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6話 ファイト、陛下!

 6話 ファイト、陛下!



「というわけで、どうぞ、なんでも聞いてください」


「し、質問と言われてもなぁ……」


 困惑するリーン。

 数秒ほど、悩んだが、とつとつと、


「人格に変化が生じているのは接してみた感じでも分かるが……自分ではどのくらいの変化だと認識しているのだ?」


「精神的な面が、かなり若返っていますね。見た目通りの、30代ぐらいの精神性……ただし、先ほども申しましたとおり、本質には何も変化はありません」


「ふ、む……」


 『どう判断したらいいものか』といった顔をしているリーン。


 ――そこで、サリエリが、割って入ってきて、


「今から三つ質問をする。正直に答えてくれ」


 前を置いてから、


「……我らが最初に結成した『モンスター傭兵団』と『帝国』が最初に大規模抗戦を行った場所は?」


「覚えとらんわ、そんなもん」


「……では、バサンゾラという丘陵地帯に覚えは?」


「ん? あ、帝国と最初に闘った場所って、確か、そこじゃないか? なんか、ちょっとだけ思いだした。そう。悟鬼を召喚した場所。いやぁ、懐かしい。上位(この世界ではかなり上位)の鬼が召喚できたのは初めてだったから、ずいぶんと興奮したのを覚えている」


「……二つ目の質問。魔王城が完成したのはいつだ?」



「おろかな過ちをくりかえすなよ、サリエリ。この俺が、そんなくだらない事、覚えている訳ないだろう。ナメんなよ」



「……最後だ。お前は、この国をどう思っている? 本音で答えろ」


「召喚用の材料集めがはかどる拠点」



 そこで、サリエリは、頭を抱えて、



「……どうやら、本物のようですね。確かに色々と若返っているようですが、間違いなくラムドだと確信できました」


 リーンが、


「ワシもそう思ったよ。受け答えがラムドそのもの……どうやら、ラムドを騙っている偽物とかではないらしい。まあ、そもそも、カースソルジャーを召喚できる者など、ラムド以外にはいる訳ないのじゃが……」



 大きな溜息をついてから、



「ちなみに、ラムド」


「はい、なんでしょう、我が王」


「その体に変化した事による不調等はないか?」


「ご心配いたみいりますが、とくになにも」


「体調不良はなにもないと? 絶対か?」


「ええ、むしろ、この若い体になったことで、かなりの絶好調となっておりますなぁ」


「よし、では、お前にもサミットに参加してもらうぞ」


「……はい?」



「勇者の襲撃は、明確な侵略行為、平和に対する冒涜だ。放っておくわけにはいかん。よって、フーマーに連絡し、緊急特別会を開いてもらう事にした。各国の代表の前で、キチンと状況を伝え、キッチリとセファイルに事情説明を求める。場合によっては補償を求める事もありうる……できれは、そういう方向には持っていきたくないが……」


 賠償を請求するとなれば、向こうも、『はい、わかりました』とはならない。

 というより、ほぼ確定で『あん? ちょうしのんな、表出ろ』となるだろう。


 ――戦争とは、だいたい、そうやってはじまる。


「此度の件を戦争の火種にはしたくない。ゆえ、ヘタに騒ぎたくはない……が、一国家の代表として、この問題を放置する事は出来ない……まったく、勇者め……」


 ハァと深く溜息をつくリーン。

 そんな、誰よりも平和を憂いている高潔な姿を見て、ラムドは、


「ファイト、陛下!」


 右手を『イイネ』にして、キラリと歯を光らせ、ニッコリと微笑み、


「もしもの時のために、『この城』で、召喚の研究をしながら、陛下を応援しています。フレェエエ、フレェエェ、へ・い・か! フレ、フレ――」


 そこで、リーンは、コメカミに筋をたてながら、顔だけはニッコリと微笑んで、


「お前もくるんだよ」


 イラつきを抑え込みながら、そう言った。

 その、目がまったく笑っていない笑顔を受けて、しかし、ラムドは、


「ごほっ、おほっ……申し訳ありません、陛下。どうやら、召喚失敗の影響が――」


「ないのだろう? さっき確認したはずだが」


「どうやら、遅れてくるタイプのアレだったらしく、今頃になって、頭痛と目眩と腹痛が……これは、おそらく、自室で召喚の研究をしていないと治らない系のアレ……くっ、これほどの大事に出動できないとは、自分の弱体が、情けないばかりで――」


「いいから、さっさとついてこい!」




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