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25話 この星の一等賞なんだ、俺は! そんだけ!


 25話



 並ぶ者がいなくなってからも、勇者は強くなり続けた。



 ――研鑽を積んだからだ――



 勇者はおごらなかった。

 周囲の全てを見下していながら、


 しかし、決して、おこたらなかった。


 もっと高みへ。

 もっと、もっと高みへ。




 いつしか勇者は、誰もいない平原に立っていた。




 勇者は思った。


 別にいいさ。

 構わねぇ。


 俺は孤高。


 それでいい。

 それがいい。



 勇者は思う。

 自分は最強。



 果てなき最強。


 永遠に、『ここではない高み』を求めて彷徨さまよう、孤高の旅人。






 それでいい。






 小さな小さな井の中にある平原の隅っこで、大海を知らぬまま、

 しかし、それでも、勇者は、一つ上の次元に上ったのだ。



 その狂気を、センは称える。



(見事だ、勇者。ファン○ル系のグリムアーツは、一見、ただ武器を浮かして飛ばすだけのお手軽攻撃に見えるが、その実、よほどの研鑽をつまなければ使い物にならない地雷技。大概は単なる豆鉄砲で終わり、同格と戦う際は、ちょっとした奇襲でしか使えないというケースがほとんど)


 だが、勇者は違った。


 浮遊する二本の剣は、力強いオーラに包まれている。

 浮かすだけなら難しくない。



 ――念力。



 それは、マナを媒介とする魔力ではない。


 訓練すれば、

 『手でモノを持つ』のと同じ労力で、

 『同じ重さの物質を持ち上げられるようになる』体内エネルギー運用法の一つ。


 訓練すれば、と簡単に言うが、『手で持つのと同じレベル』で念力を使えるようになるには、気が遠くなるほどの研鑽が必要となる。




 勇者は、この、大した敵もいない中級世界エックスで、

 誰もいない平原にいながら、

 それでも、たゆまずに、鍛錬を続けた。



 そして、会得したグリムアーツ『サテライト・エクスカリバー二式』



 クソ厨二くさい名前だが、その裏には、笑えない努力が積まれている。



 勇者ハルスは、

 間違いなく、イカれたドクズの糞バカ野郎だが、


 その軌跡には、称賛せざるを得ない『深み』と『重み』が確かにあった。




「感謝するぜ、ラムド。あんたがいてくれたおかげで……俺は、ようやく羽ばたける。あんたは、俺に……飛ぶ場所をくれた」






 この星の一等賞は、格が違った。

 ――そういう一話でした。






 ――ちなみに。

 カースソルジャーは、センによって極限まで強化された状態だと、存在値500億クラスで呼べる最高位召喚モンスター。


 けれど、今は、極限まで弱体化した状態で召喚されているので、存在値は『105』

 『制限なくデバフを積むことができる』という特殊な特性を持つカースソルジャー以外では、ここまで弱くすることはできなかった。


 上位の召喚モンスターには効果がない『レベルダウンMAX、ランク1000』を七回積むことで、どうにか、存在値を105まで落とすことに成功した。





 ちなみに、カースソルジャーの、本来の運用では、『自身に付与されている状態異常』を『範囲内にいる敵』へ『高確率でなすりつけられる』というスキルを利用する。


 『大量の状態異常系のデバフ』を積んだカースソルジャーを150体ほど召喚して、敵のまわりをテキトーにウロチョロさせる。


 こうされることで、状態異常に対する耐性が極悪に高い『神』でも、たまにマヒってしまうのだ。

 使用するコストは低い割に、対処するためのコストはそれなりに必要で、かつ、なかなかの結果をもたらしてくれる、敵からすれば鬱陶しくてたまらないムカつく戦法。



 センが開発した、その名も『カース・ストライクフリーダム』。



 これが、実際、そこそこ厄介で、同格相手にも使えるガチ戦闘スタイルの一つ。

 かの名高き『知りあいの究極超神』に、

 『ダルいから、それ、やめて。マジで』と言わしめた、至高の秘計。



 ちなみに、カースソルジャーは、

 『速度以外のステータス』と『戦闘力』が低すぎるため、

 純粋な戦力としては、何一つ機能しません。




 

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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[気になる点] 勇者ハルスなんだかんだ、強くてかっこいいですね、 まだまだ謎が多く底が知れない印象、 T・104が作った、 平均存在値80の疑似世界では、原初の世界のメンバーが、 アルファ人化して超…
[気になる点] レベルダウン魔法、現世のレベル上げや修行に使えますか? レベルを下げて弱い状態で戦えれば、格上との戦いも経験できて レベル上げも危険度補正が入りやすくなって、経験値もいっぱい稼げそう…
[一言] デバフを積みまくって相手になすりつけることで超格上相手にクソ邪魔だと思わせる事が出来るってのはロマンがありますね クソ勇者も比べる相手が悪すぎるだけで偉大ではあるってのが良い
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