18話 存在値1000と、それ未満の差。
18話 存在値1000と、それ未満の差。
「乱世・精神崩壊ランク16!」
「零神砲!」
「魔牙毒ランク21!」
「煉獄・抵抗撃滅ランク20」
「死歌幻覚ランク19!」
百済の闇人形たちは、
自身に可能なデバフの魔法を、
これでもかと、全方位から全力で、
ウムルに向かって撃ち放つ。
その全てが見事にレジストされているが、
そんなことは、百済の面々も最初から分かっている。
というか、だからこそ、相手の『抵抗力』や『耐性』に対して『削りを入れる魔法』をバンバンいれている。
『自分よりも存在値が高い者相手に、デバフ系が通りづらい』ということくらい、ものごころついたばかりの子供でも知っている。
百済の面々は愚かではない。
レジストされることを前提で魔法を放っている。
蓄積されるように。
すこしでも、足かせになるように。
可能性を少しでも上昇させるために。
世界が進化して以降、
『状態異常系に対する抵抗能力』は、
『際限なく上昇させること』が可能となったが、
しかし、どこまでいっても、
『完全無効』にすることは出来ない。
一つ一つは小さな毒でも、
無数に寄り集まれば……
「ごふっ……」
ふいに、
ウムルが吐血した。
内臓をやられて出血。
全身にピリピリと痛みを感じている。
「……こ、これだけ、山ほど、状態異常系の魔法をかけ続けられたら、さすがに、多少は通るか……」
ボソっと、そうつぶやいてから、
即座に、状態異常を回復させる魔法を使う。
百済の面々が、必死になって通した状態異常も、
一瞬で処理されてしまう。
「くくくっ……貴様らの頑張りは『完全に無意味』ではないが、『話にならない』のも事実だぞ」
そう蔑みながら、
ウムルは、カンツをボコボコにしていく。
規格外のプラチナスペシャル『ギャグ漫画補正』があるため、
簡単にやられはしないが、
数値の差があまりに大きいため、
ほとんど何もできていない。
存在値1000と、それ未満の差。
その違いは、あまりにも大きい。
アッサリと回復されてしまったが、しかし、百済の面々は、折れることなく、カンツをサポートしようと、必死にデバフを散布し続ける。
もちろん、カンツに対する回復とバフも忘れない。
百済の面々だけではなく、
楽連の面々も、自分にできる全力を賭して、
ウムルに対してダメージを与えようとしている。
接近戦に踏み込むと、カンツの邪魔になる可能性が高いので、
中距離から投擲系や魔法を使うことで、どうにか、圧力をかけているが、
ウムルからしたら、どれも、豆鉄砲程度のお遊びでしかない。
「カンツ! 貴様が強いのは認める! 貴様のプラチナスペシャルが破格のスペックを誇ることも認める! 貴様の才能が万能であることも認める! けど、どれも、私という絶望を止められる領域にはなぁああい!!」
ウムルは、カンツの頭上から、両手を合わせたハンマーを叩き込む。
ガツンと凶悪な衝撃を受けて地面にめりこむカンツ。
そんなカンツに向かって、
「異次元砲ぉおおおおおおおお!」
さらに、凶悪な照射魔法を放つ。
「ふはははははっ! 理解できたか?! 止められないんだよ、私という絶望は!」
高笑いを決め込んでいくウムル。
絶望が蔓延していく。




