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「あれ、林さん?」
美月だと気がついた博夢も少し気まずそうに、どもと会釈する。互いにクラスメイトとはいえ特別接点もなく、まだ話したことすらないそんな関係。
しかも美月は、博夢が少し苦手だったりする。いや、苦手というのは少し失礼かも知れない。純粋にちょっと怖いのだ。
整った顔立ちではあるが、目つきが鋭く少し近づき難い印象がある上に、いつも無愛想で人と話してるところなんて1度も見たことがない。そんな雰囲気からしても近づき難い彼なのだが、それをさらに引き立たせる外見的特徴があった。それがシルバーがかった白髪。
入学式からそんな髪型できていたものだから、ちょっと怖そうな先輩に目をつけられて呼び出され、悪い噂のある同級生には因縁つけられ、挙げ句の果てに近隣でブンブンしてる危ないOBまででてきたらしい。
で、その相手たちは全て病院送り。彼を恐れ、学校を辞めたものや街を出たものもいると聞く。思わず世紀末覇者ですか?と突っ込みたくなる伝説を作り続けているのが、この源間博夢という男である。
「じゃあ、俺、ちょっと外でてますね」
そんな美月を察してか、博夢は踵を返して社からでようとする。入学して2ヶ月半ほど経つが、ほぼ初めましてに等しい彼の声は想像してたより優しかった。
「ダメダメ、お客さんだってば」
「いや、だから俺、外に…」
「違うよ、私じゃなくてひろくんのお客さん」
どうぞと晴香は楽しげに美月を指す。そんな彼女に博夢はいやいやと困った顔をした。
「俺今来たとこだし、全然話聞いてなかったし、そもそも晴香さんへの相談者じゃ…」
「でもクラスメイトでしょ?」
晴香は少し意地の悪い笑みを浮かべた。
「だけど、ほとんど関わりとかはなくて…」
「関わりがなければ困ってるクラスメイトをほっとんくんだ」
さいてーと晴香。非常にバツが悪そうに美月を横目で見た博夢は、普段の教室では考えられない姿だった。
「じゃ、じゃあ、まず何があったのか教えて…」
「え、めんどくさい。そもそも人の悩みくらい語らずとも察してこそ真の占い師でしょ」
「いや、俺占い師じゃないし…」
「うるさい。細かい。ほら、早く行って。困ってる人を助けて!」
「行ってってどこへ…」
「ほら行く!」
「だからどこ…」
「行く!」
「…はい」
そういうことになった。




