65話 バグってる。
65話 バグってる。
『――【存在値500兆の敵、合計1万体】――長いので【コードネーム、B】と省略させてもらうが、【B】を殺せなければ、世界は終わる。今回の絶望はアダムの時よりもはるかに重たいので、シューリの命を奉げるだけでは防げない。アダムとシューリの二人が死ななければ、【B】の出現を阻止することはできない』
(……)
『がんばれ、センエース。お前ならば、【B】も超えられる』
そう言い捨てると、
『謎の声』はプツリと途絶えた。
以降は、いくらよびかけても、一切返事をしなくなった。
(いや……今の俺の存在値……閃光神化を使っても……5兆が精々なんだけど……)
累計40億年を積んだことで、
存在値3000億まで伸ばし、
閃光神化という超覚醒技を会得したことで、
5兆まで爆上げすることが出来た。
戦闘力も超絶的に上昇し、
アイテムの底上げも図ることができた。
ただ、全ての力を結集させた『一瞬の最大出力』でいっても、現段階だと、『50兆』ぐらいが精々。
一応、ここから70億年ほど修行できるので、
500兆を一体ぐらいなら、どうにか倒せるだろう、と思っていたが、
(1万……えぇ……ちょっと、待てよ……ど、どうなってんだよ……『500兆×1万』って……漫画のインフレでも、そこまで無茶な数字はかまさねぇぞ……)
脂汗が出てきた。
(アダムの時と同じく、500兆は下地で、本気をだすと、その20倍ぐらいになります……みたいなパターンだとすると……1京×10000……もう、ワケわかんねぇな……つぅか、ふざけんな、ボケ。どんだけ、俺をイジメたら気がすむんだ、この世界は……)
ここから先の地獄を思い、泣きそうになった。
だが、
「どうしたんでちゅか?」
「主上様、どうなさいました?」
青ざめたセンを見て心配してくれる二人の顔を見たセンは、
(ぐだぐだ文句を垂れても意味はねぇ。……くそったれが……やるしかないなら、やってやる……やればいいんだろ、クソボケカス……『最悪想定1京×1万』……地獄のエレクトリカルパレードだが、どうにかこうにか、必死に頑張って、そのイカれた絶望も殺しつくしてやる……この『絶望の階段』だけは絶対に降りてやらねぇ、死んでも折れてやらねぇ……あの二人は、絶対に死なせねぇ……っ!)
覚悟を決めたセン。
すると、その覚悟に呼応するかのように、
『究極完全体アダム・クリムゾンを撃退する――条件達成。【弟子作成&育成ルーム】が解放された』
『神化以上の覚醒技を会得する――条件達成。【エグゾギア超絶改造ルーム】が解放された』
『死者蘇生を成功させる――条件達成。図書館の【禁書エリア】が解放された』
『プライマルメモリの業を背負った――条件達成。【仮面ルーム】が解放された』
『存在値が1兆を超えた――条件達成。【スペシャル開発ルーム】が解放された』
『Bという強大な絶望の襲来を告知されていながら、わずかも折れずに、真っ向から立ち向かうという【人外の気概】を世界に魅せつける――条件達成。【ナイトメアソウルゲートで過ごさなければいけない10億年を、最大1週間分持ちこして、まとめて消化できるようになる権利】が解放された』
がっつりと、ナイトメアソウルゲートが拡張された。




