17話 運命の相手。
17話 運命の相手。
「――『彼女たちに正しく嘘の報告をしてもらうため』という、一番目の理由は、正確に理解しました。なので、そこの部分に関しては大丈夫なのですが……もし、私に詳細を話した『二番目の理由』も存在するのであれば、ぜひ、教えてほしいのですが?」
そこで、センは、視線を切って、
明後日の方角を見つめながら、
「たぶん、話を聞いてもらいたかったからだろうな。あいつらに嫌われるっていうのは、普通にしんどい。神格と戦うのも、ループし続けるのも、全部しんどい。全部を背負って、苦しんで……そういう積み重なった感情を、誰かに聞いてもらいたかったんだと思う」
そこで、センは、力なく笑って、
「はっ、何が孤高だ。誰かに話を聞いてもらわないと、心がパンパンになってつぶれそうになっているくせに……情けなさすぎてヘドが出る」
「苦しんで……きたのですね」
「今日まで散々苦しんで、今日以降も、また苦しむことになる」
「あなた様が、こんなにも頑張って、苦しんでいることを、紅院のお嬢様方は理解することなく、あなたに対して嫌悪感を抱きつづけるのですね……」
「ああ。そうじゃないと、強くなれないからな……」
「……あまりに……」
と、そこで、アルキは、ポロポロと涙を流し始めた。
「……あまりにも……不憫が過ぎます……」
「俺のために泣いてくれてありがとう。少しだけ救われた」
そう言ってから、センは、
「……じゃあ、そろそろ帰ってくれていいよ。あいつらへの報告よろしく。俺がいかにクソ野郎だったかを、涙ながらに語ってくれ」
そんな、センの要求に対し、
アルキは、
「確信しました」
涙を止めて、気合いの入った顔で、センを見る。
「……かくしん? なにを?」
普通の疑問符を投げかけるセンに、
アルキは、まっすぐな目で、
「あなた様は、わたくしの運命の相手」
「……ん?」
困惑がアクセルをふかしはじめている今日このごろ。
アルキは、続けて、
「あなたほど高潔な男を、わたくしは、ほかにしりません。というより、間違いなく、あなた以上の男なぞ、存在しないでしょう」
「いや、いると思うよ……思うっていうか、事実、知り合いに一人いるし。俺ごときでは足元にも及ばない超絶有能な無敵の天才が」
などというセンの反論を、
アルキは完全にシカトして、
「今日、ここで、わたくしたちが出会ったのは、間違いなく運命。わたくしたちは、結ばれるしかないサダメ……」
(あれ? これ、メンヘラ入ってない? この思い込みが激しい感じ……やばくない?)
「これからは、わたくしが、あなた様を支えます」
「いえ、大丈夫っす……俺、たまにヘタりますけど、基本的には、ガチで孤高を愛しているもんで、だから、その――」
「ご安心を。あなた様のすさんでしまった心を、わたくしが癒して差し上げます。わたくし、決して、その道のプロではありませんが、バアヤから、夜伽の作法は叩き込まれておりますゆえ」
そう言いながら、すり寄ってくるアルキ。
「いや、だから、俺、そういうのは、また、ちょっと違うので……」




