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ミッション2 『変な男拾いました』

 飲食店やブランド店が立ち並ぶ街を歩くと突然体当たりをしてくるグラサン男が来た、ヤマトはそれを当たらないようにかわす。

 グラサン男はヤマトの前で倒れると、地面に転がり大きな声を上げている。


「いってええええええええええ」


 其のまま何も無かったように歩き出すヤマト。


「おい手前、このヤスにぶつかって置いて、めんたま付いているのかっ、おいこらまて其処の黒髪の男っ」


 ヤマトの動きが止まる。                            

 振る向くと背後で倒れているグラサン男事ヤスを上から見下ろす。


「そうだ、手前だ。ぶつかって置いて黙って行く気がごらあ」

「俺に言っていたのか、しかし俺はぶつかって居なければ、君は見事な受身を取っている街中で受身の練習とは恐れ入った」


 真面目な顔で言うヤマトに対して口をパクパクしているヤス。

 『それでは』と一言言うと前を向き歩き出すヤマト。前方に回り込むヤス、直ぐに近くからヤマトより大きな巨漢が現れた。


「おいおい、兄さんよー横目見ていたがそれは無いんじゃないのか? オレはジョニーって言う者だ、ヤスの兄貴的存在よ」

 

 指を鳴らすと高圧的な態度をヤマトに仕掛けてくる。


「ふむ。しかし俺は当たってはいない、一々狂言には構ってられない今夜の宿を探さないと行けないので失礼する」


 尚も無視しようとするヤマトの腕を強引に引っ張るジョニー、その腕をさらに別の細い腕が掴んだ。

 ヤマトと長身男も同時にその間に入った人物を見る。

 

 ヤマトよりも少し背が低く腰まで在る赤い髪を後ろに一つにまとめた白いブラウスの少女。ジョニーをを見ると大きな声で、怒鳴る。


「ちょっと、旅行者に因縁つけて金を巻き上げるだなんて見っとも無いわよっ」

「なんだお嬢ちゃん、これは俺達の話なのっ、部外者は引っ込んでな。落とし前つけられてえのか?」

「引っ込んで置こうと思ったけど、貴方達先週も同じ事してたじゃないのっ。被害者が私の友達だったんだけどー。それこそ、どう落とし前つけてくれるのかしら? 確か複雑骨折って聞いたんだけど」


 キリッとした眼で長身男を睨む、一瞬だけひるむも。笑みを浮かべて反論する長身男。


「わるいな、きっとソイツは別の弟だ。さて、兄ちゃん、ちょっと事務所で話をしようか」

「別のって、こんなヤスって名乗っているの男、一人も二人もいないわよっ!」

「おい、ヤス、お前の所たしか五つ子だったよな」


 突然話を振られて困惑するヤス。顎に手をあてジョニーの思惑を無視するように口を開く。


「いえ、一人っ子……」


 最後まで喋りきる前にヤスの脳天にジョニーにゲンコツが振ってくる。涙目になり其のまましゃがみ込み下を向いていた。


「ほらみろ。五つ子だっていってるじゃねえか、それとも、あれか? お嬢ちゃんがコイツの治療費払ってくれるのか?」

「今完全に一人って言おうとしたわよねっ、ねぇちょっともう一回言いなさいよっ」


 詰め寄る女性に、ヤスは後頭部を押さえながら『五つ子』ですと言い放つ。それを聞き満足そうなジョニー。

 仏頂面のまま溜息を付くヤマトは三人の顔を見て話す。


「長くなるのか? 俺は宿と職を探さないといけない、俺の用が住んだのならもう行くが」


 ヤマトは一言言い放ちその場を後にしようとする、背後から三人の声『まちなさいよ』『まてごらあ』『おい、まて』が同時にはもった。


 呼び止められ振り返るヤマト、相変わらずの顔で驚きの顔すらしてない。


「貴方の為に来たのに、なんで先に行くのよっ少しはこいつ等に何か言いなさいよっ」

「そーだぜ兄ちゃん。俺達はまだ誠意ってのを貰ってねえぞ、もっとも謝って貰ってもコレじゃ中々許さないからな」


 淡々と無表情に言葉を吐くヤマト。


「言っていいのか、では言わせて貰おう。こんな場所で言い争っても時間が減るだけだ、ゆすりたかりなら相手を見極めて実行しないと効率が悪いと思わないか? 君達は誠意と言うか誠意とは真心ではないのか? ぶつかりそうになってありがとう。とでも言えば気が済むのならそれでもいいが。素直に金を出せと言った方が効率的だ。もっとも、俺は金を出すつもりは無いし君達は誠意が欲しいらしいが。それにだ」


 ジョニー達から助けに来た少女のほうへ振り向く。


「そっちの女性のほうも別に助けてくれと俺は言ったつもりは無い。正義感を振り回すのは良いか度を過ぎると怪我をするぞ。こう見えてもこの手のチンピラは対処出来る、先ほども言ったが、俺は観光に来ているのではなく今夜の宿と仕事を探しているんだ。用が無いならもういくぞ」


 言われた三人はあんぐりと口をあけている、その間にもヤマトは野次馬の中へ消えてい行こうとする。ジョニーとヤスは顔を見合わせると、突然に女性の体を羽交い絞めにし始める。


「たく、しょーがねえ。この女だけでも売れば金にならあ。おい、ヤスそっちを持て」

「へい。兄貴」

「えっ何っ言ったの」


 二人の男に両手、両足を拘束される女性。驚きのあまり女性は周りを見始める、先ほどまで写真すら取っていた野次馬は関わりに成りたくないのか背を向け始める。


「ちょ、きゃっ何処触ってるのよっ、誰かっ誰か助けてっば。こらっ皆そっぽむくなっ」

「耳元で騒ぐな。おい、口にテープでも張れ。後は車に連れ込め」

「ヘイ」


 ヤスががジョニーに命令されて返事をする、女性は青い顔をして辺りを見回す。先ほどヤマトが歩いていた方向に首を回すと大声で、助けを呼ぶ。


「ちょっと、さっきの人助けてよっ。働く場所も住む場所も食事も付けるからーーーっ」


 直ぐに口にテープを張られて呻き声しか出せなくなる女性。

 ジョニーが近くに止めてある大型の車に先に乗り込む、違法電子タバコに火を付けると子分であるグラサン男が乗り込んでくるのを車内で待つ、数分まっても車に乗らない子分を不審に思い窓の外を見た。

 其処には地面に伸びている元グラサン男と口のテープを剥がされている少女、そしてテープを剥がしているヤマトが立っていた。


「その話、本当だろうな」

「ほ、本当よ。私が社長で貴方が従業員。その代わり助けてくれたらね。手足の拘束具も外してくれる? 胸ポケットに会社立ち上げの証明書だってあるんだから」


 行き成り女性の胸ポケットに手を入れるヤマト、女性が赤い顔をして固まる。証明書を読むヤマト、其処には代行運送ノーチラス。代表者カグラ・クリッサと名前が書かれていた。


「なるほど。助けて欲しいだけの嘘では無いらしいな、いま手足の拘束を解いてやるまってろ」


 手足の拘束を解かれて身体を屈伸するカグラ。笑顔であるが赤い顔でヤマトをおいでおいでと手招きする。手にはいつの間にか脱いだ靴が握られている、呼ばれて近くに来たヤマトの頭を思いっきり叩く。


「お、女の子の体を行き成り触らないっ!」 

「しかしだ。君が、カグラが嘘を言っていた場合助け損という事もある。俺には確認方法が一つしかない」

「そ、それでもよっ! ま、まぁいいわ。ありがとうって言うのも。ちょっとおかしいわね、元はと言えば貴方が絡まれて居た訳で、あっそうだ。名乗って無いのに名前」

「書類で確認した。カグラ・クリッサ。俺の名はヤマト・フジだ」


 『よろしくね』と差し出された手を握手するヤマト。不意に声が響く。


「いやいやいやいや。何二人で完結してる。兄さんに嬢ちゃん、俺の弟にも何をしたんだっ白眼向いているじゃないか」

「少し眠ってもらっただけだ」

 

 ジョニーが意識無く寝ているヤスとヤマトを交互に指を挿す。ヤマトが立ち上がり相変わらずの感情がわからない顔で喋る。


「そうか、君達のお掛けで就職先が出来た。誠意をもって感謝する。よしカグラ案内してくれ」

「こ、この野郎があああ」

 

 口ぶりからして嫌味ではなく本気で喋っている様子からジョニーの何かか切れた。突然叫び声を上げると上着の中から小型の銃を構える。勿論、ヤマト達が現在居る国では無闇に銃を乱射していい国でない、むしろ持ち運ぶにも許可が居る国だ。

 数度引き金を引く長身男。銃弾が地面に当たり跳躍する、近くのショッピングモールのガラスを打ち破った。

 逃げる野次馬に、近くにあった街路樹に慌てて身を隠すカグラ。真っ直ぐに立っているのにはヤマトだけだ。足元に銃弾が飛ぶも平気な顔をしている。


「くそ、何であたらねえ」

「人に向けるのは良くないな。それにだ。命を取ろうとするのなら、それ相応の覚悟も無いと行けないないと習わなかったか?」


 ポケットに手を入れるヤマト、先ほどのタクシーのお釣りで出た小銭を素早く出すとジョニーの手へと投げ、見事その手に当てた。

 手を押さえうずくまるジョニー。足元に落ちた拳銃をヤマトは拾い上げた。

 銃を拾い上げると前後左右に目を細めて眺めている。直ぐに頷くとジョニーのほうへ向き直る。


「ふむ、粗悪品だな、銃口が少し曲がっている。それと撃つ時に力み過ぎた、どうしても狙っている場所より下に行きやすい。今度コレで打つときは肩の力を抜いて少し左寄りに狙うといい」


 街路樹からカレンが心配そうな顔をしてヤマトを見ている。


「しかし、お前にはもう銃を握る事もないだろう」


 ヤマトが引き金を引くとジョニーの足元に銃弾がめり込む、撃つ事は合っても撃たれた事が無いのか身体を縮ませるジョニー。

 消沈したのが地面に手を付くと土下座をし始めた。


「ももうしませんっ。たす、助けて下さい」


 泣きながら謝るジョニーに溜息を付くと引き金を引き終わった拳銃を地面に置くと足で蹴飛ばし返すヤマト。

 遠くから、サイレンの音が近くなってきた。

 赤と青の光を放つ車が辺りを囲むと、真っ先にジョニーに走って行き全身を防弾マットで固める。

 そして悠然と立っているヤマトの両腕を即座に電子式手錠でロックした。

 若い警官がインカムで報告する。


「こちら通報を受けた銃を持った凶悪犯を緊急逮捕しました」

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