45話 センエースを前に絶望するバカ二人。
本日の2話目です。
45話 センエースを前に絶望するバカ二人。
「ご、剛腕ランク19!」
パワーを底上げするタイプのバフ魔法を使ってまで、『センにつままれている剣』を抜こうとしたのだが、しかし、どれだけ力を込めても、センの指から剣をぬくことができない。
「ちょ、ちょっと待て! どういうことだ?! 『剛腕』の魔法を使っているのに、まったく相手にならないなど、そんなことあるか?! 貴様、どういう魔法を使っている?!」
「ただつまんでいるだけだ。魔法は一つも使ってねぇ」
「あ、ありえないだろぉおお! な、なんだ、その力ぁああ! こんな! こんなぁあああ!」
両手に力を込めて、必死に剣を抜こうとしているが、
どれだけ力を込めても疲れるだけで、ピクリとも動いてくれない。
バッパーも、バルディと同じで、なかなかのクズなのだが、性根が腐っているというだけで、『基本的な知性が欠落している』というわけではない。
だから、現状を理解することぐらいはできる。
(ほ、本当に魔法を使っていないのだとしたら……こ、こいつ、いったい、どんな膂力をしているんだ……っ)
センは人差し指と親指の2本で剣をつまんでいる。
つまり、バッパーの『両手の全筋力』は、センの『2本指』に負けているということ。
「そ、そんなことがあってたまるかぁ!」
必死になって剣を抜こうとするバッパー。
どれだけ必死に力をこめても、センは涼しい顔で、剣をつまんでいる。
1秒が経過するごとに、バッパーの『男としてのプライド』がズタボロになっていく。
そんなバッパーにセンは、
「グリドの王族が『異常な圧政で平民を苦しめている』のは知っている。お前らにムチャクチャな目にあわされて泣いている連中を、この1万年の中で何度も見てきた」
センは冷たい目のまま、
「バッパー……テメェがどう生きようとテメェの勝手だが、他人にしてきたことは自分にも帰ってくるってことを思い知れ」
そう言うと、センは剣をつまんでいない方の手をバッパーにむけて、
「闇夢ランク25」
地獄の悪夢を見せる。
「ギャァあああああああっっ!!」
血の涙を流して失禁するバッパー。
わずかも耐えることなく、ほとんど一瞬で気絶したバッパーを、
「ブロール、このカスは、あとで使うから、殺さずに担いでおいてくれ」
「かしこまりました」
命令どおり、バッパーを肩に担ぐブロール。
そんな彼から視線を外し、センは、トワネを睨みつける。
トワネは、バッパーが失禁した直後からずっと、ブルブルと震えていて、
「う、嘘でしょ……バッパーは……世界最強の剣士なのよ……そのバッパーが、こんな簡単に負けるなんて、そんなことあっていいわけないじゃない というか何よ、ランク25ってそんな魔法、存在するの? 20が、人間のリミットなんじゃないの? どういうこと? これ、なに、夢? だったらはやく覚めてよ! ああもう痛い、痛い、痛い!! もうずっと、鼻が痛いんだよぉおおお! なに、このクソみたいな夢ぇええ! いい加減にしてよぉおおお!」
絶望の最終回まで、あと約20日!!




