1話 俺の名前はセンエース。最強の神になった男だ。
「センエースwiki」というサイトが公開されました。
そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。
「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*)
1話
俺の名前はセンエース。
最強の神になった男だ。
自己紹介だけ切り取ったら、俺、完全にヤバいやつだな。
厨二とかじゃねぇ、ただのイカれた思想犯だ。
ははは……
まあ、それは別にいいや。
事実だからこそ『よけいに痛い』って点も、ひとまずは置いておいてくれや。
――神になるまでの『俺』は好き勝手に生きていた。
ただの冒険者だった時は、その世界の伝説を塗り替えまくってやった。
楽しかったね。
魔王になった時は、好き放題暴れまわって、その世界をマイクラ扱いしてやった。
楽しかったさ。
気に入った奴は優遇しまくって、
嫌いなやつは端から殺してやった。
ある意味で差別主義者。
どこでだって暴君。
DQN、DQN!
――まだまだ弱かった頃は、無力ゆえ、それなりに不自由で、
――だからこそ自由だった。
嫌いな奴は大概、悪寄りのクズだったから、
正義の味方扱いされることも多かったが、
俺は、正義を騙った事はない。
正義とか悪とか、どうでもよかった。
不自由の中で、めいっぱい、あがいていたかっただけ。
そんだけ。
それに、一応、それなりの信念を持って、好き放題やっていた。
英雄を気取って、王様を気取って、
そして、なんだかわからないまま、神にまで至った。
神の世界でも、俺はテキトーに、ワガママに、好き放題やった。
バカみたいにインフレしていく自分。
はちきれんばかりの楽しさに、ほんのちょっとの恐さ。
あまりにも膨れ上がる自分に恐れを抱いた事も、かつてはちょっとだけあった。
それでも、やっぱり楽しさの方が勝って、
だから、とにかく、全力で好き放題やった。
立ち止まってしまわぬように。
神の世界では、
不相応にも憧れてしまった女神を守るために、だいぶヤバい無茶もした。
本当に、色々と、無茶をした。
よく生き残れたな、と、素直に思う。
普通なら灰になっていた。
どんな無茶をしたか。
まあ、いろいろやったけど、一番はやっぱりアレだ。
ソウルゲート。
なにはともかく、ソウルゲートがきつかった。
ソウルゲート……あれは、地獄だった。
ソウルゲートは、簡単に言うと、神が一回だけ使える裏技。
裏技なのかな?
まあ、仕様かな。
仕様上の裏技……
まあ、言葉遊びはいい。
とにかくアレは酷いものだった。
ソウルゲートは、簡単に言うと、精神と○の部屋。
生涯で一度だけ使えるボーナス。
出現するタイミングは完全にランダム。
壊れた『どこで○ドア』を想像してくれればいい。
在る日、それが、唐突に、なんの前触れもなく、目の前に現れる。
その扉が聞いてくるんだ。
『0秒で、好きなだけ修行できる空間に連れていってやる。その空間では、どれだけの時間を使っても、外の経過時間は0だ。さあ、何年修行したい? 好きな時間を言ってくれ。無限でもいいぜ。ただし、精神が崩壊したら灰になるから、選ぶ時間は慎重にな。ちなみに、一度決めて中に入ったら変更はできないぜ』
ソウルゲートをくぐると、その先には、修行のために必要な施設だけがある別次元の世界に飛ばされる。
そこを『使用できる時間』は、扉をくぐる前に、自分で決められる。
どれだけの時間に設定してもいい。
一秒でもいいし、『無限』でもいい。
ただし、精神が壊れた時点で使用権は失い灰になって外にほうり出される。
在る日、目の前に現れるゲート。
当事者以外にも視認できるが、ハタからみる分には、マジで、壊れた『ど○でもドア』と変わらない。
空間に突然出現した謎の『扉』っぽい枠を通過したようにしか見えない。
もし、使用する時間を『無茶な単位』に設定して、修行している途中で精神が壊れたら、外からみている者にとっては、そいつが、扉をくぐった直後、灰になったように見える。
// ちなみに、ソウルゲートをくぐる前の記憶はコピー保存され、くぐった直後にそのまま頭にトレースされる。
つまり、ゲートを出た直後は、
『時間経過で薄れた、入る前の記憶』+『ゲート内での記憶』+『入る前の記憶』
という状態になるという事。 //
俺は、そのソウルゲートで無茶をした。
かなり無茶な時間を設定した。
――知り合いの神に聞いた話だが、
どうやら、普通の神は、だいたい、1万年くらいが限界らしい。
それ以上に設定したやつは、たいがい、灰になってしまうそうだ。
質素な訓練施設しかない世界で、誰とも喋らず、ただ黙々と延々に修行し続けられる奴はそういないって事。
神でも一万年がギリ。
一万年でもたいがい狂っている。
千年でもイカれている。
百年でも充分きつい。
ちゃんと考えてみれば、十年でもなかなかヤバい時間だ。
一年だって、具体的に想像してみれば、なかなかエグい数字だろう。
他に何もせず、ただ、ひたすら武を磨き続ける一年。
想像するだけでもゾっとする話だろう。
精神力の弱い者だったら、一カ月で発狂する可能性だってあるんじゃないかな
などと、ダラダラ前振りをしている俺が、実際、何年に設定したか。
俺が、ソウルゲートで過ごした時間は、
――200億年。