12話 全人類に死を届けてくるから、ちょっと待っていてくれ、神様!
12話 全人類に死を届けてくるから、ちょっと待っていてくれ、神様!
「今日中に、全人類の死体を、ここに積み上げろ」
「ムッズ! ムズいてぇ! やらんとは言わんから、難易度を緩和してくれ! さすがに、ムリやてぇ!」
「それを可能とするだけの力はくれてやる。これは、私の剣だ。私の魔力とオーラが込められている。脆弱な人間程度なら、1・2時間ほどで全滅させることが可能だろう」
そんなことをぬかすロイガーから、まがまがしい剣を受け取ったセンは、刀身を見つめながら、
(……サードアイすら使えない今の俺の目には、なんも見えんから、この剣がどれだけのもんか、さっぱり分からんが……まあ、でも、確かに、ただごとではない波動を感じなくもない……気がする……)
などと思っていると、そこで、ロイガーが補足をいれる。
「言うまでもないことだが、一応、言っておこう。その剣を私に向けても無駄だ。私の意志一つで、いつでも、そいつは、私の手の中に戻る。こんな風にな」
そう言いながら、指をパチンと鳴らすと、
ロイガーの手の中に、ロイガーソードが戻った。
「さあ、脆弱なゴミよ。己の命一つのために、全人類を殺しにいけ。その剣があれば、難しい作業ではないが、しかし、タイムリミットが今日中である以上、モタモタしているヒマはないぞ。悩んでいる時間は皆無。さっさと行け」
「別に悩みはしねぇ。俺は常に、俺の感情論だけを最優先に考える自己中心の権化。タイムリミットまで、あと、3時間ちょいだな。オッケェ。よーし、じゃあ、ちょっと行ってくる! 全人類に死を届けてくるから、ちょっと待っていてくれ、神様!」
そう叫んでから、センは、ロイガーに背を向けて走り出す。
剣を装備している間、体が、羽でも生えたみたいに軽くなった。
爆速でグラウンドを出たセンは、
そのまま校舎の中に突入して、
「アイテムぅ……アイテムぅ……なにか、一発逆転のアイテムぅ……」
必死こいて、アイテム探索をするセン。
全人類を殺しにいくほど、彼はヒマではないのだ。
そんな時間があるなら、少しでもアイテムを探していたい。
そんなアイテム厨の権化とも言える男、それが、センエース。
一心不乱に、猪突猛進。
とにかく、全速前進で、『逆転の一手』を探し続けるセン。
「なんもなぁい! くそがぁ!」
とんでもない速度で、校舎の中を、隅から隅まで探索するが、
しかし、宝箱の一つも落ちていない。
「どうする! どうするぅ!」
と、焦り散らかしながら、校舎の中をかけずりまわるセン。
その途中で、
「あった! 宝箱! っしゃぁあああ!」
ようやく一つ、ポツンと置かれた『謎の宝箱』を発見。
迷わず、悩まず、駆け寄って、中身を物色。
中に入っていたのは、
特殊な装飾がほどこされた『アマルガメーション』の魔カードが1枚。
「いらぁああああああああああああああああああああああああああああん!」
アマルガメーションは、夢の中で何度か使ったことがあるので、
当然、その仕様は理解している。
他者と合体できるようになる魔法。
合体することで存在値は多少上がるのだが、戦闘力が大幅に堕ちてしまい、総合的にみると、逆に弱くなるというクソ魔法。




