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15話 天才型

 15話 


 六体のヘルズ覇鬼。

 動きに無駄がないとは言わない。


 洗練されているとはいえない。


 だが、恐怖による躊躇も、緊張による動揺もない、完全な戦士となって襲ってくる。

 その脅威は、UV1を戦慄させる。


(最悪だ……一匹、天才型(個体値最高クラスの総称)が混じっている……私一人では……勝て……ない……)


 算数的な解答。

 UV1では削りきれない。


 UV1は、神に最も近い超人。

 だから、ヘルズ覇鬼(もし、エックスより下の世界に沸いてしまったら一匹で世界を終わらせることも不可能ではない災害級)を殺すことができる。

 それも、一体がやっとではなく、三体くらいならどうにかできるほどの力を、UV1は所有している。

 全力を出せば5匹を倒すこともできる、圧巻の力。


 だが、天才型を含む六匹が相手では……



「ぐっ……くぉ!」



 六体のヘルズ覇鬼による連携。

 圧倒的不利。


 勝てないと理解した。

 計算してみた結果、どうあがいても負けると分かった。


 しかし、そんな状況でも、UV1は怯まない。

 UV1だって、恐怖による躊躇などしない!


「私を! ナメるなよぉ!!」


 亜空間倉庫から取り出した銃器を乱射しつつ、ゴートの盾で有り続けようとする。



 ――UV1は、ゼノリカに属する者。

 ゆえに、だからこそ、むしろ、

 聖典――『神帝陛下の伝説』など単なる創作だと理解できている。

 ――が、しかし、同時に、



 『神帝陛下の伝説』が、

 『ゼノリカに属する者が目指す理想そのものである』

 という事も理解できている。



 大事なことは、神帝陛下が『実在』するかどうかではない。

 ゼノリカが『神帝陛下の意志』という『理想』を実現させるための組織だという理解ができているかどうか。

 大事なのは、いつだって、そこだけだ。


 神帝陛下という概念は、確かにただの偶像。

 創り上げられたキャラクターにすぎない。

 だが、大事なのは、そこじゃない。

 そこじゃないんだよ。



「絶望を前にした時こそ、叫べ」



 どれほどの絶望を前にしても、決して折れずに立ち向かった完全なる英雄。

 だからこそ築き上げる事ができた本物の平和。


 事実かどうかはどうでもいい。

 単なるおとぎ話に過ぎなかったとして、何が問題だ?

 英雄譚に憧れて英雄を志す。

 ただの当たり前だろう!



 病的なほど、不条理を憎み合理を叫び続けた大英雄。



 ――その意志を、想いを、ただの理想ではなく、

 ――『本物』にするための組織がゼノリカで、


 ――だから!






「ヒーロー見参!」






 UV1は、これほどの絶望的状況下でも折れずに抗う意志を見せる。


 神族になりたいと心から熱望したのは、

 影ではなく光に憧れた理由は、

 決して、富や権力が欲しかったからではない。


 UV1は、もっともっと強欲だった。

 絶望を前にしても、自分は、勇気を叫べる存在だと証明したかった。


 だから、神になる事を望んだのだ。



(この肉体は、世界を守る盾、この想いは、世界を犯す脅威を殺す剣)



 絶望を前にした時、

 ゼノリカに属する者が、ゼノリカに属する者として取るべき行動は決まっている。


 出来るか出来ないかはどうでもいい。

 やるしかないんだ。


 それすら出来ぬ者は、ゼノリカに属する資格なし!



 だから、

 ゼノリカの天下、百済くだらの頭目、

 ウルトラバイオレット001は、



「私にはやるべき事がある! こんな所で死んでいるヒマはない! 神に、光になるんだ! あまねく闇を殺し切る、完全なる平和の象徴に! 全ての巨悪から世界を守る剣と盾になるんだ!」


 神にならなければ出来ないことがある。

 その事実を解しているのは、なにもゴートだけじゃない。


 闇を狩る闇そのもの。

 これまで、ずっと、そうやって生きてきた。

 だからこそ、全ての闇を殺したいと強く思ったんだ。


 百済など存在しない世界、理想の実現。

 神になって、それを成す。

 それが、UV1の夢。



「神を目指している私が、王級とはいえ! たかが一介のモンスターごときに負けてたま――がぁあああああああああ!!」



 UV1の死角に出現した『新たなジオメトリ』から、『ソイツ』は飛びだすと同時、UV1の脇腹に、豪快な飛び蹴りを入れた。


 吹っ飛んで壁に激突するUV1。


「う……ぐ……」


 どうにか意識を保って、自分を蹴り飛ばした相手を睨みつけるUV1。



「……ね……ネオヘルズ覇鬼まで……」




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