学園の七不思議?
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取り壊しになる廃校があると聞き、急ぎ駆けつけた。
山に囲まれたその学校はやや現代的と言っても差し支えない造りで、あたりの山にやや違和感を醸し出しながら聳えたっている。中学校としてはいささか小規模だが、この近辺にある建物としてはやや大きすぎる感じが否めないのは、4階建てという高さのせいだろうか。
外から見る限り各階に2つの部屋があり、それがより一層この学校に違和感を与えている。地価の高い都会でもないのに、どう考えても高すぎるのだ。1階部分は昇降口と職員室に、2階以降は教室になっているらしい。3学年と言うことを考えると各学年2クラスといったところだろうか。
窓からは伸びすぎた朝顔が蔓を伸ばしている。萎びた朝顔は、あんなにも不気味な植物に見えただかしら。
右手に目を向ければ、ひっそりと佇む体育館がある。それは大きく見える校舎に比べて随分と小さいように感じられた。バスケットコートが一面入るか否かという体育館の入り口は、何やら木材で封鎖されていた。その手つきも荒々しい。
見渡す限り、校門の内側にあるのはそれだけのようだった。広い運動場も、夏場を楽しむためのプールもない。この近くには川も流れているし豊かな自然もあるから、必要なかったのだろうか。運動会はどうしていたのだろう。
些細な疑問は尽きないが、時間はあまりないのだ。今日こうしてここにいるのだって、かなりの無理を言ってきているのだから。取り壊しに関わっている人たちは口をそろえて早く取り壊したいと言っている。ここを出たら、きっとすぐにでも取り壊しが始まってしまうだろう。どうしてあんなに急いでいるのだろう。早いところ壊して次の仕事にでも取り掛かりたいのだろうか。――いや。あれはそんな話ではなさそうだった。あれは……、そう。
何かを怖がっている目だった。まるで、ここに何かがいるかのような、そんな目だった。
さっと肌を這う寒気に気づかないふりをして、昇降口へ向かった。鳥肌はいつまでたっても消えてくれそうになかった。
昇降口にたどり着いたとき、真っ先に目に付いたのは扉ではなく赤い色だった。




