表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
超神B章 センエース・ヌルは何者でもない。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2757/6036

10話 『ユズ(没落サイド)』視点(3)。


 10話 『ユズ(没落サイド)』視点(3)。


 『頭への直撃』だけは、どうにか回避したけれど、


「う、うぅ……い、痛いぃ……」


 ホブゴブリンの一撃を受けた私は、その場に倒れこむ。

 逃げたいけれど、痛みと恐怖で体がまったく動かない。


 怒りがわいてきた。

 なんで、この私が、こんな目にあわないといけないんだ。


 ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!




「――か、火球かきゅうランク5!!」




 セイラは、魔法が使えた。

 だから、冒険者として働くことが出来ていた。

 それなりに『強力な魔法が使える』ということで、

 冒険者としてのランクも、そこそこ高かった。


 『ランク5の魔法』は、『存在値70クラス』の魔法。

 だから、ホブゴブリンが相手でも、ダメージを与えることはできる。


 実際、私の魔法を受けて、

 ホブゴブリンは私を強く警戒した。


 このまま、私のことを『強い』と勘違いして、逃げてくれれば……


 そう思っていたのだが、

 ホブゴブリンは、



「――『氷術ひょうじゅつランク3』――」



 きしむ声だが、正確に詠唱えいしょうしている。

 エンチャントの魔法を使って、

 こんぼうに、冷気の力を込めた。


 ……中級以上のモンスターになってくると、

 『魔法を使えるヤツ』も多い。


「くそ……引く気なし……好戦的なタイプ……」


 『魔人に進化していないモンスター』に知性はない。

 RPGの敵キャラと同じく、『定められた行動』をとるだけ。

 こいつは『ガンガンいこうぜ』のタイプ。


 私は、しかたなく、ナイフを構える。

 このナイフに込められた『転移』はクールタイム式。

 あと、半日たたないと、転移の魔法は使えない。


 最悪。

 『セイラ』のせいで、ろくな目にあっていない。


 絶対に、殺してやる。

 1001号がなんと言おうと関係ない。

 とことん痛めつけてやる。


 ――と、生きるためのモチベーションを上げていると、

 ホブゴブリンがおそいかかってきた。


 ナイフで応戦しようとするが、



「きゃあああっっ!!」



 普通に吹っ飛ばされてしまった。

 魔法職の『セイラの体』が、『接近戦せっきんせんタイプのホブゴブリン』に殴り合いで勝てるわけがない。


「……い……いたいぃ……いたいぃいい……」


 こんなに痛いのは、生まれてはじめて。

 これまで、ずっと、私の人生はバラ色だった。

 望むまま、幸せに生きていられた。


 それなのに……

 なんで、こんな目に……

 私が何をしたっていうんだ……



「ぎぎぎぃいっ!」



 ホブゴブリンの殺気が増していく。

 私を殺そうと、『こんぼう』をふりまわす。


 冷気の魔法がこめられているので、

 あたると凍傷とうしょう状態になる。


「う、うぅう……や、やめてっ……やめてよ! 死ぬ! 死ぬから!」


 さけんでみたが無意味。

 相手は、ただのモンスター。

 命乞いのちごいなど無意味。


「たすけ……たすけて……っ……」


 私は、必死になって、生き残るために頑張った。

 がんばったのに。

 誰も助けてくれない。

 ホブゴブリンは、ずっと、私を殺そうとしている。


 ふざっけんな!


 この私が命乞いまでしたんだぞ!

 助けるか、見逃すのが、普通だろ!!

 この私だぞ!

 私が生きることを求めているんだ!


 だったら助かるべきだろ!

 なんで、こんな痛い目にあうんだぁあ!


 ふざけるなあああああああああああ!!



「ナメんなあああああああ! 火球ランク5ぉおおおお!」



 ――さっきよりも『大きな魔力』を込めて、

 私は、ホブゴブリンに火球を投げつけた。


「ギギィイッ!」


 さっきよりもダメージを受けている様子。

 けど、全然、死にそうではない。

 たぶんだけど、あと、5~6発は入れないと死なないと思う。


 ……もう、そんな魔力残ってないよ。

 今の私からすれば、この『火球ランク5』って『メラゾ〇マ』みたいなものだから、

 消費魔力量がえぐいんだ。


 もうMPが底をつきてる……

 もう、無理……



「……や、やめてよ……死ぬじゃん、ほんとに……私が死んでいいの? だめでしょ?」



 私は、世界に問いかける。

 私は、神様に愛されている。

 神様に愛されている私を、殺すワケないよね?


「ぎぎぃい!!」


 ホブゴブリンが、

 私の頭めがけて、こんぼうを振り回してきた。


 ――あたる。

 ――死ぬ。


 そう思った瞬間、全部がスローモーションになった。

 走馬灯そうまとうが走った。

 あ、ほんとうに、走馬灯ってあるんだ。


 ……楽しい人生だったなぁ。

 バカな女や、ブスな女をボコボコにできて、

 本当に、楽しい人生だった。



 ――と、そんな風に、

 走馬灯にひたっていると、




「――極爆雷撃ごくばくらいげきランク19」




 天から雷がってきて、

 ホブゴブリンは、


「ギャアアアアアアアアッッ!!」


 断末魔だんまつまをあげて、真っ黒コゲになった。

 一撃で、完全に死んだ。


 とんでもない雷の魔法だった。


 私は空を見上げる。

 すると、そこでは、

 『入れ替わる前の私』でもかなわないほどの美女が空に浮いていた。


「……あ……ぁ……」


 彼女のことを、私は、知っていた。

 なぜなら、『昨今さっこん魔王まおう界隈かいわい』で、もっとも有名な女だから。


「……アダム……」


 『雷神の異名を持つ六大魔王の一人』を一対一で殺して、その力を奪い取ったというウワサの放浪ほうろうの魔人……


 ウワサは本当だったようで、アダムは、『雷を切り抜いたような戦闘服』に身を包んでいた。

 あれは、雷神が着ていた服……たぶん、コスプレではなく、ウワサどおり、雷神の力を奪い取ったのだろう。



 ――アダムは、

 ホブゴブリンを殺した直後、

 私の方にギラっと視線を向けてきた。


 その目は、まるでえた野獣。


「……そこのブス、とてつもなく邪悪な気配をまとっているな。それほどまで『みにくい魂』も珍しい」


 そう言いながら、私の目の前までおりてきて、


「フェイクオーラで、本来の力を隠しているようだが……私のセブンスアイはごまかせない。貴様、強いな? 奪わせてもらうぞ、その力」


 そう言いながら、

 アダムは、私の心臓に、


「ぐふぅうう!!」


 右腕をめりこましてきた。

 私の胸部きょうぶは、まるで豆腐のようにあっさり砕けて、

 心臓はバラバラに飛びちった……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版36話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ