表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

245/5857

27話 お前の命令を、なんでも一つ聞いてやる(ガチ)

27話 



 ちなみに、総合スペックで言うとセンはかなり低い。

 センは、『秀才努力型』で、キチンと時間をかけて究めれば頂点に立てるが、シューリは『完全天才型』であり、基本的には最初からなんでもできる。



 ちなみに、シューリの弟であるソンキーは『特殊奇才型』。

 欠点だらけで、人格も破綻しているし、

 ガチの『ワケわからん奇行(シューリは自分でキテレツさを演出している部分があるが、ソンキーの場合は素がイカれている)』も目立つが、

 好きな事・得意な事に対しては、異常なほどのめりこみ、

 結果、一応、極めるは極めるのだが、普通とは全く違う所に着地するタイプ。 



 シューリが先発完投型のパーフェクトスーパーエースタイプだとすれば、

 ソンキーは超自己中でサイン無視しまくりの超高速ナックルボーラー(『甲斐孫六』的な)。

 さしずめ、センは、病的なほど諦めの悪い鉄腕型のクローザーと言ったところ。


 戦闘という一点だけで言えば、『シューリよりもソンキーの方が強い(ステータスとかビルドとかだけを見れば、誰もが、ソンキーの方が上という判断をする)』が、ぶっちゃけどっちが勝つかという話になれば、余裕でシューリが勝つ(なぜなら、ソンキー、アホだから。本当に頭が悪いわけではないが、なぜか、常に、愚かさと共にあろうとする)。




「シューリは、ぶっちゃけ、最強。実際、無敵」


 センはとうとうとシューリを語る。


「所詮は『俺』も、あいつの作品(神闘の基本を学んだ。かつ、シューリが望むならいつでも、誰とでも闘う所存)の一つでしかないと考えれば、間違いなくあいつこそが最強……いや、まあ、もちろん、個として最強なのは俺なんだが……」



 などと、軽くメンド臭い事を口にしてから、



「まあ、とにかく、シューリはすげぇ女だ。俺の方が確定で強いが、どっちが凄いかと言えばあいつの方が凄い」



 その感情は、どこか、母親を崇拝する感情に似ていた。

 勘違い、過大評価、買い被り。

 どの母親も、大概は、自分の子供のために、『強くあろう』とする。

 実際はただのどこにでもいる『しょうもない女』であったとしても、子供を得た瞬間に、『母』という『崇高な偶像』にならんと、スペックの限界以上の努力をするようになる。

 そして、子供にとっては、その『像』こそがすべてとなる。


 シューリは、その異常なプライドから、センに、『徹底的に磨き上げた偶像』を魅せつけた。

 最初はただの異常なプライド、途中からは暴力的な恋心。

 ずっと、ずっと、途切れることなく、シューリは、センに偶像を魅せつけた。

 結果、当たり前のように、センの中では、シューリは大きく膨らんだ。

 もちろん、全知全能という称号を得ているくらいだから、シューリのスペックはハンパない。

 だが、センの中では、実在以上に大きくなっているのも事実。


 女神の中の女神――がさらに膨らんだ姿。

 センの中で、シューリのアイドル性は狂った領域にまで昇華されている。


 普通の『可愛いだけの女の子』にも、人は神聖さを見出すもの。

 シューリはマジの女神で、スペックもハンパない。

 そんな神が、さらに自分を大きく魅せようと演出し、それがガッツリと成功した。

 究極の邪神から、全世界を守るために『自分を捧げようとした』というのもアイドル性抜群。

 センの中にいるシューリは、常に神々しく輝く雲の上のアイドル。

 誰も勝てない、永遠の憧れ。



 ゆえに、だからこそ、センは、

 強く強く強く、

 ――『見てみたい』――という欲望にかられたのだ。



 シューリほどの女を超えた女。


 それは、いったい、どれほどの存在なのか。


 この目で見てみたい。

 究極の『眼福』を得たい。


 そんな欲求が、


「アダム。もし、シューリを超えられたら……」


 センに、


「お前の命令を、なんでも一つ聞いてやる」


 こんな発言をさせたのだった。


 もちろん、『かつてのシューリ』を意識しての発言。

 もちろん、『かつての自分』が不相応に妄想した『願い』も加味しての発言。

 つまりは――




「……なん……でも……」


 アダムの心臓がドクンと脈打つ。




「ああ。なんでもだ」


 センは断言する。

 ハッキリと、誤魔化すことなく、

 まっすぐに、堂々と、


「それがなんであれ、お前が望むのであれば、俺は必ず聞きいれる」


「っっ!」


 アダムは、スゥっと奪うように息を吸った。

 乱れる呼吸を抑えつける。


 上気する。

 のぼせそうになる。

 ドクドクと鼓動がはやくなる。

 その果てに、


「本当に……お約束していただけるのですか? 『あれは嘘だ』……などと、はぐらかさないと誓っていただけますか?」






「コスモゾーンよ、俺の言葉を記録しろ」






 言って、センは、宣言する。




「今、アダムと交わした約束を、俺は必ず守ると誓う」




 アダムの目がグワっと開く。

 脳が電気で満たされる。

 決意が、覚悟となって昇華される。


(――あのイカれた女を殺す)


 燃え上がる覚悟。

 膨れ上がる殺意。


(どうやら、あの女は、何やら異質な存在らしいが、関係ない)


 幸運の女神?

 勝利の女神?


 最強で無敵の究極超女神?


 知ったことか。


(どうでもいい。とにかく殺す。すぐ殺す。いますぐ殺す。そのためなら何でもする)





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ