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59話 五神の一柱

59話



「最悪や! なんやねん、あいつ!」


「シグレ! いいから、とにかく逃げて!」


「これ以上ないくらい逃げとる!!」


 必死の形相で足場の悪い山中を駆け抜けていく黒髪JK。


 途中、シグレは、左手の中指にはめている指輪をチラっと見つめた。


 かなり弱くなっていた光が、今、完全に消えた。


「ニー! あかん! ゼロさん、死んだ! どんぐらいで、もう一回使えるようになる?!」


「完全に殺されたみたいだから、丸一日は使用不可!」



 召喚獣は、コアが隔離されているので、ガワを壊されたとて、何度でも再生可能。


 ただ、当然、損傷度合いや、召喚獣のスペック・コストによって、再生までの時間は変わってくる。



 ウイングケルベロスゼロ(EW)が完璧に破壊された場合の再召喚可能となるまでの時間は、28時間。



「なあ、ニー。カース3兄弟もゼロさんも、世界最強クラスって話やなかったっけ? 実際、どっちもメッチャ強くて、盗賊団を相手にしてた時はアホほど無双してたのに……なんで、『あいつ』には、こんな、まあまあ簡単にやられるん?!」


「……あの子らは、直接闘うのが得意な子たちじゃないからね……」



 センによって魔改造されたウイングケルベロスゼロ(EW)は、当然のように凶悪な性能を誇っているが、それは、飛行オプションとしてのスペックの話。

 ステータスの数値は破格だが、戦闘力に関しては、『直接戦闘が弱過ぎて話にならないカースソルジャー』にも劣る。

 同等に近い存在値を持つ者が相手だと相手にならない。



 あえて例えるなら、ウイングケルベロスゼロ(EW)の戦闘力は、『手先が不器用で、かつテレビゲームなんて人生で一度もまともにやった事がないお婆ちゃんの格ゲー力』より下。



「神の力が使えるならともかく……現世で、存在値トントンの『殿堂入りした連中』を相手をした場合、流石に通用しないんだよ」


「その殿堂入りって、なんなん?!」


「……『逸脱者』とか、『資格を持つ者』とか、色々と言い方はあるけど、簡単に言えば、その世界の『準神様』をやっている連中。御主人みたいな、正式な神様じゃないけど、『そうなれる可能性』を持った連中の一人って事」


「なんで、そんなヤツが、あたしの邪魔しにきたん?! 準神様ってことは、一応、善側のヤツちゃうん? なんで、盗賊団を壊滅させようとしとったあたしの邪魔するん?!」






「貴様がイレギュラーの眷属だから」






「うわわわ!」


 突如、前方に現れた男を見て、シグレは青い顔で叫んだ。


「正直、驚かされたぞ。凄まじい召喚獣だった……噂のイレギュラーが、まさか、『あれほどの召喚獣を、眷属にポンと貸し与える事ができるほどの存在』とは思わなかった……懐疑的だったが、あるいは、本当に、六番目の従属神になりうる器なのやもしれん」


 言いながら、その男は、



「自己紹介がまだだったな。私はホルスド・ガオン」



 大柄で筋肉質だが、ハッキリとした気品を感じさせる顔立ち。

 真っ白な肌、刈り上げた茶髪。


 派手すぎない金の装飾物を全身にほどよく散りばめて、半楕円形の真っ白な布を体に巻いている(古代ローマ人っぽい恰好)。



「五神の一柱。大いなる主に仕える者。そして、今は、イレギュラーに試練を与える役を仰せつかっている……つまりは、まあ、神の試験官と言ったところか」


「……なに言うてるか、さっぱりわからへん。マジで、あんた、なんで、あたしに攻撃してくるん? あたし、あんたに何もしてないよな?」


「我々の接近に『気がついたから』かどうかは知らないが、イレギュラーの反応が、魔王国から消えてしまったのでね。眷属である貴様をエサにして、イレギュラーをおびき寄せることにしたのだよ」



 ホルスドは、淡々と、



「というわけで、これから、貴様には、全力で鳴いてもらう。きちんと教えてやったのだから、私の意図は完璧かつ十全に理解できたな? けっして声を抑えず、感情を隠さず、全力で、みじめに、ぶざまに、滑稽に……イレギュラーへ助けを求めろ。わかったな」



 言いながら、右手の人差指を、親指で押さえつけるようにして、ボキっと鳴らした。






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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[一言] ユズって誰だっけと思ってそういや蝉原の近くにいたやつだっけと読み返してたら誤植ハケーン! ホスルドは、淡々と、←ホルスドでは?
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