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【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
『0』章 反聖典物語~カドヒト・イッツガイ(門人壱番)の慟哭~

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7話 伝わらないメッセージ。


 7話 伝わらないメッセージ。


「俺が焦がれた『本物』は間違いなく存在したのに、聖典のせいで、俺は、長いあいだ、ニセモノに目を奪われていた。これじゃあ、あんまりだ……流れた血も、振り絞った勇気も……全部、センエースって偶像に塗りつぶされている……これじゃ……あんまりだろ……」


 かすれる声。


 強すぎる想いが、

 強固すぎる信念が、

 彼の心を苦しめる。


「俺みたいな悲劇は繰り返しちゃいけないんだ。子供が胸に抱いた本気の想いを、無為にもてあそんで、ふりまわして、絶望させるようなマネは……すべきじゃない。子供騙しのくだらない嘘で世界を穢すな。ゼノリカの事実は美しい。たのむから理解してくれ。これは、純粋な倫理の話なんだ」


 本気の想い。

 だからこそのメッセージ。

 重たい慟哭に乗せて、心からの叫びを届けようと必死。


 そんな彼に、

 パメラノは言う。


「主は実在する」


 装飾はしなかった。

 ただ事実だけを口にする。

 ゆえに、


「……ふ……ふざけるな……」


 当然、伝わることはない。

 言葉はいつだって完全に不完全だから、

 人間は、どこまでいっても正確にわかり合うことはできない。


 『誰もが輝く明日を想える未来』を手にしても、

 いまだ、人は『他者を完全に理解できる領域』には至っていない。


 『分かりあえていない』と思ったのは、スールも同じ。

 『パメラノには、自分の言葉がまるで伝わっていない』

 その事実が、彼を絶望させた。

 重たい絶望だった。

 本気で想いをぶつけたのに、わずかも響いている様子がない。


(どうして……そこまで、頑なに嘘をつきつづける……なにが、あなたにそうさせる……栄えあるゼノリカの天上、九華十傑の第二席。あなたの高潔さや誠実さは、すべての命の中でもハイエンドだというのに……なのに、どうして、当たり前の倫理が理解できないんだっ!)


 苦しさに包まれる。

 分かり合えないという絶望は重たい。

 ――しかし、この程度で折れるくらいならば、

 反聖典のメンバーになったりしない。


 第2~第9アルファにおいて、

 『聖典に反する』という行為は、

 決して『冗談』で出来ることではない。


 スールは、キっと強い視線で前を向き、


「こんなもんに騙されるのは頭の悪いガキだけだ。三至天帝以上の強さを持つ存在値1000のバケモノ……そんなバケモノ10000体を相手に一人で無双しましたって? バカすぎるだろ。せめて『全員で戦った結果、最も功績をあげたのがセンエースだった』……ってんなら、まだ無邪気に『さすがセンエース』と信じてもいられたが……いくらなんでも、これはひどすぎる」


 大人になって『命』を理解すればするほど、

 死ぬほど鍛錬して『武という器の作り方』に悩めば悩むほど、

 スールの中にある『センエースという概念』は、

 どんどん、どんどん、『安っぽい妄想』にちていった。


 『人の弱さ』とか『当たり前にある限界という名の壁』とか、

 そういう『超えられない現実』を知るにつれて、

 センエースという概念が、

 いかにくだらない妄想であるか、理解できてしまった。


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自作コミカライズ版36話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[一言] 確認なんですけど聖典の内容=ガチの事実ではなくて たとえばバグ戦だった周りの援護とかは書かれてない感じですか? 実際は」 「存在値1000の化け物軍団に周りから多大な支援、ドーピングしながら…
[一言] 高潔さで言えば、ルースは知らないけど パメラノ<ハルス≦トウシ≒センエース、 みたいな感じですよね。サーバンもシーバンも ゼノリカが管理する世界で生まれていれば、 もっと変わっていたかもしれ…
[一言] 実際スール君は、その妄想の中の英雄に何度も会っているというのが良い皮肉(?)ですねw ぶっちゃけ、センが一回現世に降りてしまえばそれだけで反聖典がなくなりそうですねw。でも反聖典組織がなく…
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