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400文字小説

行方

作者: 船生龍之介

 俺はたった今人を殺してきたのだった。そ

れから夜の街を駆け回り、路地裏に彷徨いこ

み、闇と霧と都市の排水にまみれながらいつ

しか地面に臥せっていた。

 アスファルトは冷えて心地よかった。火照

った頭が湯気を立てて冷却されてゆく。背中

に降りかかる重力が俺を大地へと押し付ける。

吐き捨てられたガムのような気分だ。なにし

ろ俺にはどこにも行き場がないのだ。

 その時目の前を一匹のネズミが通り過ぎた。

俺は知らず這いつくばってそのネズミを追い

かけた。ネズミは蓋のずれたマンホールの穴

に入って消える。俺は誘われるようにして蓋

を押しのけて梯子を伝い、底に降りてゆく。

 バカな。俺ははっと気がついて丸く切り取

られた小さな空を見上げた。この街の星空は

これ程綺麗だったのか? 梯子を降りながら、

時折遠い夜空を見上げ、闇が深くなるにつれ

星が輝きを増すのを知った。そしていつしか、

街は闇に浮かぶ一点の光へと変わっていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 吐き捨てられたガムのような気分だ。という表現は巧妙ですね。それから後半部、主人公が星空を見上げるあたりも情景が浮かんで読みやすかったです。 [気になる点] 所々、日本語の間違いや伝わりにく…
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