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4話*シスター*

扉に居た人物は驚いた表情でこちらを見つめていた。


「あらあら、気がついたのね。具合はどう?」


そこには優しい聖母マリア様のような、美しいシスターが、

温かくて美味しそうな料理を持って立っていた。


私は何故だか分からないが、シスターを見た途端

目からボロボロと涙が溢れてしまった。

……この意気地なし、泣くんじゃないよ。


「大丈夫?ごめんなさいね、怖かったわよねこんなところに閉じ込められて

 でも、大丈夫よ。ごめんなさい。怖かったわよね、大丈夫」


シスターは料理を置くと、私を優しく抱きしめて、

背中を摩ってくれた。

そして私が泣き止むまで、ずっとずっと優しく抱きしめてくれた。




「どう?お口に合うかしら……?」


コクリと頷くと、シスターは嬉しそうに笑った。


私は泣き止み、シスターの作ってくれた牛乳がゆを

お腹がすいていたのでパクパクと食べる。

コレ美味しい。優しい味がする。流石聖母。

喋るのが恥ずかしく、終始無言で牛乳がゆを口に運ぶ。

その間に心も落ち着かせようと私は考えた。



食事を終えるとシスターが「お部屋を変えてお話しましょう」

と言ってきたので、私は頷いて賛成した。

あの部屋に居ると、別の意味で気が狂いそうだ。



ここはどうやら教会のようで、あの部屋を出ると

言葉に表せないくらい、素敵なステンドグラスや

祭壇、説教壇、沢山のロウソクのついた燭台

極めつけは、とっても大きなパイプオルガンと

よく教会でみる身廊が奥まで続いおり、

全体的に神秘的な雰囲気に包まれていた。


私は、教会の美しさにあちこちキョロキョロ見ていると

シスターはクスクスッと私を見て笑った。

しまった……田舎者を丸出ししてしまった……。


「そんなに教会は珍しいですか?」


「あっ、いえ、私、教会ってあまり入ったことないので

 こういう何か神秘的すぎて素敵だなぁ……って思って」


私がそう言うと、シスターは嬉しそうに笑った。

この人の笑顔はとても癒しになる。

彼女の笑顔を見て、私も少し緊張が綻んだ。




教会の裏口から出て、修道女達が寝泊りしている

別館へとやってきた。

館内に居た数人の修道女が、私の事と興味深そうに見てくる。

やめて、私は珍獣じゃない!!


ようやくシスターの部屋につき

シンプルだが、可愛いデザインの椅子に腰をかける。

シスターがいい匂いの紅茶を淹れ、美味しそうなクッキーを出してくれた。


「ごめんなさいね、皆貴方が珍しいのよ」


シスターは洒落た花柄のティーカップを持ち、フフフッと笑った。

私は、何がなんだかわからないので、シスターにいろいろ聞くことにした。


「あのっ、いろいろ聞きたいんですが……

 なんで私、珍しいんですか?なんで私棺桶の中にいたんですか?」


立て続けに質問する私に、シスターは「落ち着いて」と

優しく頭を撫でた。そうだ、落ち着かないとパニックを起こしそう。


「話すと長くなるけど、それでもいい?」


私はコクリと頷く。長くても知りたいことだから。


そして、シスターは私に話してくれた。

なぜ私がここにいるのか、そしてここが一体どこなのか。

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