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【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
真E章 P型センエース4号の神話。

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77話 全宮ロコのブレーキ。


 77話 全宮ロコのブレーキ。


(これほど整った状況下で、このガキが降参したとしても、それを理由にダギーを咎めることなど出来るわけがない……それをしてしまえば、私は『子供の配慮すら理解できない大バカ』になってしまう。それはありえない)


 支配者は『愚者のレッテル』を何よりも恐れる。

 『名誉』を大事にして生きるのは窮屈なのだが、

 『立場』には必ず、その面倒な負荷が付き纏う。


 結局のところ損失は損失なのだが、

 しかし、ゲンの配慮によって『納得のいく損失』になった。


 『ゲン・フォース』を理解することができ、

 それがロコについているという事実を認識することができた。


(機転、根性、資質……なるほど、なるほど、すべてが、五歳のガキとは思えない優秀さ……ロコが認めただけのことはある……あるいは、こいつなら、ロコのブレーキになりえるやも――)


 などと、アギトが考えていると、

 ロコは、



「合計で900億円……悪くないわね」



 ニィと笑い、


「では、ゲン……必ず勝ちなさい」


 そう言って、亜空間の壁際まで下がると、

 両手を組み、背中を壁に預けて、


「いいわね、ゲン。絶対に勝ちなさい。忖度そんたくして、降参を口にするなど許さない。もし、お兄様に配慮して降参を口にした場合……そうね……どうしようかしら……」


 そこで、ロコは天を仰ぎ、


「……殺す……のはいろいろと勿体ないのよね……けど、その痛みに値する罰は与えたい……となると……」


 ロコは数秒考えてから、

 ニっと微笑んで、


「もし降参したら、あたしはこの場で自殺するわ」


「「っ?!」」


 ロコの発言を受けて、

 ゲンとアギト、両者の表情が一気にくもった。


 そして両者ともに理解する。

 彼女の厄介さ。

 彼女の壊れ方。


 『ゲンを殺すのはもったいない』と言った口で、

 自ら、自分の命を危険にさらす。

 ――もはや、何がなんだかわからない。

 『狂っている』――そう表現するしかなかった。


 思わず膝から崩れ落ちそうになったゲン。


(……こ、ここまでバカなのか、この女……)


 ゲンはナメていた。

 ロコの覚悟と狂気。


 失ってしまっているのだ。

 彼女は。


 常軌を逸して、己が摂理と心中する修羅の覚悟。

 研ぎ澄まされた刃のように鋭利な狂気。


(やる……あの女は……マジでやる……)


 完全に狂った目。

 ゲンにはハッキリと分かった。


 全宮ロコは、

 もし、ゲンが降参を口にしたら、

 ――本当に、その場で自殺をするだろう。


 さすがに我慢できなくなったのか、

 そこで、アギトが、


「……いい加減にしろ、ロコ……本当に……いい加減に……」


 我慢の限界はとっくに超えている。

 しかし、ロコが口をひらくたびに、

 アギトの怒りのボルテージは、どんどん上がっていく。


「なぜ、そうも……なぜ……なんで……」


 怒りに震えているアギトに、

 ロコは、


「おやおや、全宮の次期当主ともあろう御方が、こんな小さな子供が怖いのですか?」


 けらけらと笑いながらそう言う。

 止まらない挑発。

 突き進み続ける嘲笑。


(ああ、このガキはダメだ……止まらない……誰もブレーキにはなれない……)



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自作コミカライズ版36話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
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