+-87951話 センエースがヌルごときに負けてたまるか!
+-87951話 センエースがヌルごときに負けてたまるか!
「……あのクソ野郎、たしか『ヌル』だったか? あいつ、エグいな。どっからどう見ても『からっぽ』にしか見えなかったが、その純度の高い『からっぽ』を武器にして串刺しにしてきやがった」
センは、ギリっと奥歯をかみしめて、
「クソみたいな言い訳をするが……さすがに、状況が悪すぎた。ゼノリカを蘇生させて、レベルが1になった状態で、かつ、ヨグと一体化して真・第一アルファへのエネルギー供給でカラカラの状態。かつ、時空間移動中で意識が飛んでいる一瞬のスキを狙われた。最悪なタイミングのオーケストラ。……まあ、それでも勝たなきゃいけないのが、ヒーローだってことは分かっているんだが……さすがに、な……」
疲れ切った顔。
憔悴しきっている。
時間地獄の最果てともいうべきゼノ・セレナーデを乗り越え、
そのまま、アルテマ・ウムルとの激闘を経て、
命の大半を削って、ゼノリカをよみがえらせ、
続けざま、ヨグと一体化して、真・第一アルファのエネルギー供給担当を買って出た。
常人で例えるなら、『鉄人レース』をハシゴしたみたいな状況。
心身ともに、とことん疲れ果てた状態の帰りの電車の中。
『氷水をぶっかけられても起きられない』ぐらい、泥のように寝ていた時に、
『無数のダイナマイトを持った無敵の人』が、電車の中に乗り込んできて、
盛大にヒャッハーしはじめた――そんな感じ。
「あと、熱があった気がするし、睡眠不足でフラフラしていたし、頭痛も痛かったし、危険が危なかったし」
「センエース。私に言い訳は必要ない。すべてわかっている。お前が、まともにやって、ヌルごときに負けるなどありえない。というか、ヌル自体はゴミみたいなものだ。問題なのは『ソルの権限』を奪われてしまったこと。そうでなければ、お前ほどの男が、あんなカスに負けるものか」
ハンパない熱量で、そう言うソル。
空気を軽くするための小ボケを、熱量で暴力スルーされて、軽く落ち込むセン。
――ソルは続けて、
「ソルの因子は強大だ。ヌルごときに、『ソルのすべて』が使えるわけがないが、『願い玉(運命のアリア・ギアス)の管理者権限』が使えるだけでも『尋常ではない出力』を出せる」
『奪い取った』といっても、完全に自分のものにしているわけではない。
ゴ〇ウとチェンジしたギニ〇ーを思い出せば、
現状のヌルの状況が、少しは分かるかもしれない。
「……だけれど、センエース。お前なら、どうにかなるはずだ。不意打ちを一発もらってしまったが、そんなものでダウンするお前じゃない。お前がヌルごときに負けて終わるわけがない。というか、お前は誰にも負けない。お前は、『センエースよりも強いという程度の雑魚』に負けたりしない!」
「人のセリフをフライングするんじゃねぇ。言う言葉がなくなって、『俺のおしゃべり』が虚空をさまよっちまうだろうが。それとも、もしかして、今のは、俺に対する『黙っていろ』の牽制球なのかな?」
などと、ファントムトークで、いったん、空気をゴチャっとさせてから、
「お前が言うとおり、俺はまだ『負け終わってねぇ』……が、だいぶ『劣勢』なのは事実だ。不意打ちでゴッソリもっていかれたのが、普通に痛かった」
世界も配下も、力の大半も、
これまで積み重ねてきたものを、ほぼ全部を持っていかれてしまった。
「ここから先、切り返していくためには、相当な絶望を積む必要がある。お前にも手伝ってもらうぞ。覚悟はいいか? 俺は出来てる」
というわけで、明日の朝から、イベント開始します。
今まで、たくさんの応援、本当にありがとう!!
明日から始まる新作、
【レベル1縛りの無限絶望地獄~敵のレベルは『1兆』以上。こっちのレベルは常に『1』。なのに、勝てなきゃ世界滅亡~】
この作品は、ずっと応援してくださった皆様へ送る狂気のラブレター。
楽しんでもらえたらいいなぁ(*´▽`*)
・あらすじ
エリート暗殺者一家に生まれた主人公「センエース・カルマ」は『レベル1のカス』だった。
何をしてもレベルが上がらない無能体質のゴミ。
「英才教育をほどこしたというのに、3歳になってもまだレベル1……そんなゴミは死ね」
実の親に殺されかけたその時、彼の目の前に『ナイトメアソウルゲート』が開いた。それは『時間の止まった空間』で『1億年』かけて『修行』が出来る扉。
ナイトメアソウルゲートは『究極の疲労回復マシン』や『超未来科学の粋を集めた合理的訓練ルーム』や『全世界の英知を集めた図書館』や『神器専門のアイテムクラフト工房』などの『異次元レベルの超絶チート施設』が充実していた。
1億年間、必死に『レベル上げ』以外の『ありとあらゆる強くなる方法』を研究し続けた結果、彼は『レベル1の状態』で『レベル500(世界最強クラス)』以上の相手を鼻息で殺せるようになった。
秒で毒親に復讐を果たし、自由になった彼は、
「やりたいことは全部やる。まずは、世界一の美女と結婚してイチャイチャする! 今の俺に出来ないことは何もない!」
――そんな『欲望むき出しの彼』に待っていたのは、
数日以内に襲来する『レベル1兆以上の敵』を倒せないと『世界が終わる』という絶望。
『ぶっちぎりで世界最強の超人であるセン』にしか、この絶望をどうにかできる者はいない。
『レベル1縛り』かつ『誰にも頼れない地獄』の果てで、
『圧倒的に強すぎる敵』を倒すため、今日も、彼は、もがき、あがき、苦しみつづける。
ちなみに、ナイトメアソウルゲートにはもう一つ、ルールがあって、
それは『一日一回は、ゲート内で1億年修行しないと死ぬ』というもの。
初日で既に最強になっていた主人公は、さらに、毎日、1億年修行し続ける事で、
人類の限界を置き去りにして強くなっていくのだが、
「レベル1兆は、さすがにエグいてぇ!」
――狂気の運命を背負った主人公の、常軌を逸した無限地獄が、今、幕を開ける。




