63話 ピーキーな機体はダルすぎる。
63話 ピーキーな機体はダルすぎる。
『極羅の剣翼』を入手できた幸運に、改めて感謝をする紙野。
偶然の幸運に過ぎないが、しかし、それでも別にかまわない。
大事なことは、ニコトピアを復活させること。
そのための『手順』の中で、不確定の幸運が積み重なるのはむしろ僥倖。
自分の力だけで復活させたい――といったような、サ〇ヤ人的なワガママは、紙野の中に存在しない。
大事な子供たちを取り戻すことが出来るのであれば、何でも利用するし、誰でも殺す。
――『子を失いかけて狂っている親』とは、そういうものである。
そこで、紙野は、ラベンチャに視線を向けて、
「さて、それじゃあ、とことんなぶってから殺すから。しっかりと地獄を見てくれ」
そう宣言してから、ダッっと勢いよく駆け出す。
『キメラの剣』を振りかぶって、
ラベンチャの腕を切り飛ばそうとした。
――けれど、
「そのトロい動きで、私を殺す? 永遠をかけても不可能であろう」
ヌルっと回避、からの、ヤクザキック。
「ぐげっ!」
腹部を蹴り飛ばされて、後方に吹っ飛ぶ紙野。
壁に激突して停止して、ぐったりとする紙野。
そんな紙野を見て、ラベンチャは、ニヤリと笑い、
「剣翼なんぞを顕現させるから、少しだけ驚かされたが……どうやら、ただの雑魚でしかないらしい」
そう言いながら、ゆっくりと近づいてくる。
「先ほど、貴様は、暗殺どうこう言っていたが……もしかして、貴様が、噂の殺人鬼か? だとしたら、拍子抜けだな。これまで、貴様ごときに殺されてきた者たちは、マヌケだったと言わざるをえない」
そんなラベンチャの視線の先で、
紙野は、背中の痛みに耐えつつ、蹴られたお腹をさすりながら、
(……乗った事ないから、確かなことは言えないけど……たぶん、F1マシンに乗ったら、こんな感じなんだろうなぁ……)
まったく思うように動けない今の自分のショボさにイラつきつつ、
(力を込め過ぎたら、たぶん、一撃で、あいつの体が爆散してしまう……それじゃあ、ダメだ……絶望を与えてから殺さないと……エネルギーの回収もできないし、キメラとの契約違反にもなってしまう……でも、これ……うまいこと調整できるか? ……むずいなぁ……)
この難度を、むりやり、わかりやすく例えるなら、
『バランスボールの上に片足で立ってジャグリングする』みたいなもの。
『極羅の剣翼』は、そもそもピーキーな性能で、まともに扱うためには、数万、あるいは数億年の時を、『最低』でも必要とするという、じゃじゃ馬中のじゃじゃ馬。
基礎トレーニングすらロクにつんでいない紙野が、そんな暴れ馬を制御できるわけがない。
近づいてきたラベンチャが、
握りしめた拳を、紙野の顔面にたたきつけようとした。
紙野は、その拳を、寸でのところでかわし、
足に力を込めて、その場から瞬時に移動。
剣翼のブーストを使ったので、普段の動きよりもかなり速い。
それがゆえに、
「とっと、おわっ!」
速すぎる動きに、体がついてこられない。
うまく着地できず、地面につま先がつっかかって、派手に転倒。
2、3回ほど、空中で回転して、最後には、顔面から地面にダイブ。
クリスマスまで、気付けば、あと数日。
修羅場とのエンドレスワルツにも飽き飽きしてきたΣ(゜Д゜)
けど、まだ止まれない。
とりあえず、確定事項として、
1日5話と、
サンタヒロインズと、サンタセンの投稿……
けど、シューリとアダムが仕上がっていなくて、
5話分の調整がまだなんだけど、
どうするぅ!
舞い散る閃光「わらえばいいと思うよ」




