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5話 神様、禁止

 5話




 その発言を受けて、ゼンは、ギリっと奥歯を噛んだ。


「……えらく、限定的な発動条件だな。妙に作為的なにおいを感じるぜ」


「あたしもや。けど、今、それを探ったところでどうにかなるとは思えん」


「そう……だな……」


 つぶやきながら、しかし、ゼンは、心の中で、


(確定だな。明らかに偶然ではない。誰かが、『最初からそのつもり』でシグレに呪いをかけたんだ……その犯人……ニーの発言がフェイクで、実は神様でしたってオチ……ありえそうではあるが、しかし、絶対に違う。なぜそう思うのか分からないが、あの神様は、そういう事をしない気がする……)


 『なんか、そんな気がする』という、アホの理論。

 普段のゼンならば、そんなフワフワした理論をもとにして結論を出すような事は絶対にしない。


 しかし、なぜか、あの神様に対しては、いつも、そのアホ理論を適用してしまう。




 // ゼンは、自覚ゼロだが、無意識的に、『センエース』という神に『己』を感じている。この段階では、『意識上』だと『似ている』とすら感じていないのに、どこかで、神に『自分』を感じている。ゆえに思ってしまう。『自分ならば絶対にしない事』を、あの神様がするはずがないと。 //




「二つめの条件やけど、『神様に泣きつくん禁止』ってことらしい」


「……冒険者試験に確定で受かるために、これ以上のチートをおねだりする事を禁止……そういう意味か?」


「それもあるんやろうけど……もっと具体的に言えば、この呪いの発動条件について、あんたとあたし以外で知っとるヤツがおったらアカンって事らしい。誰かに言った結果として、神様に伝わるんが最大のNG、みたいな感じなんかな、わからんけど」


「ニーはいいのか?」


「あたしが持っとる召喚獣の既知がギリの境界線らしいで。もちろん、ニーやゼロさんも神様に言うん禁止。筆記とか伝言で伝えようと考えた時点でアウト。かなり厳しい制限がついとる感じや」


(……ふざけた条件だ。もしかして、俺たちで遊んでいる? いや、違う。それにしては、『明確な方向性のある意図』を感じる。これは、きっと、遊びじゃない……なんだ? ……どうしたい? シグレに呪いをかけたヤツは、俺達で何がしたい? 考えろ……考えろ……)



 頭を必死にまわすゼン。


 ゼンは賢い訳ではない。

 だが、決してバカではない。



(やみくもに考えてもラチがあかない。情報を並べろ。前提を揃えろ。……まず第一に、覚えた違和感の処理をしよう。まず感じたのは……呪い発動の条件が、なんだかチグハグだって事。一貫していない……いや、というより、二面性がある……ああ、そうだ……二つの方向性があると考えればシックリくる……)


 そこで、ゼンは、


(おそらく、敵は二人いる。敵……ぃや、もしかしたら、片方は味方かもしれない……俺達に、『何かをさせたがっているヤツ』と『それを阻止しようとしているやつ』……たぶん、その二つがいる……確定じゃない……けど……とにかく……)


 グっと奥歯をかみしめて、眼球に血を走らせながら、


(あの神様ですら解けない呪いをぶちこんできた敵。相当の強敵だ。もしかしてゼノリカ? ……いや、なんか違う気がする……って、さっきから、『気がする、気がする』って、俺は、アホの子かよ)


 一度、溜息をはさむ。

 そして、


(……けど、マジで本当に違うような気がしてならねぇ。……あー、もう、いいや。もしゼノリカが、シグレに呪いをかけた相手だったなら、予定通りぶっつぶすだけ。そうじゃなかったら、元凶を探し出して殺す。それだけのことだ)


 答えが出ると、ゼンは、キっと虚空をにらみ、


(どこのどいつか知らんが、ナメたマネしやがって……必ず、落とし前をつけさせてやるからな……覚悟しておけ)




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