絶望の最終回 おねがいだから、どうか、助けて。
絶望の最終回 おねがいだから、どうか、助けて。
ソルAは、痛々しい表情で、うずくまり、
「助けて……助けて……助けて……嫌だ……こんな終わり方……絶対に嫌だ……セン、助けて……」
必死になって、祈りをささげる。
その、『計算を伴わない病的な救い』を求める『惨めな姿』を見て、
ソルDは、
「ぶざまだな……俺たちは、祈られる側だろうに。センはもういない。受け止めろよ、現実を。……世界の創造と管理を任された者として、最後くらい、胸をはって終わろうや」
「助けて……助けて……お願いだから……セン……」
小さくなって、無様に救いを求め続けるソルAを尻目に、
ソルDは、天を仰いで、
「……センエースに夢を見ている間は、本当に楽しかったな。『何かが変わるんじゃないか』って、そんなことを、本気で思っていた。けど、結果は何も変わらなかった。『価値のない期待』と『しょうもない思い出』が残っただけ。こんなものは、結局のところ、ゴミ以下だ」
「た、助けて……助けて……」
縮こまって、救いを求めるだけのソルAに、
ソルⅮは、
「じゃあな、ソルA。今まで、それなりに楽しかったよ」
最後にそう言って、スゥっと、消えてしまった。
とても、あっけないものだった。
残されたソルAは、
独りで、
「助けて……セン……」
『救い』だけを求め続けていた。
「苦しい……辛い……なんで、こんなことに……どこで、間違った……私たちは何を間違ったんだ……セン……セン……センっ! ……助けて……お願いだから……どうか……助けて……」
叫び続けても、
誰も助けてくれやしない。
ソルAが管理している『虚数アルファ』は、
ソルAの『中』に『完全隔離』されているので、
まだ、ヌルの手が届いていない。
だが、じきに、ヌルは、『ソルAの虚数アルファ』も喰らい尽くしてしまうだろう。
『ソルDの消失』により、『ソル領域』に保管されていた『すべてのバックアップ』がソルAの脳内にインストールされた。
だから、今のソルAには、『すべて』が理解できている。
――本当に『すべて』が終わってしまった。
みんなが期待した『諦めない理想の英雄センエース』は、ヌルごときに負けて飲み込まれてしまった。
原初の世界も消えた。
第二~第九アルファも消えた。
第一アルファも消えて、
『A型以外の虚数アルファ』も、すべて消失してしまった。
――A型の虚数アルファと、オメガセンだけは、なんとか残っているが、
オリジナルでも勝てなかった相手に、オメガセン単騎で勝てるわけがない。
そんなことは、諦めの悪いソルAでも理解できていた。
「……お、終わる……全部……い、いやだ……っ! セン……セン……センッッ!」
みっともなく涙を流すソル。
『自意識が統合されてしまった』ので、
もはや、ADPという分別すらなくしてしまい、
彼は、『ただのソル』として、
虚数世界の片隅で、
無様に『救い』だけを求め続ける。
「セン、セン、セン、セン、セン、セン、セン、センッ!! 頼む! 応えてくれ! お前は、死なない! 私たちの希望が、そう簡単にきえてたまるか! 頼む! 助けてくれ! お願いだ!! お願いだからぁあああああああああああああああああああ! あ……ああああっ……っっ!」
というわけで、バッドエンドでした。
センは、よく頑張ったと思います。
ここまで、だいたい2900話ぐらい。
永い間、本当に、ありがとうございました。
――苦しいことは多かったですが、
楽しいこともたくさんありました。
みなさん、本当にありがとう!!
【……】




