58話 どんどん、華、開く。
58話 どんどん、華、開く。
――ドナの覚醒に呼応するように、
ゴーストライト・ソメイリマンの可能性も開かれる。
彼に追加されたのは、
ゴールドスペシャル『破格の風格』。
鬼神覇気の下位互換。
下位互換というと聞こえが悪いが、
ようするには『似た効果を持つスペシャル』である。
ドナの鬼神覇気にかきけされることなく、
むしろ、ゴーストライトの破格の風格は、
ドナの鬼神覇気の後押しをしていく。
二人が目覚めた『鬼神覇気』+『破格の風格』の効果が、
ゾメガのオルゴレアム・オーバーロードの効果と合わさって、
ゼノリカの軍としての性能がさらにグンと底上げされた。
さらに、ほかにも、天上・天下の中で、何名か花開き、
ゴールドスペシャルや、ブルースリースペシャルを獲得した者がいる。
ここにいるのは全員が全員、
『輝く明日』を求めて邁進してきた努力の天才たち。
今日、この日を迎えるまでの数年、数十年、数百年、
あるいは数千年もの長い間、
ひたすらに、研鑽を続けてきた、いわゆる一つの変態たち。
だからこそ、多くの可能性を秘めている。
目覚めかけていたツボミは無数にあった。
この『極限状態』という最大の肥料が、
ゼノリカの可能性を、強く、強く、強く、刺激した。
闘うたびに強くなる。
地獄を知るほどにシルエットが濃くなっていく。
ゼノリカは抗い続けた。
持てる力の全てを、限界以上に引き出して、
一体でも多く殺せるように、
一秒でも長く戦場で舞えるように、
腹をくくり切って、
覚悟を決め倒して、
最後の最後の最後まで、
必死になって抗い続けた。
ボロボロになって、
ズタズタになって、
それでも、ウムルに攻撃をし続けた。
そうやって、50号を殺した。
ウムルの目標は潰した。
もちろん、そこで終わりじゃない。
その時点で、天下の者が、また何人か脱落していたが、
それでも、折れることなく、牙をむき続ける。
地獄だった。
血で血を洗い続ける。
そうやって、60体、70体と、
無限に続く地獄の中をさまよい続ける。
――『100号』を殺した時、
……天下は全滅していた。
九華の中でも、十席の何人かが死んでいた。
必死になってここまできた。
死力をつくして、一体、一体を、葬って、
どうにかこうにか、100体のウムルを殺すことに成功した。
『満身創痍』の『向こう側』で、
もがきあがき苦しみながら、どうにか100体を倒した。
けれど、
「……50号までで終わらせるどころか……100号まで出したのに、天上は、まだほとんど残っているじゃないか……100体も出していながら、パシリの天下を掃除しただけ……この事実はショックだな……本当に、1号~100号は、私と同じ実力なのか? 信じたくないな……私はそんなにゴミなのか……」
――当たり前のように、101号が出てくる。
100号まででゼノリカを削り切れなかったのが、ずいぶんとショックの御様子。
「情けない……が、まあ、いいさ……それだけ、ゼノリカが優秀だってこと。優秀な貴様らを殺しきるというミッションをこなせば、私の中に、一つ大きな器ができる。それは、次にセンエースと戦う時の大きな武器になる」
次回、ゾメガ死す。




