28話 俺には8000人の部下がいる!
28話 俺には8000人の部下がいる!
(無理ゲーすぎるてぇ! てか、お前も、ちったぁ考えんかい! ワシとお前、頭脳レベル、ほとんど変わらへんのやから!)
(俺の頭脳レベルが、田中と同じ? バカ野郎、このやろう。そんなこと言われても、うれしくないんだからねっ♪ 勘違いしないでよね♪)
(もうええねん! 小ネタぶちこまんでええねん!)
と、そこで、センは一呼吸つく。
極めて無様で現金な話だが、
『頭脳レベルが田中と同じ』というお言葉をいただけたことで、
センの中の歪みが少しだけ矯正され、ほんのちょっとだけだが調和がとれた。
(……田中。ほかに、なんかアイテムねぇのか?! まさか、あんだけ時間を稼いでやったのに、見つけたのが、剣の入った指輪と、魔カード2枚ってことはねぇよなぁ?! 流石にねぇよなぁあああ?!)
(あとは、アイテムボックスが使えるようになる指輪と、攻撃用の魔カードが2枚だけだ。ちなみに、攻撃用魔カードのランクはどっちも20以下)
(ゴミだぁああああああ! 火山の噴火をションベン2本で鎮火できるかぁああ!)
と、センピースの中のセンが叫んだ直後のこと。
ロイガーが、
「ふがぁああっ!」
と、気合を込めて叫ぶと、
かなりの長時間、ロイガーを拘束していた天螺の魔法が消し飛んだ。
「ぜぇ、はぁ……ぜぇ……なかなか、面白いマネをしてくれるじゃないか、二匹の虫ケラぁ……だが、もう、流石に、手は残っていないだろう?」
「ば、ばかやろう、このやろう。こっちには、まだ、天螺が60枚ぐらい残ってんだよ! あと、凶悪な性能の部下が8000人ぐらいいる!」
と、虚勢を張ったセンピース。
中にいる田中が、呆れ口調で、
(もっと、ホンマに聞こえるウソとかつけへんのか?)
(うるせぇ、ボケ。交渉に関しては、何も言わずに、黙って、俺にまかせろ。これまで、ありとあらゆる強敵を、持ち前のファントムトーク一つで軽やかにかわしてきたのが、このセンエースさんだ。今日も、いつもと同じルーティンをこなすだけ! 簡単な話だ!)
と、心の中で、田中に対してタンカを切ってから、
「いいか、ロイガー。こっちには、お前を殺せる手段が無数に残っている。だが、俺はお前を殺したくないと考え始めている。なぜなら、お前は、凄かったから。ああ、凄かったよ。たった一人で、よく頑張った。今度は一対一で勝負してぇ。お前とガチンコでやり合う日を想像すると、オラ、ワクワクすっぞ。というわけで、今日のところは、お開きにしよう。今回の勝負では、あまりにも、こっちが有利すぎた。これはフェアじゃない。敵に塩を送るのはどうかと思うが、しかし、俺は、自分が認めた相手とは、出来る限り、対等でいたいと思っている」
「遺言の戯言はもう終わりか?」
センピースの話を一ミリも聞いていないロイガー。
その様子を見た、センピースの中にいる田中が、
(おどれのトーク術、まったくもって通じてないやないか。クソの役にもたってへん)
(くそぉ……天螺の残数を60枚ではなく、70枚というべきだったか……紙一重だった……俺のファントムトークが、もう一段階上の領域に届いていれば、今頃、ロイガーは爆散していたのに……ちくしょう……)
(枚数関係ないっ! あと、トークで敵は爆散せぇへん! マジで、そろそろ、ええかげんにせぇよ、クソボケカスゴラァ)




