表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
神C章 バッドエンドシンドローム。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1978/5999

108話 いくら『今日』を頑張りぬいても、一向に『明日』がこない。


 108話 いくら『今日』を頑張りぬいても、一向に『明日』がこない。


「……少しはリラックスできましたか、陛下?」


「ああ、たぶんな」


 『やり方を間違えているヤツばかり』だったが、

 しかし、センの性格を考えた場合、

 実際のところは『まあまあ正解』だったりもした。


 『歪んだ男』には、『歪んだ感謝』がよく似合う。

 結局のところは、それだけの話。



 ――カップのコーヒーがカラになった。

 それなりに良い時間が経過して、

 太陽が高くなってきた。


 優しい時間は、






 ――唐突に終わる――






 前フリなどなかった。

 例の声は聞こえなかった。

 しっかりと、『完全に油断したタイミング』を狙われた。


 凶悪なほど狡猾に、

 『心と体が温かくなった隙間』を刺された。


 刃が風を裂く音と、重厚な爆裂音だけが世界を飾る。

 ただただ、『不愉快極まりない音』だけがセンの耳をつく。



 これまでと、特に変化のない絶望。

 まっすぐな絶望。

 だからこそ、より映える地獄。

 『特殊な音色』であやふやになどしてくれない。

 ただただ、純粋な痛みで、センを苦しめる。




「……」




 最初は、悲鳴も混じっていたが、

 しかし、数秒も経てば、

 静寂が訪れた。


 そこから、さらに数秒が経過すると、

 遠くで、車が爆発する音などが聞こえてきた。

 窓の外に視線を向けると、

 あちこちで、煙もあがっていた。


「は、はは……」


 グッタリと、力なく、

 イスに体重を預けたまま、

 センは、


「はははははははっ!」


 豪快に、『今』を笑い飛ばした。



「はははははは……はは……はーあっ……っと……」



 笑い飽きたところで、

 センは、イスから立ち上がる。


「楽しいねぇ」


 などと言いながら、

 さっきまで座っていたイスの背もたれを掴むと、


「嬉しいねぇ」


 などと言いながら、

 そのイスを机に向かって、

 思いっきりたたきつけた。


 耐久に振っているイスではないので、

 簡単に破壊することができた。


 そのままの勢いで、

 センは、カップを壁に投げつけ、

 メニューを引き裂き、

 別のイスの背もたれを掴んで、

 また豪快に破壊して、


「ははははははは!」


 真顔で、喉がつぶれるほど笑いながら、

 店内にあるだいたいのものを、全力で破壊していく。



 五分ほど、暴れ倒してから、


「はぁ……はぁ……」


 センは、膝から崩れ落ち、

 頭を抱えて、


「……痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い……」


 ただの感情を口に出す。

 『ヒーロー』の仮面を脱ぎ捨てて、

 『王』としての職務を捨て去って、

 ただただ、自分の感情を吐き散らかすセンエース。


「……苦しい、苦しい、苦しい……もう、イヤだ……辛い、辛い、辛い、辛い、辛い……」


 ひたすらに『弱さ』を叫ぶセンの背中を見て、

 カズナは、ようやく理解した。


 ――彼が、ただの人間であること。


 どこかで、カズナは、

 センエースを『特別な存在』だと認識していた。

 『自分とは違う特殊な生き物』だと思いこんでいた。


 違う。

 何も変わらない。


 センエースは、『絶望に耐性がある特別な存在』ではなく、

 『誰よりも必死に歯を食いしばっていただけ』の『人間』でしかない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版36話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
この話大好きなんですよね。 人間性というか、こぅ、ちゃんとキャラが生きているというか。 ゼノ・セレナーデの、倒すべき敵が見えない中でがんばり続けている感じ。 この話でゼノにも完全に引き落とされましたね…
[一言] 続き楽しみ
[一言] うむぅ…矢張りこうなってしまいましたか。 カズナ「(不甲斐ない男…情けない男…私はこんな男を陛下と崇め奉(あがめたてまつ)っていたのか?)」 ちがっ…カズナはそんなクズナじゃない!でも、…
2021/03/27 08:25 トウシ君ファンクラブ会員
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ