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ココアのない喫茶店  作者: 椿ツバサ
ヨハン・セバスチャン・バッハ―――『千のキスよりすばらしく、マスカットぶどう酒より甘い。コーヒー、コーヒーはやめられない』
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 心理学にはいくつかの種類がある。心理的な援助を行う臨床心理学や脳科学系統、生涯発達、社会心理等。それは物理学にもいろいろな派閥があるように自然なことだが奏音はまだそれらの内どの分野を勉強するかは決めかねている。脳科学や臨床心理学は今までの授業の内で何となく合わないということが分かっているのでパスをするのを確定はしているがそれ以外の事はまだ未定だ。削除的に選んでいくのはどうかと思うが、ある程度はそれでいいと考えている。

 そしてこのデザート作り、あわなそうなトッピングをはじいていき、悩ましい五品までこぎつけていた。そしてひとまず完成した5品をこっそりと京に試食をしてもらうことを頼んだ結果……。

「えっと、ここか」

 思いのほか大きな家に戸惑う奏音。天童という表札のそれはつまり、京と英章の家である。京からの提案はそれならウチで作ってそれを食べさせてくないかというものだった。ついでに飾りつけなどの相談も兼ねてはいる。少し緊張をした顔持ちでインターホンを鳴らす、すぐにカチャカチャと家の中から音が聞こえて扉が開かれる。

「こんにちは、奏音さん、いらっしゃい」

「こんにんは、京ちゃん。じゃあ、お邪魔させてもらうね」

 京に微笑んで招き入れられるままに中に入る。そのまま少し進んでリビングを抜けた先のキッチンが今日の目的地となる。設備などはセンブリに負けず劣らず多くありセンブリを開く前まではここで右往左往していたのであろう英章の姿を想像する。

「そういや、今日はお父さんとかは……?」

「あぁ、二人とも仕事に行ってます。お父さんもサービス業ですから土日とか関係ないですし、お母さんはヘルパーやってるんで、土日とか関係ないんですよね。むしろ土日の方が給料いいからって嬉々として行ってるぐらいです」

「あぁ、そうなんだ。なるほど」

 京の説明に頷く。そういうことならのびのびと料理もできるだろう。

「じゃあ、さっそく作らせてもらうね。京ちゃんも少しだけ手伝って?」

「うん、わかってます」

 京は小さく頷くのを見て早速準備を始める。生地自体は寝かせたものを持参してきたのでここでは主にソース作りをすることとなる。そしてクリーム構造自体は一層目が生クリームでしっとりとしており二層目がココアパウダーが入っっており、一層目の生クリームの甘さを抑える役割を持たせている。そして三層目はカスタードクリームを通らせている。問題はそれに合わせる果物をどうするかだ。

「なるほど……。こうしてるんですか」

「うん、最初はロールケーキのようにしようと思ったんだけどどうやっても味がばらけてしまって、そこでミルフィーユ状態にすることで縦に均等に味わうことができるからさ」

 あの時であった人の助言から思いついたことを説明する。

「それで合わせるフルーツはこれ、という感じなんですね」

「そういうこと。王道的なイチゴ、甘さを控えめのブルーベリー、ココアパウダーとの合わせを考えてバナナか、後はパイン、オレンジの5つ。どれも一長一短で美味しさもある。ただ、全部入れると見た目とか値段の関係で難しいから」

「なるほど、食べ比べですね……」

「うん。私もこれかな?ってのはあるけど正直一人じゃ決めきれなくて」

「あはは……奏音さんの意見とあえば問題なくいけそうですね」

 小さく笑って京は試食を開始し始めた。


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