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ココアのない喫茶店  作者: 椿ツバサ
ナポレオン・ボナパルト―――『強いコーヒーをたっぷり飲めば目がさめる。コーヒーは暖かさと不思議な力と、心地よき苦痛を与えてくれる。余は無感よりも、苦痛を好みたい』
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「ここで問題です。チャーラン」

「わー」

「……ちょっと」

「あたしたちはまだ未成年です。お酒は飲めません。サークルで飲んでるけど」

「うん、あるあるだ」

「いや、ダメでしょ。何言ってるの」

「ともかく。あたし達がカフェ&バーとなったセンブリに侵入してバリスタカノンの淹れるお酒を呑む方法を募集しまーす」

「……バリスタではないんだって」

やっとの思いでツッコミ、大学食堂内で倒れこむ。奏音自身はセンブリが改装をしたことを伝えてはいなかった。しかし、風のうわさかなんなのか、大学のバスを降りてすぐのところにバーができたとなれば注目をされたのか、いつの間にかイツメンに知られてしまっていた。

かくして開かれた『第一回、どのようにしてカノンの淹れるカクテルを呑もうか』回が開かれていたのだ。ただし、奏音たちは留年、浪人もせずにストレートで高校を卒業後、大学に入学した面子なので18、ないし19だ。どうあがいたとしても年齢制限でアウトであることは考えるまでもない。

「う~ん、まずは法律改正案を自民党を通して提出しないとな」

「そこから!?ユウくん!?」

「あー、民進党なら知り合いが」

「ちっひー!?」

「いないんだけど。てか、政治家の知り合い何ていない」

「だよねだよね!」

「法律改正ってそんな簡単じゃないんだよ。もっと現実的に考えようよ」

「ミキちゃん……」

ようやく法律改正案についてのツッコミが一人で無くなり手を合わせて「どうせなら私のバイト先に送り込もうとしているところからツッコンで」肩を大きく落とした。

「えー、でも行ってみたいし、服も変わったんでしょ?」

「だから、情報源はどこから」

「あたしの彼氏!」

「……どのお客さんだろう」

毎日多くの客を相手にするのだ、常連さんならともかく一見さんやちょっと来るだけのお客さんまで覚えていない。というか、その経由で情報が。

「ともかく、おーさーけー」

「一応うちの店ではパッと見で成人かそうでないか分からない人は年齢を尋ねるからね」

「偽れば……」

「ちっひーたちの顔は流石に覚えられてるよ。というか、身分証明書の提示を頼むしさ」

はぁ、と大きく息を吐いて頭の中を巡らせる。そして頬をパチパチと叩いて顔を上げる。

「ノンアルコールのカクテルならあるから、それでいいならきなよ。ノンアルコールだからお酒というよりジュース感覚に近いけどね」

「おぉ!いいの!!」

「た・だ・し」

私は指を本突き立てる。

「ほかのお客さんの迷惑になるから騒がないこと。お酒は絶対に出さないということ。そして私はバリスタでないからバーの方に関してはドリンクを作っていないということ。これらをしっかり覚えておいてよ」

「「「は~い」」」

分かっているのか、分かっていないのか、間の抜けた返しが唱和された。


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