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母喰み

『近代社会における孤児遺棄増加の背景に関する中間レポート草稿』

…他にもいくつか、昔から言い伝えられている伝承がある。中でも特に苛烈なものは母喰みである。曰く、母親のいない孤児(その中でも特に女)に関わってはいけない。彼女は母喰みであり、人を喰らうことに何のためらいも覚えない、すぐに捨てねばならぬ、と言うのだ。

 なぜ女児に限り男児は対象外であるのか、どうして母喰みであると結論付けられたかなどの論理的な記述や資料は見つかっていない。しかしその伝承は現代になっても一部地方で受け継がれ、現代的倫理観の元親なしの幼女を里子に出すという習慣に代わり残っている。

 否、既に目的は失われつつあるのだ。今孤女児を里子に出す人間の幾割がこの風習を理解しているだろうか。

 そしてその中の幾人が、母喰みの本当の恐ろしさを知っているのだろうか。

 この件については追加調査をする上で明らかにしていきたいと思う。

壱岐玲樹


 祖父がその遺稿を遺して失踪したのはもう随分前になる。


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