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【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
神C章 バッドエンドシンドローム。

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109話 命の華が枯れ落ちる。


 109話 命の華が枯れ落ちる。


 センエースは、『絶望に耐性がある特別な存在』ではなく、

 『誰よりも必死に歯を食いしばっていただけ』の『人間』でしかない。


 だから、ずっと、苦しかった。

 本当は、泣きわめきたかった。


 『ここまで耐えることができた』のは奇跡でしかない。

 いや、その表現は、センに対して失礼になるだろう。


 ――ただ必死に『頑張った』だけ。

 それ以外の表現はふさわしくない。


 アホほど必死に、全部を飲み込んで、

 限界を超えて、苦しみ、もがき、あがきながら、

 どうにかこうにか、頑張って、

 ギリギリのところで、耐え忍んでいただけ。




 『頑張れる』のも才能?

 ふざけるな。




 この『踏ん張り』を、この『闘争』を、この『忍耐』を、

 単なる『生まれつき』で処理しようとするんじゃねぇ。


 『この世に存在する生命全部』が『束になってかかっても太刀打ちできないほど必死』になって努力し続けた。


 その気概を、『才能』なんていう『お行儀のいい言葉』でくくるんじゃねぇ。

 『生まれつき』なんかじゃねぇ。

 『そういうスキルを持っていたから』じゃねぇんだ。


 ただ、頑張っただけだ!

 誰も追いつけないほど!

 気が狂い終えるほどに!


 ただ、誰よりも、必死に頑張り続けただけだ!


 ――だから、



「……あああ

   ああ、ああ

    あああああっ、ああああ

   ああああ


 あああああああああっ!!」



 頭を抱えて、

 れたノドにムチを打って、

 センは、決壊した慟哭で、世界を埋め尽くす。


 ――その背中を、カズナは、黙ってみていることしかできなかった。

 投げかける言葉など持ち合わせていない。


 泣き崩れるセンの背中を見ながら、

 カズナが思ったことは一つ。


(……ただの人間だ……)


 『閃壱番』に対する認識に『決定的な齟齬そご』があったことを理解した。

 あるいは、いまだぬぐいきれない『若さゆえの過ち』を『認めた』と言ってもいいかもしれない。


(この人は……私と同じ……ただの人間……)


 これまで、カズナは、

 センのことを、『超人』だと認識していた。

 『王』『英雄』、あるいは『怪物』。


 なんにせよ、とにかく、

 カズナは、つい数秒前まで、

 『閃壱番』のことを、

 『センエース』という『種類』の『特別な存在』だと認識していた。


 ――違う。

 人間だ。

 そこらを歩いている一般人と、

 何も変わらない、ただの人間。

 弱くて、脆くて、無様で、みっともない。

 そういう、ただの小さな命のカケラに過ぎない。


 ――ただ、誰よりも必死になって虚勢を張っていただけのチッポケな人間。


 『ソレ』が理解できたから、

 カズナは、涙を流した。


 ボロボロと、

 大粒の涙が、

 感情を食い破って、

 とどまることを忘れ、

 脱水も覚悟の勢いで、

 ひたすらに。


 ――その間にも、センは、



「あああああ、ああああああああああっっ!」



 終わらない慟哭の底に沈んでいる。

 これまで我慢していたものを吐き出すみたいに、

 全力で叫び、全力で泣いた。


 ――壊れてしまった。


 急激なSAN値の乱高下により、

 センの心は崩壊した。


 魂魄が揺らぐ。

 命の華が枯れ落ちる。


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自作コミカライズ版36話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[一言] 数回のループだしこんなになるか?戻れるしって思うけど「誰よりも努力してつかんだひと時の幸せ」を味わってた瞬間にこれはキツイな、、、どうすればいいのか見通しも立ってないし、、、、
[一言] 果実というのは、花が枯れた後に実るもの。 という訳で、センの覚醒に期待してます。 今までは、抗いきれない絶望に負けた時も、 負の方向に引っ張られていた時も、ルナや ミシャ(業)やシュー…
[一言] 先に全力でリラックスしたのが重く効いてますね。 原初の記憶の??????の叫びと似てますね。というか多分同じ。 つまり、ここからが本番? 最強の精神力という名のエグい呪いを背負った人間、…
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