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51話 師匠にまるなげ

 51話 


 ――アダムとの激闘後、シューリは、アダムと別れ、センのもとに転移した。

 シューリは、与えられた指輪の効果で、いつでも、センと二人きりになる事ができる。

 ただし、『何か会わなくてはいけない理由』がない時に、この指輪を使う事はない。

 その理由は単純。

 理由もないのに会いにいくようなマネは、プライドが許さないから。


「ひさしぶりでちゅね」


「いや、実質、三日ぶりくらいだろ。なに言ってんだ」


 二人きりの世界で、そんな会話をかわすセンとシューリ。


 ちなみに、センは、極大魔法で己をすりつぶす直前に、シューリと、『死ねたら、後は頼む』的な会話を、直接会って交わしていた。


「三日も会えなかったんでちゅよ。オイちゃん、さびしくて死にそうでちた」


「へぇ」


「会いたくて、会いたくて、震えていまちた」


「本当は?」


「なんで、たったの中三日で、あんたの顔なんか見なきゃいけないのかと辟易していまちゅ」


「……素直なやっちゃなぁ」


「で? 弁明は?」


「あん?」


「あのクソガキのことでちゅ。なんか、呼び出しうけて襲われたんでちゅけど」


「ああ、アダムな。あいつ、おもしろくね? 戦闘力は現世の限界点に達していて、存在値も最果て級。でも、神闘を知らないから、まだまだ発展途上。あの領域に至っていて、強くなるのはむしろこれからという、とんでもない原石。もし、神闘をマスターしたら、どれだけの存在になるのか……俺は、あいつがどこまで強くなるか見てみたい。というわけで、シューリ姉さん、あいつの指導、おなしゃーす」


 センの言葉を、シューリは、少しだけ抑えたニタニタ顔をして、黙って聞いている。

 腕を組み、少しだけ気だるげに、静かに耳を傾けている。


「ほら、ぶっちゃけ、俺って教えるの下手じゃん? まあ、そこらの武をまったく知らんやつよりは、多少、教えるのもマシな自覚があるけどさぁ……結局、お前の方が上手いじゃん? ガチンコで闘ったら俺がほぼ勝つってだけで、戦闘以外は全敗の勢いじゃん?」


「……」


「ただ強いだけの俺と違って、シューリさんは、マジで万能で全能な、ぶっちゃけ最強の、『勝利と幸運の女神様』じゃん? じゃあ、俺がやるより、シューリ姉様がやる方がいいなーってな具合の方程式でザッツオール」


「……」






「恐いっす、なんか言ってくださいよ、師匠」






「……」


「ごめんなさい! まさか、いきなり襲うとは思っていませんでした!」


 事前に、アダムから報告は受けている。

 『どの程度の強さを持つのか、奇襲をかけて試してみました。素晴らしい強さでした。これからはあの強さに至れるよう精進します』という、簡素なメッセージ。

 『えぇ、うそーん。なんで、奇襲とかそんなキテレツなマネを……おまえ、ほんと、なんで、そんなに脳内が常にフルアーマーデストロイモードなの? バカなの? 死ぬの?』と焦り、

 シューリに対する言い訳を考えようとしたが、

 そのタイミングでシューリが襲来してしまったので、

 なんとか勢いで流そうとした――

 が、結果はごらんのありさま。


「言っておきまちゅけど、次、あのクソガキが、何か一つでも、オイちゃんにナメたマネかましてきたら、その時は、マジで殺しまちゅからね」


「あいつはバカじゃない。一度闘ったんなら、お前の強さは理解したはず。二度と、バカなマネはしねぇよ」


 センの言葉を聞いて、シューリは、一瞬だけだが、しかし、確かに、イラっとした炎を纏った。


(……ノンキかっ……)


 呆れに染まった心の声は、当然、センには届かなくて、

 だから、センは、バカ丸出しで続ける。


「つぅか、お前の強さを理解したなら、あいつ、お前に平伏しただろ? 普通に神様扱いされたろ? どうやら、あいつ、自分より強い奴の事は崇拝するっぽいから。いわゆる狂信者体質だな」


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