表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
332/5859

50話 脱出方法

 50話 脱出方法



(あのゴーレムは、まあ、もちろん、ぶっ壊す訳だが……それよりも、今、優先して考えるべきは、やっぱり出口だな……)


 ゴートは、何度か、『転移による脱出』や『フロアの破壊』を試みてみたが、この場所は、まるでゲームのオブジェクトのように、何をしても干渉できない仕様となっていた。


(いくらレベル1億とか1兆とかって途方もなく強くなっても、ここに閉じ込められたままじゃ、なんの意味もない……)


 少しだけ深く考えてみることで、ゴートの脳内に、根源的な恐怖が沸きあがった。

 出口などなく、永遠に、ここで、ただ無限に強くなり続けるという恐怖。



(流石に、それは勘弁……そんなホラーは許容できねぇ)



 未来を演算すると、恐怖はつきもの。

 そんな恐怖の中で、だから、


(……てか、そもそも、あのゴーレムに、俺は勝てるのか?)


 ゴートは、少しだけ冷静になる。

 いまだ、急激なレベルアップによる万能感に溺れている途中だが、だからって思考力がゼロになった訳ではない。

 根源的恐怖に引っ張られたゴートの思考は、そのまま、


(存在値数百万という世界を、俺はあまりにも知らない。だが、レベル数百万という下地があれば『何でも出来る』という想像くらいはできる。あのゴーレム、流石に俺よりも弱いだろうが……『何でも出来る領域』にある可能性は考慮すべき……つまり、ナメるべきじゃない……)


 存在値が増えれば、単純に、出来る事が増える。

 使える魔法やスキルの種類は爆発的に増え、

 積めるアリア・ギアスの幅だって大幅に広がる。


 足下をすくわれる可能性はゼロじゃない。


(少し……慎重にいくべきか……一応、最悪の場合を考えて逃走ルートの確保を……)


 と、そこまで冷静に考えたが、

 しかし、ふと、脳内を、歪んだ自意識が占めた。


 考え方のスイッチがコロコロ切り替わるというのは、誰にでもよく起こる事(勉強しようと強く思っていても、ふいに、今日は『~~だから、やめておこう』となるアレ的な)で、だから、


(いやいや、いやいやいや、流石に、今の俺が逃げなきゃいけないほどの相手なんていないって……つぅか、いちゃいけないんだよ、そんなバケモノ……)



 圧倒的に強くなったという絶対的な自信が、ゴートの判断力を低下させていた。

 ラムドの知識から、『強さ』の基準はしっかりと理解できている。

 存在値は、90前後で世界最強。

 UV1のように300を超えていると神様級。


 それが、強さの常識。

 レベル数百万という世界は狂っている。

 今のゴートに勝てる者などいる訳がない。

 『多少は相手になる』というだけでもありえない。


(ちょっと不気味だからって、ビビるなよ、俺。……情けねぇ。自分のレベルを考えろっての)


 今のゴートは、非常識を超えた非常識。

 飛びぬけて異常な領域に立つ突然変異。

 ゴートは、キチンと、『今の自分』を理解している。


 異世界モノで稀によく見る『自分の力の程がよくわかっていないやつ(また俺なにかやっちゃいました? 系主人公)』とは決定的に違い、ゴートは、『自分の力がイカれている』とハッキリ自覚している。



(俺は既に神を超えた世界最強……こんな『食玩のハズレみたいなゴーレム』に臆する必要はない)



 ゆえに、引けなくなる。

 全能感に引っ張られる。


 簡単に言えば、今のゴートは、突如、とんでもない力を手に入れてしまったため、いろいろと脳がマヒってしまっている。

 現状に対する『ただしい理解』が、むしろ、前頭葉の働きを鈍らせている。

 この状況下では、恐怖による冷静さなど、すぐに吹っ飛ぶ。



 そして、だから、ゴートは……



(とりあえず、出口を知っているか聞いてみる。知っているなら、聞きだしてぶっ壊す。答えないようなら、答える気にまでボコボコにしてからぶっ壊す。もし出口を知らなかったら……まあ、それはそれで仕方がないからと、他の方法を探す算段をつけながら、とりあえず、経験値のためにぶっ壊す)


 ボキボキと、両手の関節をならしながら、

 堂々と、フッキ・ゴーレムに近づいていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ