84話 虚空の王。
84話 虚空の王。
ズゴゴゴゴっと、天の祭壇のトイメンに、デカイ扉が出現した。
「……これが『時空の門』か……粗い造りだな」
などと感想を口にしつつ、センは、時空の門をくぐった。
――門をくぐると、
センの視界は、真っ白な光に包まれて、
一瞬、何も見えなくなった。
何も見えなかった時間は、コンマ数秒。
その後に、
センは、自分が、『七色の世界』にいることに気づいた。
淡い色彩だが、七色なので、どうしてもギラギラ感がいなめない。
「……派手な世界だな」
と、感想を口にしながら、
七色の世界を進んでいくと、
門から少しだけ離れた場所に、
クソでかい玉座があり、
そこに、王が腰かけていた。
センは、王の前まで歩を進めると、
「……はじめまして……とは言いたくないな。あんたの影とは、ずっと一緒にいたから」
そう声をかけると、
玉座に腰かけている虚空の王は、
センの目をジっと見つめて、
「センエース……大きくなったな」
「親戚のオッサンかっ……って、これ、オメガにも言ったな」
などと、軽口をたたきつつ、
センは、全身にオーラと魔力を充満させていき、
「聞くまでもないけど、ウムルをゼノリカに差し向けたのはお前か?」
「ああ」
「オーケー。じゃあ『俺がお前を殺す正式な理由』は十分だ。……あ、あと、これも聞いておこうか。別にどうでもいいっちゃ、どうでもいいんだが、一応な」
「なんだ」
「ゼノの世界でループしている間、ずっと、俺に嫌がらせをしてきたヨグシャドーの本体はお前……っていう認識を、俺はしているんだけど、その認識は間違っていないか?」
「間違っているな。いやがらせなどしたことはない。私は、ずっと、貴様のサポートをしてきた。私のおかげで、銀の鍵のサーチ範囲が広がった。その恩恵を忘れたとは言わさないぞ」
「……ああ……なんか、もう、だいぶウロ憶えだけど、そういえば、何ミリが増えたんだっけ?」
「17ミリも増加した」
「……まあ、言いたいことは腐るほどあるが、それが、一応、若干とはいえ、微細とはいえ、一応、プラスであったことは認めてやろう。だが、それ以外に関しては、基本的に、『いやがらせ』しかしとらんだろぉがぁ」
と、巻き舌で文句をつきつけるセン。
「ゼノでの俺に対する数々の狼藉。そして、ウムルを差し向けて、ゼノリカを蹂躙した大罪。そのありえざる咎の数々、決して許せるものではない! 貴様のような悪神は、ここで粛清してやる! さあ、自分の罪を数えろ!!」
そう叫びながら、
センは、
虚空の王――ヨグ=ソトースに向かって、
「閃拳っっ!!」
拳をたたきつけた。
カウンターを警戒しながらの一撃だったのだが、
しかし、センの拳は、そのまま、ヨグの顔面を捉えていた。
バキィッ!!
と、まるで、『中身のないハリボテ』を壊したみたいな感覚だけが腕に残る。
「……素晴らしい一撃だ。センエース」
そう言ったヨグの顔面は砕けて、
破片がパラパラと地に落ちる。
そんなヨグに、センは、
しぶい顔をして、
「……『お前』は、また、アレか? 『ヨグの幻影』的なやつか? それとも、またシャドー的な感じか? あるいは……自分を壊させることで発動するアリア・ギアス? どれだ?」




