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56話 心の底から、貴様が憎い

 56話



 センとの密談後、女神の中の女神『シューリ・スピリット・アース』は、アダムと闘った『闘の間隙』に戻っていた。


 アダムとの激闘を思い出しながら、

 魔法で出現させた『かなり大きめのソファー(もはやベッド)』に寝転がって、

 静かにゆったりと空を見ていた。


(強くなる方法か……そういえば、今まで、一度も考えた事がなかったな)


 などと、心の中でつぶやきながら、

 さてどうしようかと計画を立てていた。


(とりあえず、『ゼン』関係の『お遊び』に使える時間はなくなった……正直、『ゼン』をどうにかしている余裕はない)


 シューリは、センの願いを叶えるため、『ゼン』を強くするためのプランをいくつか考えていた。

 だが、『究極完全体アダム』という『おぞましいほど厄介な存在』の登場で、そんな事をしている余裕がなくなった。


(幼いとはいえセンエース……究極の可能性を背負った、この世で最も気高き魂を持つ無上のヒーロー。ぶっちゃけ、何もせずとも、勝手に咲く蕾)


 『最速』を目指すなら、もちろん、シューリが出ていった方がいい。

 シューリの初期プランは、『どこかの良きタイミングで、シューリ自身が表舞台に出て、ゼンに直接稽古をつけてやる』といったモノだった。

 バロールやパメラノと連携して、

 セファイルや魔王国を巻き込んで、

 『ゼン』とうまく接触し、

 なんやかんやを積み重ねて、手ほどきをする。

 ――予定だったが、

 今は、その時間すら惜しい。


(最低限の指示は出してやった。最小限の監督責任は果たした……センの願いは既に叶えてやっている。だから、もういい)


 お膳立てはしてやった。


(それで強くなれないようなら、その『ゼン』とかいうガキは、センエースではないという事。センの中には必要ない)




 という訳で、


「あ、バロ。オイちゃんでちゅ。ちょっと前に命じた諸々、オイちゃんが直で出るプランは全部キャンセルで。うん。オイちゃん、今回のミッシュンにはもう飽きちゃったんで、ここからはバロとパメに丸投げしまちゅ。これからは、二人の好きにやってくだちゃい。基本プランさえ弄らなければ、何をしても構いまちぇん。――ん? なんでちゅか?」


 『そんな身勝手な――』

 『あなたはいつだってそう――』

 『いったい、神の命をなんだと――』 


 といったような非難の声が聞こえてきたような気がしたが、そんな事はなかったぜ。


「あれ? なん……だか……聞こえないでちゅ。電波……が……遠く……ツー、ツー」



 てな感じで、テキトーに通信魔法を切断すると、


(さて、どうやって強くなろうか……とりあえず、究極超神化5に変身するための時間の短縮は必須。で――)


 と、その時、気配を感じて、シューリは、思考を止めた。

 そして、警戒心を上昇させる。


(……アダム……)


 流石に、この程度の休息だと、究極超神化5は使えない。

 だが、それは、アダムも同じだろうとシューリは推測する。

 別に、アダムの『究極完全体モード』について熟知している訳ではないが、

 普通に考えて、あれほどの力を無制限に使えるわけがない。

 とはいえ、絶対ではない。

 シューリは、懐に忍ばせておいた、切札の究極超神器にチラっと意識を向ける。

(最悪、逃げないといけないか……このあたしが……くっ)


 屈辱を飲み込みながら、シューリは、いつものニタニタ顔で、






「……おや、アーちゃん、どうしたんでちゅか? なにか忘れものでちゅか?」






 瞬間移動で戻ってきたアダムに対して、そう声をかけた。


 アダムは、シューリの問いかけにたいして、何も答えず、

 つかつかと、地面を踏み砕かんばかりの勢いで近づき、

 その、シューリが寝転がっているソファーの上、

 シューリの領域に土足で踏み込んで、

 シューリの胸倉をグっと掴み、

 スゥウウと大きく息を吸って、






「貴様が、憎いぃいいいいいいい!」






 恥も外聞も体裁も思慮も、何もないただの妬みを叫んだ。



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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
センが余計なことしたせいで本来受けることが出来た究極超女神の指導をゼンが受けられなくなったw
[気になる点] E章56話 シューリは、懐に忍ばせておいた、切札の究極超神器にチラっと意識を向ける。 この究極超神器って、P1と戦った時も センがP型センキーに呪縛を受けている所に 駆けつけた時も使…
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