14話 ワシは人間をやめるぞ!
14話 ワシは人間をやめるぞ!
「そのキ〇ガイじみたシステムを正しく運用すれば、神字と呼ばれる超高難度のプログラム言語を、量子コンピュータ以外でも実行可能。これが、ほんまやったとしたら……けっこうな勢いで何でもできる……あと必要なのは、具体的な想像力と演算速度だけ……」
トウシは、頭の中で、膨大な量の未来を描く。
何がしたいか、と、
何をなすべきか、という、
二つの視点で、このアプリと向き合う。
その途中で、
「……まずは、これが本物か否か……」
その判定を下すのが最優先だと認識し、
トウシは、F・クリエイションの全てをためそうと決意。
「とりあえず……」
まず、必要なのは『神字』に対する理解だった。
神字とは、『扱うのが恐ろしく難しい』けれど、
他のどんな言語よりも汎用性が高いツール。
神字の扱い方に関する『説明』も、アプリ内で確認することができた。
『さわりの部分』だけで、プログラム関係の専門書数百冊分。
トウシは、その膨大な情報量を、
「記録媒体の親玉であるアカシックレコード。概念の全てを保管できる膨大な宇宙図書館。……そんなアカシックレコードの統括でもあり、OSとしての莫大な機能を持つ極大汎用量子コンピュータのコスモゾーン。……そしてプロトコルとしての役割を持つアリア・ギアスに、情報伝達の要であるナノ・スピリット……最強の汎用性を持つプログラム言語の神字……ん……よし、だいたいわかった……あとは、実戦でならしていけばええ」
5分程度で頭にぶちこむと、
アプリ内のコマンドプロンプトを起動して、ニューラルネットワーク補助アプリの助けを受けながら、コードを打ち込んでいく。
今しがた概要を理解したばかりの、
難易度が異常に高い言語を、
トウシは、まるで、長年付き合ってきた言語のように、
すらすらと打ち込んでいく。
「……はい、これで……完成っと……この『神字』ってプログラミング言語は、パッケージの質と量がエグいから、簡単に組めるな……」
確かに、神字のパッケージは、有用なものが多く、
扱いなれてくると、一般言語よりも、
はるかに高速で、膨大な量のコードを組むことができる。
が、しかし、この尋常ではない速度でプログラムを組めるのは、
トウシの頭がぶっ壊れているからにほかならない。
「このシステムさえあれば、古典コンピュータの壁は、すべてザル……オンラインであれば、国の中枢であっても関係なく突破できる……それも、身バレを完全に防いだ上で……えぐいな……」
そこで、ボソっと、
「というか、攻めたやり方をしたら、オフラインのコンピュータが相手でも、多少はハックできるかも……現時点でオフラインでも、過去に一度でも、外部媒体と接触したことがあるなら、そこからの経由で……」
ぶつぶつと、危ないことをつぶやきつつ、
トウシは、コードを組んでいく。
「天元突破したテンペスト技術で、電子機器が放出している『微弱な電磁波』を検知して解析……あとは、一度でも繋がった事のある記録媒体から推測量子AIを利用した、サルベージ……ビットの断片記憶から推理して、未知のデータを補完推測することも不可能やない……」




