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30話 酒神終理

30話



「――と、まあ、こんなところだな。諸々、詳しい事は、順次、分かり次第、伝えていく」


 アダムから、今後についての諸々を聞かされた三至天帝は、


「秩序を乱さず、表を維持したまま、世界の裏を牛耳るとなると……かなりの処理能力がもとめられますね」

「総轄責任者の選別が重要じゃのう」

「誰にやらすの? 私は、バロールを押すわ」

「九華は副官において、一番上は、五聖命王から選んだほうが良いのではないか?」

「そうですね。後々まで見据えた場合、なかなか面倒な仕事になりそうですし」

「じゃあ……やっぱり『朝日』? あ、でも、こられないんだっけ? じゃあ、誰がいいかしら。『銃崎じゅうざき』?」

「……『異守こともり』の方がよいのではないか? 下の受けが最もよい」

「人気があるだけじゃダメでしょ。やっぱり、『銃崎』じゃない?」

「んー、銃崎には、いろいろとやってもらいたい事があるので、できれば、監督役には、他の誰かを置いてもらいたいのですが」

「じゃあ……『才藤さいとう』は? ちょっとヒネているけど、能力は確かよ」

「能力の高さで言えば、誰も劣ってはおらんじゃろう。というわけで、やはり、余は異守がいいと思うわけじゃが」

「随分と押すわね。男って、ほんと異守みたいなの好きよね」

「諸々が円滑に進むと思っただけなのに、まさかペド(ロリコン)あつかいされるとはのう。予想だにしておらんかった」

「幼女趣味呼ばわりを覚悟で言わせてもらえれば、ボクも、異守がいいのではないかと思いますけどね。ミシャさん、下のウケって大事ですよ?」

「んー……まあ、いいわよ。別に、異守がダメって訳じゃないし、才藤だと、問題ゼロのオールオッケーって訳でもないしね。というか、ぶっちゃけ、『アレ』でさえなければ、他の誰でもいいわ」

「そうですね。ボクも、『アレ』でさえなければ誰でも構いません」

「ふぁっふぁ。そんな事をいいだしたら、余も、『アレ』でさえなければ別に――」


 互いに顔を見合わせて、

 誰に『下のまとめ役』を任せようかという話し合いをしていた――その時、

 扉が、バーンっと開いて、






「おまたせしまちたぁ!」






 ボリューム満点の煌く金髪。キラッキラの鬼メイク。全身からアホを放出している、非常に頭が悪そうなキャバスーツの女(二十前後)が、ニタニタ笑いながら、謎のステップを踏みつつ近づいてくる。

 デカめのヘッドホンを首にかけており、

 左手の薬指には、質素なリングをはめている。


 そのハデな女は、ドカっと、イスではなく、円卓に腰をかけると、優雅に、そのスラリと長い足をくむ。

 超ミニスカのプリーツスーツ。ドンと開いた胸元にはキレッキレの谷間。

 この神聖な場にはまったく相応しくない、その美女は、


「おまちかね、みんなのヒロイン、究極超美少女にして全知全能を地でいく無敵の女神! おそらく、たぶん、五聖なんとかの一人、酒神終理、ただいま参上でちゅ! オイちゃんの輝きの前に平伏す許可を与えまちゅ。足はなめちゃダメでちゅよ? オイちゃんの足を舐めていいのは『おセン』だけでちゅから」


 などとイカれた事をほざいている酒神の背後から、一人の、シックなパンツスーツに身を包んだ知的な大人の雰囲気を醸し出している美女が、


「毎度のことながら、愚妹の非礼、まことに申し訳ございません」


 コメカミに怒りマークを浮かべながら、酒神を睨みつつ、三至天帝に向けて頭を下げた。


 ゆっくりと頭を上げてから、


「三至天帝の御三方は、おひさしぶりでございます」


 そう言ってから、アダムに視線を向けて、


「はじめまして。私は、五聖命王が一人、銃崎心理と申します」


 名乗りを受けて、アダムは、


「この上なく尊き主の側仕え『アダム』だ」


 サクっと自己紹介をしてから、


「答えろ。今日の会議に、五聖命王は呼ばれていないはず。なぜ、主の命に背いて、この場にきた?」


 ピリピリとしたオーラを発しながらそう尋ねた。


 すると、酒神が、


「おにいが言ったのは、『こなくてもいい』でちゅよね? だったら来てもいいって事でちゅよね? 命に背いたって事にはなりまちぇんよ」


「……貴様が酒神終理か……主上様から話は聞いている……どうやら、聞いていた以上に狂っているようだな」


「いやぁ、そんなに褒められると、テレちゃいまちゅねぇ」


 などとぬかす酒神を、アダムはジっとみつめ、




「……一応、確認しておこうか……私を前にしても、まだ、その口調を続けるのか?」




 グゥっと強めのオーラを出してそう問いかける。



 すると、酒神は、キョトン顔で、



「ん? 何か問題があるんでちゅかね? あれ? なんか怒っていまちゅか? んー、なんででちょう。オイちゃん、バカだから、ちょっとよくわかりまちぇん」


 のほほんとそう言ってから、ニィっと微笑みを強めて、アダムの目をジっと見つめ、


「しかし、お嬢ちゃん、御見事な強さでちゅねぇ。確か、名前はアダムちゃんでちたっけ? いやぁ、素晴らしいでちゅねぇ。アダムちゃん、かっこいいっ! ぱちぱちぃ」


 ニィっと笑いながらそんな事を言う酒神。


 アダムは、ギリっと奥歯をかみしめて、


「……ずいぶんと長く生きてきたが……赤子扱いされたのははじめてだな……」






 赤ちゃん言葉は、赤子が使う言葉ではない。




 べろべろばぁ、かわいいでちゅねぇ




 ――赤ちゃんに対して使う言葉。


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