2話 アルテマ・ウムル。
2話 アルテマ・ウムル。
「私は、アルテマ・ウムルだ」
「……素のバージョンと、何か違うのか?」
言葉を駆使しながら、
センは、ウムルの一挙手一投足を観察しつくす。
(……アルテマ・ウムル、か……もし、言葉通り、究極まで強化されたウムルだとすると……ちょっと厄介かもしれないな……)
色々と、頭の中で考えているセンに、
ウムルは、たんたんと、
「前のウムルだと、弱すぎて、足止めにもならない……が、今の私なら、貴様を相手に、十分な時間稼ぎができる」
「大きく出たな。今の俺を足止めするのは、相当厳しいと思うが?」
センの言葉を受けて、
アルテマ・ウムルは黒く笑みを浮かべ、
「ああ、厳しいさ。だが、私はその難易度を『正確に理解』しており、かつ、キッチリと準備をしてきている。今の私程度では、『レゾナンスに届いた神の王』に勝つことなど、絶対にできないが……必要な時間だけは絶対に稼げる」
全身に魔力とオーラを充満させていく。
コトコトと、静かに、
グワっと、膨大に。
――その様を見て、センは、
(……えげつないほど良質……ヨグやオメガほどじゃないが……近い力を感じる……堅に徹されると、確かに、削り切るのは時間がかかりそうだ……ウザいな……)
『間違いなく勝てる』と計算できた。
しかし、同時に、
『瞬殺単位の楽勝ではない』という結論にも至る。
――そこで、アルテマ・ウムルは、
「オメガが遺した『最後のアリア・ギアス』はまだ有効の状態だ。まだ、私たちは、『虚空のアリア・ギアス(存在値1000が限界値となる)』を無視して、本来の翼で飛べる」
そう宣言した上で、
自分自身を最後まで解放する。
「――究極超神化7」
簡易バージョンではあるものの、
放たれた黒銀の輝きは深く鮮やかで、
究極超神化7独特の濃厚なヤバさをヒシヒシと感じる。
瀟洒壮麗で、
豪華絢爛な、
森羅万象を包み込む光。
静寂の中、神々しい輝きに包まれているアルテマ・ウムルの姿を見て、
センは、辟易とした顔で、
「お前も使えんのかい……マジで、バーゲンセールだな。というか、最近、俺の敵で、究極超神化7が使えないやつの方が珍しいんだが……」
「センエースに対しては、常に、全次元規模の最大戦力を投入しまくっているからな。常に、『命の最前線』で『魂魄を削り続けてきたその輝き』には心から敬意を表する」
「嬉しい言葉だねぇ」
言いながら、センは心を統一させて、
「――真・究極超神化7」
虹色の鎧をまとう。
荘厳な極彩色。
派手派手しい輝きで世界の目を奪う。
まだギアの一段階目に過ぎないというのに、
それでも、極まった輝きが、この世の全てを包み込む。
そんなセンの変身に続くようにして、
シューリ、アダム、ミシャも戦闘態勢を取った。
それぞれに可能な『最強状態』に自身を整えて、
センエースを全力でサポートする姿勢を見せる。
バフ魔法や領域魔法で、
センエースが有利になれるよう、
全力で健気に支援していく。
その様子を目の当たりにした『アルテマ・ウムル』は、
「このパーティを相手に時間稼ぎか……さぁて……大変だ」
額に冷や汗を浮かべつつも、
しかし、
「けど、折れてやらない……私にも積み重ねてきたものはある……ゼノ・セレナーデの世界で『痛み』を『積み重ねてきた』のは貴様らだけじゃない。何度も、何度も、何度も、『100万単位で貴様に殺されてきた』という道程は、間違いなく私の器になっている」




