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32話 スーパーヒロイン大戦

 32話



 戦闘態勢をとった(ように見える)シューリの姿を見て、アダムは、亜空間倉庫から、非常に豪華な装飾(シークレットレア感が強いキラキラぶり)の魔カードを取り出して、雑にビリっとやぶいた。

 その瞬間、アダムとシューリの二人は、主の間から、別の空間に転移する。



 ――『とう間隙かんげき

 創玄神層内にある、別空間。

 ほぼ無限といってもいい、超広大な空間。




 何も無い、だだっぴろいだけの、その戦場に二人。


 ――ここでなら自由になれる。

 ――無慈悲な死に没頭できる。






「……」

「……」


 アダムとシューリ。

 同じ男を愛する究極美少女が二名。

 互いに、睨みあう。


 ――アダムは血走った目で、シューリの殺し方を考えながら、

 ――シューリは、ニタニタ顔を崩さず、実は完全集中状態で、


 数秒の探り合いは、

 シューリのつぶやきで終わる。


「ふぅ……やっと、溜まりまちた。まさか、ここまでなまっているとは驚きでちたよ。これは、今後のためにも、本気で鍛え直さないとダメでちゅねぇ……」


 ボソっとそう言ってから、


 ニタニタ顔を、一瞬だけおさめて、スゥと息を吸い、目を閉じて、静かに、


「……究極超神化5……」


 シューリのコアオーラが解放される。

 膨れ上がる存在値。

 凝縮されたエネルギーの結晶を纏う。

 そのオーラはまるでダイアモンドダスト。

 無限の調和を感じさせる神聖なオーロラがシューリを美しく飾る。

 爆発的な神気の流れ。

 真なる究極の輝きに包まれたシューリは、


 スゥゥゥ……と、流麗かつ優雅な構えをとりながら、


「さぁて……サクっと殺してやりまちょうかねぇ。文句はなしでちゅよ。そっちが先にオイちゃんを殺そうとしてきたんでちゅから。完全に正当防衛でちゅ」


「貴様では私には勝てない」


「ははっ」


 渇いた笑い声をあげて、






「身の程を知りなちゃい」






 言葉が終わると同時、二人の姿が、タンとその場から消えた。




 気付いた時には、違う場所で殴り合っていた。


 空間を切り裂く音と、『肉が骨を削る音』だけが響く。

 アダムを削る、シューリの拳。

 無駄を殺した、最短にして最美の流水演舞。


「くぅっ!!」


 わずかに、アダムの歯噛みする声が聞こえた。


 暴力の火花。

 ヒュンヒュンと空間を駆けて、また肉が弾ける音。

 アダムは、ひるまず、その両手足、時には頭を、豪速で振り回して続けているが、シューリの体にはカスりもしない。

 逆に、シューリの肢体は、その全てが、的確かつ麗美にアダムをとらえ続ける。

 シューリと比べると、アダムの動きが、すべて、児戯にしか見えなくなる。

 シューリは、まるで踊るように、アダムのとてつもない速度の攻撃を、全て紙一重でよけながら、完璧なカウンターを叩き込み続けている。



 ――なんて、そんな、

 人の目では決して追えない攻防を無数に繰り返している中で、



(アダムか……なるほど。確かに弱くはない。聞いていた以上に高い潜在能力。凄まじいステータス。――だが、強くはない。コレにあたしが負ける事は絶対にありえない)


(存在値は私の方が圧倒的に上……なのに……か、勝てる気が……しないっ……くっ)



 互いに、相手の力を理解した。


 ――シューリは、


「いやぁ、すごい肉体強度でちゅねぇ……けど、それだけでちゅね」


 アダムの顔面を思いっきり蹴り飛ばした直後、そう言ってから、躊躇なく、パチンと指をならした。

 すると、シューリとアダムの間に、半透明の巨大なルーレットが現れる。


「矢印が赤に止まるとオイちゃんが……青に止まると、アダムちゃんが、数秒ほど動けなくなる呪いにかかりまちゅ」


 そのルーレット、占めている面積の99%がシューリの赤で、ほんのわずかにアダムの青がある仕様となっている。


 あまりに理不尽な確率。

 シューリ側があまりに不利すぎるルーレット。



 ――それを、シューリから提示してきたという、この異常。





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