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61話 数字がなんだってんだ。

 61話 数字がなんだってんだ。



(今の俺では間違いなく不可能だ。逆立ちしようがわめこうが、アレとはまともに闘う事すらできない。……だが、未来は分からない。俺には、異常な成長チートとガチャルトホテプがある)



 たった一日――もっと言えばたったの数十分で、ゴートはここ(レベル529万)まで強くなれた。



(いまのところ、あのゴーレムの力は、『具体的にどの程度なのか想像すらできない』という次元……それは事実。だが、そんなもんは今限定の話。時間をかけて、今よりもさらに『ぶっ飛びで強くなったゴート・ラムド・セノワール』なら、抵抗できる可能性はある!)


 間違いなく、あの化け物は凄まじい。

 どうあがいても、今のゴートでは勝てない。

 だが、ゴートは生きている。

 なぜ生きているのか知らないが、とにかく、つまりは、


 まだ何も終わっていない。


(とにかく、情報だ。あいつがどの程度なのか、弱点等はあるのか……)


 あそこから出られるのか。

 そもそもあいつは何なのか。


(魔王国の書物だけじゃ、たぶん話にならない……ゼノリカから情報を奪うか……それしかないか……やるなら、隠密にやろう……ゼノリカの秩序は、できるだけ乱したくない。ゼノリカは理想の組織。壊したくない)


 フッキ・ゴーレムの討伐。

 それが、現時点におけるゴートの最終目標。


 だが、それは、『この世界』を守りたいから掲げた目標。

 木上の根本となる世界の基盤――ゼノリカを乱すのは本末転倒。


 ゼノリカはゼノリカでやるべきことがある。

 今、ゼノリカの信念に基づいて、ゼノリカがゼノリカで有り続けるための聖戦が行われている真っ最中。


 巨悪と、救済。

 その結果によって生まれる新たな神。


(それを邪魔するつもりはない)


 これだけの力を得た今でも、ゴートは、その闘いを、しょうもないとは決して思わない。



(確かに俺は異常なほど強くなったが、『この力』は、ぶっちゃけ、なんだかよくわからないバグみたいなもの。再現性があるとは思えないエラー)


 世界ってのは、そんな、訳の分からないエラーだけでどうにかなるものじゃない。

 世界運営に関わった事などないが、しかし、その程度の想像くらいはできる。


(UV1の話から推察するに、ゼノリカは世界全体の治安維持機構。法執行の最前線で、行政の中核)


 ゴートが心底から守りたいと思う世界の基盤。

 驚くべきことに、ありえないほど強大な権力を持っていながら腐っていない中枢。


(そんな夢の組織は、今の俺のように『大きなパワー』があるからといって創れるものではない。実際、やってみろと言われても出来る気がしない。というか、実際のところ、巨大すぎるパワーは、管理・統制には向いていない)


 何をどうしようと拭いきれない恐怖からの精神的な抑圧が、修復不可能なヒビをあちこちにつくり、最後には、ただ崩壊する。

 目に見えている。


 ゼノリカのような組織は、根気よく長い時間をかけて、人材とルールを積み上げなければ出来ない。


(膨れ上がった力なんて、ただの数字だ……)


 瀬戸際で勇気を叫べる者が集まった組織。

 『その価値』が、『蝉原に全てを奪われた過去』を持つがゆえに世界中の誰よりも理解できているゴートは、だから、


(絶対に守ってやる……UV1のような奴らが、世界をよりよくしようと必死になって働いている組織……それは、かけがえのない宝……絶対に守らなければいけない、全人類の希望。あのゴーレムみたいな、『広い世界の外側』にいる連中からすれば、ゼノリカも、小さな虫の集まりでしかないだろう。だが、だからって無価値になる訳じゃねぇ!)


 それを無価値だというのなら、

 この世に価値のあるものなんてない。


(膨れ上がっただけの数字なんかよりも、ゼノリカの方が遥かに美しいんだ!)


 これまでの全てを経て、絶望を踏まえた上で、心の底からそう思えた。

 だから守る。

 当たり前の話。



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