異世界から聖女召喚した結果
※軽率に人が死にます。
※異世界召喚物で強制的に働かされるのを見てストレスを感じる人向け。
※主人公は女ですが口が物凄く悪いです。
※聖女召喚が神聖なものだと思う人には向いてないバイオレンス作品です。
※合わないなら記憶から消して静かに去ることをお勧めします。
異世界召喚をした側は何故か物凄く上から目線で傲慢に命令をする、なんてお話があるみたいだけれど。
それは時と場合によっては自滅行為だと分かっているのかいないのか。
なんの条件に当てはまったのか知らないけれど、日本に繋がった召喚の魔法陣から現れた一人の少女に、王が「聖女としてそなたを召喚した。その役目、果たしてくれるな?」なんて言うものだから。
「死ね」
体内の魔力を練り上げて生み出した短機関銃を偉そうな王にぶちかました。
なんの躊躇もなければ容赦も無い、本能のままの行動。
「お前ら、何偉そうに上から目線で物言ってんだよ。てめぇらの都合で呼んだんなら、這いつくばってお願いしますと頼み込むもんだろうが。こんなことしてる暇ねぇっつーのに!」
激しい物音の後、王は血まみれになりながら死体となっていた。
一瞬の静寂の後、剣を構えた騎士達が少女を殺そうとするが。
「死にたいなら来い。全員殺してやんよ」
更に大きな機関銃を構えた上で天井に向かって発射した少女。威力は穴の空いた天井を見れば分かることで。
「話を、聞いていただけないでしょうか」
「聞くだけな。馬鹿なことを言ったら殺すから」
きらきらとしたやけに若い金髪の男が死にそうな顔で願ってきたので少女はようやくまともに話が出来るやつが出たな、と頷いた。
少女の名前はエリナ。彼女が生きていた日本は2500年代の日本で、何が起きたのかダンジョンが発生し、魔力が生み出され、世界は混沌の渦に飲み込まれていた。
エリナは特級探索者であり、魔獣討伐数は上位に入るだけの腕があった。ここに召喚される直前まで、仲間達とある街の防衛戦に参加していたのだが、ここに召喚された事で残された仲間の負担を考えると苛立っていた。
「お前らはいいよな。都合が悪けりゃ呼び出しゃいいんだからよ。こっちは自分達の手でどうにかしなきゃなんねぇのに、なんでお前らを助けろっつーんだよ。あたしが助けたら、お前らがあたし達の世界を助けてくれんのか?あ?甘えてんじゃねぇよ。こっちは命懸けの毎日なんだよ。あたしがここに来たことで仲間が死んでたら、お前ら全員どうしてくれんだよ」
当たり前のように呼び出して、こき使う気満々だった面々は何とも言えない顔をしている。なので、エリナは短銃を呼び出してそちらに向かって手を伸ばした。
「文句あんなら言えよ。その代わりてめぇのドタマぶち抜いてやるからよ」
この国では過去に何度も異世界から聖女を召喚してきた。過去の聖女達は最終的に協力してきたが、今回の聖女はとてもでは無いが聖女らしいとは言えなかった。
「言っとくけど、これまでに呼ばれた聖女とかも全員お前ら殺したいと思ったと思うよ?その手段と覚悟が無かっただけで。あたしは人を殺すのは怖くねぇし、お前らを同じ人間なんておもっちゃいねぇ。クズの集まりだ。他人に嫌なことを押し付けて偉そうにしてるクズ。解決策を考えもせずに思考放棄してるバカ。あたしはあんたらを殺す手段はいくらでもある。ついでにこの世界を滅ぼす手段もな。あんたらは想像もしてなかったんだろうが。召喚する女が何時も弱い保証なんかどこにもないっての」
な?
天井に向かって無造作に撃たれた銃。天井を軽々と貫き、「うぐ」という呻き声の後に穴から血が滴り落ちてくる。
「見えないところからの攻撃で死ぬと思ったァ?バァカ。こっちは一日中魔獣との戦いで殺気なんかにオート反応してんだよ。無駄な事すんな。致命傷は避けてやったんだから手当してやんな。はー、ロクでもないバカに仕えてたら大変だねぇ」
エリナは当然知らなかったが、過去の聖女達は全員望んでなどいなかった。戦争を知らないありふれた平凡な女の子がいきなり全てを奪われて召喚されてきた。
生きる術もなく、半ば強制的に働かされ続けた上で、最後はボロ雑巾のように簡単に捨てられた。
この国の者たちにとって聖女とは、世界の瘴気を排除する装置でしかなく、同じ人間としてみなしていなかった。
「なぁ。あんたらさ、これまでその聖女様とやらを召喚してきただろ?名前と、何歳で呼んだのか、何歳まで生きたのか言えよ」
にっこりと笑うエリナに、召喚の責任者の男は背中に大量の汗を吹き出させた。
エリナは知らなかったが、最初の扱いで大体想像が出来ていた。
「わざわざ異世界から招くんだからよぉ、そりゃあ大事に大事にしてたんだよなぁ?まーさーかー、名前とか知らねぇ、来てお仕事させて後はポイッと捨てた、なーんてことは、してないよなぁ?お前らの都合で誘拐した上で殺したなんて、そーんなこと、ねぇよな?大事にされた聖女様なら記録あるよなぁ?ほーら、言えよ。言えるよな?」
がちゃがちゃと音を鳴らしながらエリナは自分だけが使える武器をテーブルの上に積み重ねていく。魔力登録をしているから、ここにいるもの達には触れることも出来ない。
弾丸は実弾ではなく魔力弾なので、エリナの魔力が尽きるまでは使える。そしてエリナは特級探索者にふさわしい膨大な魔力でゴリ押しするのが戦闘スタイルだった。
「さぞや大事にされたはずだからお墓もあるよなぁ?同郷の者として手を合わせたいから案内してくれよぉ?ま、骨を持ち帰ってあっちに埋めてやりたいから、掘り起こさせてもらうけどぉ。あー、この文明レベルなら土葬かねぇ?棺の中に納められてんなら連れて帰るのは簡単だよなぁ?」
誰もの顔色が悪い。
当然だ。エリナが言うような状態にないのだ。
異世界の聖女はただの装置。死んだら適当に燃やして骨はゴミとして扱ってきた。遺骨は、無い。
「お前ら、あたしらの世界の文明よりも遥かに劣ってる劣等種の癖に、優等種のあたしらを下に見てたんだろ?で、あたしの質問に答えはぁ?あと十秒以内に答えないとぉ、そこらのおっさんの頭撃ち抜くよ?」
じゅー、きゅー。
エリナは笑顔のまま足を組みつつ責任者に問いかける。
手を振ればテーブルに積み重なっていた銃が宙に浮かび上がり銃口がその場にいた男達の頭に照準を合わせていた。
「も、もうしわけ、ありません……!きろくは、ありません!はかも、ありません!」
「へー。なんで?」
「それ、は……」
「おまえら、人間として扱わなかっただろ?家畜以下の扱いしたろ?あー、時には性欲処理にも使ったのかなぁ。ま、戦争中ならそんなこともあるけどさぁ。お前らの世界の人間同士の話なら問題ねぇんだよ。無関係の女の子攫っておいてそれって、どう思うー?」
パァン、と音を立てて一人の男が肩を押えながら床に倒れた。隙を見てエリナを攻撃しようとした男だが、エリナは既に防衛の魔法を張り巡らせていた。
「はは。さっきも言ったけどぉ、あたしからしたらぁ、お前らは同じ人間じゃねぇの。クズなの。カスなの。ゴミなの。不用品なの。生きてよーが死んでよーがどーでもいい存在なのねぇ?でーもー、きーめた。この国、いらない。あたしの同胞をどれだけ犠牲にしてきたか分かんないけど、失った命はもう取り戻せないもんなぁ。骨の在処とか名前が分かったら連れて帰ろうと思ったけどぉ、ないから。仕方ない。だからもういーや」
にこりと笑った女は自分の手持ちの中で最大の破壊力を持つ兵器を取り出した。これ一つで国一つは簡単に滅びる、そんな兵器だ。
「召喚する術が無くなれば悲劇は無くなるしなぁ。ま、残り僅かな時間を祈っておきなぁ」
好き勝手に喋り倒したエリナは、登録している座標をポイントに転移の準備に入る。出していた武器は兵器に向かって照準を合わせ。
「それじゃ、ばーいばい」
激しい魔力弾の音。そして銃が無くなると同時にエリナの姿は消え、残された兵器はとてつもない熱を生み出した。
その場に残された者たちは初めて後悔した。手を出してはいけなかったのだ。安易に異世界の人間を使い潰しては、いけなかった。
しかし後悔してももう意味は無い。
その日、一つの国が激しい爆発音と共に滅び、そこから発生した目に見えない気体が世界に広がり、あっという間にその世界から命あるものは失われた。
「エリナー!どこ行ってたんだよ!」
「なーんか、異世界に召喚されてたァ」
「はぁ?このクソ忙しい時にか?」
「滅ぼしてきたぜぇ。聖女様しろって言ってたけどぉ、過去にかなりの数の女の子がこの世界から誘拐されたっぽくてなぁ」
「お前が聖女ぉ?笑えねぇなぁ!お前の二つ名、破壊者だろうが!」
仲間の元へ戻った時には乱戦状態で、エリナは武器を呼び出すと魔獣に向かって魔力弾を打ち込んでいく。
守るべき街の人々はシェルターに逃げ込み、探索者は一体でも多くの魔獣を討伐するのが仕事だ。
人任せのクソッタレしかいなかったなぁ、と笑いながらエリナは仲間に話し掛ける。
「んでなぁ、『沈黙の匣』を置き土産にしてきたわぁ。間違いなくあの世界は滅びるわ」
「うげぇ~マジの話かよ。ま、いーんじゃね?お前を聖女様とやらで呼ぶような馬鹿な世界だ。人任せの世界なんぞクソッタレだぜ」
「あたしもそー思う。ふひ、さーて、今日も狩り数一番貰うぜ!」
ダンジョンから溢れ出る魔獣は間引かないとこうして溢れ出てくる。一つのダンジョンを潰しても、ぽこぽこ馬鹿みたいに現れるダンジョンのせいで終わりは見えないけれど、体が動く限りエリナは探索者を続けるつもりだ。
それはこの世界に生きる者の役目だから。
だから、あの世界は滅んで正解だ。自分達で始末出来ないなら滅んでしまえ。
異世界召喚物って現代からってのが多いから、未来の地球で、召喚された女の子が武力を有していて、口が悪くて人を始末するのに躊躇いがなかったらどーかなーと思って書きました。
初手で間違えた世界。
これで丁寧な扱いと説明、納得出来る理由があればエリナは助けてました。いつでも帰れるので。
対価は貰うけれどお仕事はしました。
でもそう出なかったので、二度と異世界召喚出来ないように滅ぼしました。この世界の人が死んでも気になりません。
だって、地球から連れ去られた女の子たちの犠牲があっての世界で、それがなかったら滅んでたはずなのだから。
エリナ(18)
特級探索者。魔力量膨大。常にマーカーで座標登録しているのはダンジョンに潜るから。癖。それのお陰で異世界からも戻ってこれる。
口がとても悪い。
格好は迷彩柄の繋ぎにミリタリーブーツ。休憩中だったので上を脱いで腰に巻いてた。中にはタンクトップなので女の子だとわかる。
黒髪に金のメッシュいれててかなり長めなのをポニテにしてる。
武器は銃全般でロケランも使う。
破壊者の二つ名持ちなので聖女として呼ばれたのはギャグかと思ってた。多分魔力量。
あとはあの世界に囚われた女の子達の執念。
この世界を滅ぼして。




