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53話 『無限転生』

 53話








「し……信じられねぇ……」


 『セン』が、


「ウソだろ……マジではじけ飛んだ……」


 呟く。


 理解が認識と並走する。


 『ソレ』は、確かにはじけ飛んでいた。




 センは、何度も何度も、自分の中にアクセスして確かめる。




 間違いない。

 完全に――破壊されている。






「俺の呪い……何をしても抗えなかった『無限転生』の呪いが……あとかたもなく破壊されている……」







 はじけ飛んだのは、『センを構成している全て』の『中核』だった『無限転生』。


 何をしても消えてくれなかった、地獄の呪い。






「やっ……た…………消え、た……やった……」






 ぷるぷると喜悦に震えているセンを、呆けた顔で見つめていたサイケルが、


「な、なぜ、吹っ飛ばない! はぁ?! 解析、できたはずだ! 分解できるはずなのににぃい! なんでぇ!!」


「出来ているさ。誇っていい。俺は、はじめてお前を尊敬した。すげぇよ、サイケル……お前の、その力は、いったい何なんだ……ぃや、いいや……詳細とか、どうだって」


 センは、グっと歯をかみしめて言う。


「終われる……わかる……俺は、今、ただの神になった……『完全なる消滅』さえ果たせれば……キッチリと終わる事ができる……ただの優しい『独りぼっち』…………静かで、豊かな、本当の……あぁ……」


 そんな喜びに打ち震えているセンに、



 ――サイケルは、両手を向けて、






「シネよ、……死ね……死ね……死ね……しね、SINE、壊れろ、どうして破裂しない!!」






 何度となく、あらゆる角度から、『センの破壊』を試してみた。


 センをこっぱみじんにしようと必死にあがく。


 しかし、



「なんで……できない……意味がわからない……解析できているのにぃいいいい!!」





 と、そこで、センは、


「おっと、そうだったな……まだ、途中だった」


 ハっと顔をあげて、


「かみしめるのは後だ。まずは、アダムを取り返してから……俺のフィナーレは、そのあとで、ゆっくりと考える」


 バクバクしている心臓を整えて、


「サイ、良かったな。お前にとって、最高の舞台が整ったぞ。俺の神生唯一にして、最大にして、最後の――『絶対に負けられない闘い』。その敵がお前だ。ははっ、なんということでしょう。劇的にもほどがある」


 センは軽口を並べながら、トントンと短くジャンプをして、


「さあ、やろう。ラスボス役が『大根役者のデビュー前』という、ちょいと残念なキャスティングだが、まあ、贅沢は言わねぇさ」



 センが喋っている間、サイケルは必死に考えていた。

 『終わりたくない』という、祈りにも近い懇願と、

 このままでは本当に『何もできずに終わってしまう』という焦りが錯綜。


(いやだ、いやだ、いやだぁああ! このまま終わりたくない……せめて、一矢……なにか、ないか……なんでもいい……なにか……もはや、こうなったら、かすり傷でもなんでもいい。とにかく……何かぁあ……)


 解析できたなら、殺せないにしても、何か出来る事があるのではないか。

 自分の力が完全に通用しない訳ではない。


 ――ならば、なにか、あるはず――


 必死にあがき、悩み、もがいた結果――

 サイケルの思考は、




 届いた。








(そうだ! ヤツの無限転生……それを奪い取れば……)






 

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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[良い点] いやそれ今壊したろ。気づいてないのか [気になる点] 主人公は生きるのに飽きて死にたかったみたいだけど、 今死ねば転生せずに無になることが出来るようになったってことかな だとしたらサイケル…
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