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【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
F章 まさかの、ラムドがラスボス?! その発想はなかったわ
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37話 神帝陛下に、俺はなる!

 37話




 UV1の本当の切札は、次元跳弾に、敵のオーラを削る秘伝のウイルス(対抗策が極めて少ない)をぶちこむ事による、リソース削り戦法。

 実力差がある相手にも、必ず『何か』は『残せるように』と磨いた力。

 『自分よりも遥かに強い者達』を知っているからこそ辿り着いたビルド。

 他にも、UV1は、無数の切札を隠し持っている。

 どれだけの強者であっても、必ず、ツメ跡は残せる、デバフ特化ビルド。

 それゆえ真正面からのガチンコタイマンは得意じゃない(決して苦手・不得手ではない)が、中後衛としては非常に優秀な生粋の暗殺者タイプ。






「――は、はは……こんな、強ぇのか……クソが……ハンパねぇ……」






 笑ってしまったゴート。

 愕然としているゴート。


 立ちあがろうとしたが、うまく立ちあがれず、力なくうなだれて、その場であぐらをかく。


 ゴートの頭の中で、記憶が揺れた。

 カースソルジャーと勇者の戦闘記録。

 カースソルジャーはとてつもなく強い。

 勇者でも、一体を倒すのがやっとだった。


 それが、UV1の手にかかれば、三体とも瞬殺(一匹は半殺しだが、それは、半殺しにしか出来なかった訳ではなく、殺さないように手加減しただけ)だった。

 それも、決して全力ではない。

 サっと処理した。

 それだけの、軽い労力で、ゴートの最大戦力――この世界の『表側』では最強といっても過言ではない戦力が、一瞬でチリになった。


(これがゼノリカに属する者の力……殴り合いなら、この女よりも上の長強……これほどの力を持つUV1ですら震えて膝をつく神、『天上のバロール』……さらに、その上にいる五柱の王と、それら全てを統べる三柱の至高神……)


 ようやく理解できた。



 ハッキリと見えたから、


(……くそっ……たれ……)


 深く絶望した。



 けれど、だから、


(くそが……ざけんなよ……)


 だからこそ、ゴートは、


(全部、超えてやらぁ! 目にモノみせてやる! 俺は、必ず、ゼノリカを超えてやるぞ!!)


 ぐっと拳を握りしめる。

 そして前を向く。

 つまり、本気で願う。

 『神を目指すのも面白いかもしれない』などとナメ腐るのではなく、

 『絶対にゼノリカを超える』と自分に誓う。



 そんなゴートに、UV1は言う。


「無礼を詫びなさい。お前の態度は見過ごせない。それを許すことは、ゼノリカの秩序が乱れる事を容認するのと同義」


 ゼノリカの高みは見せつけた。

 ゆえに理解できるはず。

 その前提をもとに話を進めるUV1。


 ――しかし、


「謝らないぞ」


 ゴートはUV1の目を見つめ、ハッキリとそう言った。

 覚悟を込めた拒絶。


 折れないと決めた意志の証明。



「まだ理解できていないというのなら――」


「異世界にきてまで理不尽に屈するつもりはねぇ。……だから謝らない」


「……理不尽……だと……それは、まさか、私の事を指して言っているのか……」


 UV1に本気の怒りがにじむ。



(理不尽の殲滅者、合理の番人、司法の頂点である……この私に……)



 完全にブチ切れた顔でゴートを睨みつけているUV1。



 そのキレた視線を受けても、ゴートは怯まずに、

 むしろ、余計にグワっと牙をむき出しにして、


「そもそも謝る必要がない。俺は見せたはずだ。俺の召喚能力は何も変わっていない。それを疑ってかかってゴチャゴチャ言ってきたのはそっちだ」


 UV1の目を睨みつけて、ハッキリとそう言った。


 頭の中では、『先』の事など考えていない。

 完全に血が登っている。



 『センエース』という男は、ガキの頃から、我を通すと決めたら、驚くほど頑固になる鬱陶しいバカ野郎だったが、第1アルファというクソみたいな世界で歳を取ることで、その傾向がより強くなった。


 頑固で偏屈な面倒臭い男。


 望む世界で暴れて発散してきたセンエースとは決定的に違う点。

 極限まで抑圧された38年を生きてきたセンエース。

 その



「謝罪するなら、そっちだろうが」



 死をないがしろにして、『折れない』と決めたゴートの目を見て、

 UV1は、怒りよりも、面倒臭さを感じた。


(とてつもない我の強さ……)


 理不尽扱いされ、一気にカーっとなったことで、逆に冷静にもなれた。

 いつだって、人間とは不可解なもの。

 複雑というよりは混沌。


 極端な面倒臭さを持つゴートの厄介さを前にして、


(鏡にも見えてしまうのは……なぜだ……)


 UV1は、自分の中にある極端さを自覚した。

 相手が蛇に見えたのは、自分が蛇だから。

 絶対的な概念ではないが、そういう奇怪さも併せ持つのが人間という業。



 これは、パニックになっている者を見たら、冷静になってしまうアレでもある。

 ブチ切れて喚いている者を見た時に、ああはなりたくないと思うアレもあった。

 いつだって、人間は、一つのギアでは動かない。

 混沌とした歯車が生み出す解答エネルギーを求めあって、だから異質に歪む。



 UV1は冷静に考えた。

 今、直面している、この面倒。

 ゼノリカの常識。

 そこと照らし合わせたがゆえに起きた齟齬。

 ゴートという男の人間性。

 自分という存在の立ち位置。



 ――合理はどこにある?



 自問。

 深くなるほどに冷たくなる。

 感情は棚において、理屈で処理をはかろうとした。

 結果、






「悪かったわね」






 UV1は謝罪した。






「なんだ……急に」


「どうするのか見てみたくなったのよ。私は謝ったわ。それで? お前はここからどうする?」



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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
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