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5話 久しぶりに、キレちまったよ……ぶっ壊してやる。

 5話







「……あぁぁぁぁぁぁぁん?!!」






 鍵穴にハメこんだ冒険の書が、ポイっとはじき返された。


 その様子を見ていたセンは、顔中に血管を浮かびあがらせて、


「……は、はは……この野郎……ナメたマネしてくれんじゃねぇか……何が正規のルートだ、クソが。てめぇ、まさか、この究極超神センエースに、『冒険者試験を受けてこい』なんて、そんなナメた事言うつもりじゃねぇよなぁ、おぉ?」


 そこで、センは、


「こちとら、もう、我慢できねぇんだよ……悠長な事はやってらんねぇんだ」



 スゥっと大きく息を吸って、




「……はぁぁあああああああああああああああ……」




 一分ほど、完全集中状態でオーラを練り上げてから、



「究・極・超・神・化……5!!」




 サイと闘った時よりも遥かに強大なオーラを纏う。


 その場にいながら、『遥かなる高み』の果てに立つ。



 巨大な扉を見下ろして、


 勢いそのままに、



「クソ扉ぁああ……俺のワクワクドキドキを邪魔すんな。さっさと開け。拒絶するなら、ぶっ壊すぞ!!」




 魔力を高めて、脅しつける。


 返答はなし。



「いい根性だ!! 気にいった!! 殺す!!」



 両手に、膨大化させたオーラと魔力を融合させたエネルギーの塊を集中させて、


「顕現! 【フルパレードゼタキャノン】!!」


 宣言と同時、金属が高速回転しているような音が響いた。

 その直後――


 ガチャガチャガチャッッ!!


 両手に一丁ずつ、巨大な銃が現れた。

 メタリックな銃身が脈打っている。

 『激しく生きている』と一目で分かる威容でありながら、その深部には、『気高い無機質感』が確かに在った。

 センの体躯の三倍はある大口径の超強大な魔双銃。

 センは、その凶悪な二つの銃口を扉に向ける。



「3……2……1……」



 一度撃ってしまうと、長時間の冷却を必要とするオーバーヒート状態になってしまう代わりに、究極の殲滅力を体現できるという最高峰のバカ火力魔法。


 ――砲身が輝きだす。

 悲鳴のような駆動音。

 エネルギーが一点に収束していく。


 そして、極限まで高められた『暴力』が解放される。



「0……食らい尽くせ」



 主の命令に従い、フルパレードゼタキャノンは唸り、勢いよく咆哮。

 豪速のエネルギー弾が扉を襲う。

 極太の照射。

 大気が鳴動する。

 空間が歪んで、バチバチと黒い電磁放射が舞う。



 ――だが、






「ふぁっ?!」






 扉はビクともしなかった。

 かなりの魔力を込めて放ったというのに、傷一つついていない。


「……えぇ……マジっすか……」


 センは素の表情で、フルゼタを消す。

 そして、ペタペタと両手でさわりながら、扉の状態をシッカリと確かめる。


(……おいおい、マジでヘコみの一つも出来てねぇぞ……信じられねぇ……そんな物質が、この世に在っていいのかよ……)



 そこで、センは、親指の爪を軽く噛む。



(これって、マジで、ありえてきたって事じゃね? ……この奥に、俺すら話にならない世界が広がっている可能性……)



 『ソレ、マジでどんな地獄だよ』と思いながらも、心の底から、



(ぁああ……見たい……行きたい……そこはどんな世界だ? 何がある……何ができる……そこでなら、俺は……)






 ―― どこまでいける? ――






「アダム!!」


 センは、そこで、地に降りて、


「俺は、これから、冒険の書をパクりに行く。テキトーに王族を締めあげれば、すぐにでも、さし出してくるだろう。つまり、数分で戻ってくるってこった。だから、何も心配するな。つぅか、何もすんな」


「主上様、冒険の書なら、わたくしが一冊、保有しておりますが?」


「なに? マジで?」


「はい。戦争時には、何度か冒険者と対峙する場面に遭遇いたしまして、何かに使えるかと思い、一冊だけ奪っておいたのです」


 返事をしながら、アダムはアイテムボックスから冒険の書を取り出して、


「どうぞ、お納めください」


「よくやった、アダム。愛しているぞ」


 言いながら、センは、アダムを抱き寄せて、その頬にキスをする。

 ついでに、その豊かなオッパイも一揉みしておく。


「しゅ、しゅ、主上様!」


 真っ赤になって慌てるアダムを置いて、

 センは、すぐさま、先ほどの位置まで飛び、


「おら、本物だ! さっさと開け!!」


 もう一度はめこむ。


 すると、



『ブブー。この冒険の書は、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様・究極最終形態EX)を倒した者の所有物ではありません』



「……こ、こ、この……カスが……おちょくってんのか……ぼけぇ……」



 怒りに震えながら、頭の中では、


(冒険者試験を運営している委員会にカチこみをかけて、俺の『冒険の書』を作らせるか? ……いや、それをしても、正規のルートじゃねぇとか言いだすんじゃ……ちっ……くそが……手抜きのRPGみたいな要求してきやがって……鬱陶しい……俺は『お使いゲー』が大っきらいなんだよ、クソが……)



 そこで、センは、少し深呼吸をして、



(落ちつけ……別に、この扉は逃げねぇ……正規のルートで手に入れて、堂々と通ってやればいい。幸い、試験は数日後。『今すぐいく』か『数日後になる』かの違いでしかない。落ちつけ)


 一度、深呼吸。

 そして、決断する。






「いいだろう。冒険者試験……受けてやろうじゃねぇか」




 

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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
これは本来は順序がちゃうんやろね 冒険の書を手に入れたほど強い者がそこからさらに努力して決戦兵器をボコれるまで強くなった結果扉が出てくる みたいな せんちゃんは最初から強くてニューだもので冒険の書を未…
2025/09/25 22:49 薬品売場の薬品A
自分の記憶では最新話時点でシューリや他の女性キャラにはキスとかしてないですしアダムだけは特別扱いっぽいですよね。
[良い点] ここにきて冒険者試験!?落差がすごいな。あの転生者ちゃんに変な目で見られそう
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