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16話 欲望のぶつかりあい。



 16話 欲望のぶつかりあい。


 事前の打ち合わせでは、各国に援護射撃を求めたセファイルの取り分が『1』で、セファイルの話に乗ったトーン・セア・ミルスがそれぞれ『3』。

 南大陸の豊富な資源を、魔王国からぶんどること。

 金の卵をうむガチョウを殺す必要はないから、テキトーなところで妥協すること。

 それで話がまとまっていた。


 だが、セアが妙な欲を見せたことで、セファイルとミルスが焦って動いた。


セファイル「それは共同資産にするべきだと考えるわ」

ミルス「そうだな。一国が独占していいものではない」


 焦燥のせいか、極端な無茶を言いだす二国。

 混沌としていく空気。

 欲と欲がぶつかりあう。






 ※ セアは、もともと、ラムドの『力』を欲しがっていた。現状の、強く攻め込まれて何も言えなくなっている魔王国サイドの弱腰を見て、『ここだ』と切りこんだ。

 ちなみに、『別に、共同財産でも構わない』というのがセアの意思。

 セア聖国は、昔から召喚術に力を入れている国で、どうにかラムドの技術を自国に取り込めないかと画策していた。

 ――セア聖国は常々思ってきた。

 ラムドの才覚は、魔王国ではいかせない。

 ラムドのギフトは、セア聖国でこそ輝く光。

 『ラムドの力』と『セアの基盤』が重なりあえば、

 セア聖国が統一国に成ることも夢ではない――と、セア聖国の上層部は、ずっと思ってきた。





 ――ラムドの奪い合いが行われていたその時、

 魔王国サイドの面々は、完全な空気になっていた。


 どの国の代表も、この時ばかりは、魔王国に意識を向けていなかった。

 今は魔王国の感情よりも、他国に対する牽制が優先。

 『セア聖国の無茶』をどのようにして、自国のメリットへと昇華させるか。

 それしか考えていない。


 どの国も、魔王国を完全にナメきっている。

 『魔王国なんぞ、その気になれば、どうとでも処理できる』と徹底的に侮られている。


 空気にされている間、リーンは、力なくうなだれていた。

 前のサミットでも、ここまで露骨ではなかったが、似たようなことは起きた。



 『戦争で力を貸してやったんだから、報酬を寄こせ』

 と、どの国も魔王国にたかってきた。

 実際、協力してもらったが、現実問題、どの国もカル大帝国の脅威には侵されかけていた。

 セアやミルスに至っては、ほぼ植民地に近い状態だった。

 ……ちなみに、セファイルはカルから無視されていた(色々な意味で無視されていた。勇者がいた事や、国としての価値。歴史。諸々をふまえて、シカトが最善だと認識されていた。いつだってそう。そんな屈辱的な理由が重なって、セファイルは1000年国家となった)。






 ――ここで、カルについて少しだけ。


 カル大帝国は、徹底した帝国主義の国家で、『冒険者を人間』、『それ以外は動物』とする価値観でもって国力を増大させていった。


 教育・宗教という名目で徹底的に国民を洗脳した。


 カル大帝国の国民は、十歳の時、カル大帝国に所属する冒険者の家畜である事を宣言させられた。

 もちろん、宣誓の内容は、綺麗な言葉で取繕われているが、内容は、『私は冒険者の家畜です』に他ならない。


 反発は起きなかった。

 理由はいくつかあったが、最も大きな理由は、カル大帝国が、国民に、『大帝国の家畜である事』に誇りを抱かせる『特殊な身分制度』を施行していたから。


 簡単に言えばカースト制度なのだが、『動物』や『他国の人間』や『モンスター』や『魔人』など、『下』を山ほど設定することで、『帝国民である自分達は、上位に位置する選ばれた存在なのだ』と錯覚させた。


 『冒険者』>『カルの国民』>『他国の人間』>『魔人』>『進化種』>『モンスター』>『動物』


 こうして見れば、『家畜宣言』をさせられていながら、しかし『カル国民』の地位がかなり高く見える。

 カルは、だから『誇りを持ってカルにとって都合のいい家畜になれ』と洗脳した。




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― 新着の感想 ―
[一言] 国の会談というより子供の喧嘩にしか見えへんっ…… ひどい!なんて事するの!ひどいわ!慰めてよっ!あっ、か、勘違いしないでよねっ! 無理やりすぎた……
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