62話 いつだって、反論の余地がない。
62話 いつだって、反論の余地がない。
『神話生物研究会のメンバーにとって不利益になる間違った変な噂』を、仮に、面白半分で流した場合、即座に特定されて、晒し上げられて、社会的にボコボコにされて、普通に、ちゃんと『物理的に抹殺される』という領域まで行ってしまうため、誹謗中傷に人生の価値観を見出している層の面々でも、流石に、神話生物研究会のメンバーのテキトーな暴言をまき散らすことはありえない。
ちなみに、その『社会的抹殺』を実行するのは『情報班』と言われている、ネット関係のスペシャリストたちなのだが、その中でも歴代最高格の実力者であるのが『残飯マン』という、イカれた名前の男。
あきらかにおかしな名前をしているのに、彼の名前を笑った者は、社会的にボッコボコにされる。
ここに関しては、だいぶ理不尽な話ではあるのだが、しかし、絶対的上級国民から理不尽をつきつけられるのは社会の常。
『残飯マンの名前を笑うと、ドギツい制裁をくらう』ということが、みんな、わかっているため、現状、残飯マンの名前に対して特に触れる者はいない。
怒らせた時、一番怖いのはドナなのだが、
『社会的な恐怖』、『敵に回すべきではない』という点では、
『残飯マン』や『カキマロ』などの、情報班の方が上になる。
――ちなみに、
『現在』の『神話生物研究会のメンバー』は、
残飯マンだけではなく、全員が、
出身国不明な『妙な名前』をしているし、
『世界記録的な視点でも、明らかな過剰すぎるほどの力』を有しているのだが、
しかし、
――まるで、世界全体が『ギャグマンガの補正』でも受けているかの如く、
その辺の『揺らぎ』は、世界から完璧に『スルー』されている。
まるで『世界中が、一致団結』して、
彼らや彼女らの『特質性』に関して、
暗黙の了解を決め込んでいるかの様。
そして、その揺らぎは、センにも適用されている。
彼らの扱いに、ボーレの存在に、この学校の特質性、
すべてが、不条理な蜃気楼みたいに揺らめいて、
センエースの『中』にある『夢と現実の堺』をゆがませていく。
(これ……ご丁寧に、25回戦までの詳細な勝負内容が書かれているけど……意味ねぇなぁ……たぶん、誰一人、一回戦を突破できねぇから……仮に一回戦を生き残れる鉄人がいたとしても、二回戦で100%、ボコボコにされて終了……ほんと、やる意味ねぇ……この世に存在する、ありとあらゆる『時間の無駄』の中でも、最高位に入賞するレベルの無意味さ……っ)
などと、センが心の中で、
選抜大会について毒づいていると、
そこで、紙野ボーレが、
「19回戦のクウリュートとのタイマンがムネアツだなぁ。ほら、クウリュートって、神研のメンバーの中でも、最強格の美人じゃん? やっぱ、黒髪ロングが最強だよなぁ。いや、もちろん、金髪のツインテとかもいいんだよ? けど、あらゆる髪型の中で、どれが一番高まるかって言ったら、やっぱり、黒髪ロング……いや……よくよく考えてみると、金髪ツインテの方が、上か? 悩むな……極めて難しい難題だ……命の命題とも言えるやもしれん……閃、お前の意見を聞きたい」
「それな、紙野さんの言うとおりだ。反論の余地がない」




