61話 ファッキュゥ! ぶち殺すぞ、ゴミめら!
61話 ファッキュゥ! ぶち殺すぞ、ゴミめら!
「……10万人を使えるなら、1日あれば十分やと思うけど、想定外の事態は、いつでも起こり得るから、丸々2日分を確保してくれるとありがたい」
「了解しました。一週間分、確保させます」
そんな黒木の言葉を、紅院も聞いていたようで、
「拘束時間は一週間でお願い」
そんなミレーのお願いに対し、父のマサヨシは、
『知能指数130を超えるような天才は、たいがい、重職についているからなぁ……長時間の拘束は、世界経済的な意味で、なかなか難しいかもしれんな』
ボソっと、そんなことを口にした。
その言葉を耳にした紅院は、
いったん、『やれやれ』という顔をしてから、
「ファッキュゥ! 仕事がどうこう、ごちゃごちゃぬかすやつは、ボコボコにした上で、簀巻きにして、縄引いて、引きずってくればいいのよ!! ふざけんじゃないわよ! ナメんな!」
父親だろうが関係なく怒声を吐き散らかす彼女に、
トウシが、普通にドン引きしていると、
茶柱が、
「どうせ必要なのは脳だけだからにゃぁ、ごちゃごちゃぬかすバカは、頭をカチ割って、脳だけくりぬけばいいんじゃないかにゃ」
紅院の比ではないヤバさを露呈して、
トウシのSAN値がゴッソリと目減りした。
そこで、黒木が、
「夜の間は、神話生物が沸く関係で、時空ヶ丘に滞在させるわけにはいかないので……周囲のホテルを予約し尽くしましょうか」
「いきなり10万人となると、さすがに、空きはないな……とっとと、予約をキャンセルさせて、今、滞在しとる客も、そっこく追い出さないかんな」
と、そこで、トコは、トウシに視線を向けて、
「というか、そもそも、学校やないとあかんの? 脳を借りるって、具体的には、どうする感じ? それが分かれば、集めた連中の扱い方に困らんですむんやけど」
「やり方は、いくつかあるんやけど、作業難易度がエグいから、できるだけ、集中させてもらいたい。というわけで、具体的に要求するけど、時空ヶ丘の運動場に集まってもらって、ひたすら瞑想してもらいたい。ワシとそいつらの物理的距離は近い方がええから、ワシを中心にして、10万人が周りを囲む形で頼む」
「10万人が瞑想できるスペースとなりますと……まあ、第2と第9の運動場を繋げればどうにかなりそうですかね」
第2と第9の運動場は、ほとんど、隣り合わせに存在しており、
二つの運動場は、フェンスと石畳の通路で分けられている。
黒木のつぶやきを耳にした紅院が、
すぐに、電話の向こうにいるマサヨシに対し、
「パパ、追加の命令。第2と第9の運動場をつなげて。――うん、すぐに。ハリー、ハリー」
一国の支配者でもある父親を顎で使う娘。
そんな彼女を横目に、黒木が、
「ほかに、何かご要望があれば、遠慮なくおっしゃってください」
「いや、もう、だいたいは伝えた。あとは、まあ……よきにはからえ」
軽く上位者風のボケを挟みつつ、
トウシは、彼女たちに丸投げすることを決めた。




