、無慈悲に、カンツを削り続けている。
ウムルからすれば、たいして難しい作業ではない。
ただ、たんたんと、己の武を並べていけばいい。
簡単なお仕事。
「ぐぬぅうう……」
止まらない猛攻の中で、カンツは、唸り声をあげる。
がははと笑いたいところだが、その余裕が微塵もない。
別に、いつも余裕があるわけではないが、
現状は、さすがに、状況が重たすぎた。
(どうする……どうするぅ……っ!)
この絶望的状況をどうにかするための策を必死に考えていた、
――その時、
『主役』が、介入してきた。
「ヒーロー見参」
カンツをボコボコにしているウムルの頭上から、
ウムルの脳天にめがけて拳を振りおろす田中。
バギィイイっと、頭蓋骨の砕ける音が世界に響き渡る。
「ぐがぁつ!」
あまりの衝撃に、一瞬だけ、意識が飛んだ。
脳に損傷を受けたことも、反応が遅れた理由の一つ。
ただ、この程度の『ダメージ』で止まるほど『GOOの生命力』は軽くない。
どうにかこうにか、反射だけで、ギロっと、自分の頭を砕いた敵をにらみつけ、
「異次元砲!!」
その敵を完全に消滅させようと、極大魔法を放つ。
と、同時に、自分の頭部の再生をはかる。
複数の高位魔法を同時に展開していくウムル。
それだけでも、彼の資質の高さがうかがえる。
そんなウムルの視界の端で、
田中は、サラっと、ウムルの異次元砲を回避して、
そのまま、オーラと魔力をねりあげると、
「異次元砲ぉ!」
お返しとばかりに、極大魔法の照射をぶち込んできた。
「ふんっ」
ウムルは、プライドをむき出しにして、
右手だけを前に出す。
避けることも難しくはなかったが、
しかし、無駄に高い誇りが、それを許さなかった。
『お前は避けたが、私は避けない』という精神的マウントを取りたかった。
それだけのために、異次元砲を右手で受けとめる。
愚かとも言えたが、しかし、命の鉄火場で『競り勝つ』ためには必要な底意地でもあった。
「ぐっ……」
田中の異次元砲は、なかなかの圧力で、さすがのウムルでも、それなりのダメージを受ける必要はあった。
しかし、『これは、必要な出血である』と、闘いの中で『意地の総量を計算をしたウムル』は、奥歯をかみしめて、
「があぁっ!」
気合いだけで、異次元砲の火力に耐える。
それなりのダメージを受けたが、しかし、その代わり、精神的優位というマウントポジションを得るウムル。
「くく……そこそこ小マシな切り札が隠れていたか。笑わせてくれる。……脆弱な人類の割には、なかなか悪くない『最後のあがき』をみせるじゃないか」
「楽しんでもらえたようで、なによりやなぁ」
などと瀟洒な言葉でお茶を濁してから、
田中は、ゆらりと武を構えて、
「エルメスと合体したら、ほんのちょっとだけやけど……頭が冴えてきた……『夢幻三〇士』で『の〇太』が『知恵の木の実』を食べた時の気持ちが、ちょっとわかった、みたいな感じやな」
コミカライズ版センエースの続報。
絶対ではありませんが、
土曜日の「お昼ごろ」に、
漫画配信サイト「まんが王国」にて配信される予定です。
コミカライズ版センエースの配信を記念して、これまで、色々とイベントをしてきたわけですが、配信日となる土曜日は、朝に、「センのスペシャルイラスト」を投稿するという形で、イベントを〆ようと思います(*´▽`*)
諸々、楽しんでもらえたらいいなぁ(*´▽`*)




