61話 完璧な復讐。
61話 完璧な復讐。
「お前ら王族は、自分達のコントロール下にない金の動きをゆるさなかった。膨大な裏金を要求し、断ったマジェスに、お前らは、理不尽きわまりない屁理屈で従属を要求し続け、最後には、俺以外にも何人かいたマジェスの弟子を全員殺し、妻も子供も拷問して殺した。7年前のことだ」
センは、マジェスから『話を聞いただけ』で、実際にその現場を見たわけではないが、しかし、『こいつらならやるだろう』という確信があった。
真偽を確かめる気にもならなかった。
仮に、マジェスの件が、万が一、誤解だったとしても、
ほかにも、山ほど、『王族のゲスなエピソード』を耳にしてきたし、
その被害にあってきた弱者たちを腐るほど目にしてきた。
だから、センの結論は変わらない。
「マジェスの弟子になるとき、俺は、一つの条件を出された。『学んだ力を駆使して、グリドの王族に一矢報いる』こと。できることなら、最大級の絶望と屈辱をあたえて、王族連中を殺すこと。その条件をのむのであれば、すべてを叩き込んでやる、と言われて、俺は迷わず頷いた。俺も、お前らが大嫌いだからな」
「……」
「俺は、お前らがノコに対して完璧に従属するのであれば、マジェスの条件を無視して、お前らを登用してやってもいいと思っていた。けど……うん……ダメだな。お前らを残しておいても不利益しかない。お前らの存在は、完全にただの癌。いくら力があっても……いや、下手に力があるからこそ、取り除かないとヤバい」
そう言いながら、
センは、
「ライトニング・ネオドラグーン、召喚」
モンスターの中でも最高位の存在であるドラゴン種を召喚する。
パワー・スピード・知性、バイタリティ、耐性、魔力、マナコントロール、
すべてにおいて完璧な存在。
種というカテゴリにおいては、間違いなく最高位の怪物。
そんなドラゴン種の超王級モンスター、
ライトニング・ネオドラグーン。
その神々しさにあてられたパラミは、
その場にヘタリこんで、みっともなくションベンをもらした。
「夢だ……そんなわけがない……こんなこと……あっていいわけが……」
現実を受け入れたくないという強い拒絶の意志だけで自我を慰める。
もう、それ以外、何もしたくない――という、みすぼらしい弱さがすけて見える。
そのザマを見たセンは、ゴミを見る目で、
「無様すぎるだろ。てめぇのどこに『王族の資質』があるというんだ。第二王子だからって許される無様さじゃねぇぞ、そこまでいくとよぉ」
そう吐き捨ててから、
「王族としての本質的な資質は皆無に思えるが、お前らが王族であるのは事実。その血と立場だけ利用させてもらう」
そう言ったセンの言葉に、
バーサミー王が反応を示した。
「それは……どういう意味だ……」
「お前らは人間爆弾だ。東大陸の大帝国への宣戦布告として投入する。――しごく簡単に言えば、この城に異次元砲をぶち込んだのと同じことを、大帝国相手には、異次元砲ではなく、お前らを突入させることで行うってことだ。単純な話だろ?」




